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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年2月7日金曜日

2014年2月7日金曜日20:11
こんにちはkaiiです。

登米市は、仙台市から北方に70kmの宮城県の北東部に位置しています。広大な平野には田園地帯が広がり、県内有数の穀倉地帯です。
登米市には、伊豆沼や内沼、長沼などの湖沼があり、冬季には多くの渡り鳥が訪れます。町の中をの一級河川の北上川と迫川が流れる「水の里」です。

登米市登米町(とめし とよままち)は登米市のほぼ中央にあり、北上川が町の中央を南北に流れています。
町の東側には北上山地、西側には田園地帯が広がり、「みやぎの明治村」としても有名なところです。

登米町の林業の中心を担う登米町森林組合が、復興庁の「『新しい東北』先導モデル事業」に「太陽熱木材乾燥庫を活用した里山文化の創造的再興」事業を提案し、採択されました。
この事業について、登米町森林組合総合事務管理課課長の竹中雅治さんにお話を伺いました。



震災復興期に入った宮城県では、「災害公営住宅」を建設するに当たり、地域の関連業者が協同して地元の木材を活用した木造建築とする取り組みが進められています。


登米町森林組合所有の製材所

登米市と南三陸町も、地域の建設業、製材所、森林組合などが「木造災害公営住宅建設推進協議会」を組織し、伐採から製材、建設の工程を連携して行うことになっています。

東日本大震災が発生した平成23年4月、国土交通大臣から
「被災地域の復興支援の観点も踏まえ、地域の工務店などの建築業者による地域材を活用した住宅を仮設住宅として活用するよう各県の取り組みを支援すること」
という指示がありました。

被災県では公募型の木造応急仮設住宅の取り組みが行われました。
福島県と岩手県では約2500戸から4000戸の建設が確約されましたが、宮城県では南三陸町に15世帯分が建設されただけでした。

このことを竹中さんたちは「地域材の供給体制と品質に対して不安を感じていたからではないか」と考え、この不安を払拭する取り組みとして「太陽熱木材乾燥庫」を利用して、安定した品質の木材を供給する取り組みを始めました。



「太陽熱木材乾燥庫(トスムス)」外観

現代の住宅は高気密・高断熱仕様が主流となっています。建設する前に木材をしっかりと乾燥させることで住宅の気密性と断熱性が確保されます。


従来、木材の乾燥は、灯油などの化石燃料を使って1週間ほどかけて行っていましたが、登米森林組合では平成25年7月、灯油などの化石燃料を使わず、太陽熱を効率的に利用して木材を乾燥させる「太陽熱木材乾燥庫(トスムス)」を建設しました。


Tosms【トスムス】とは
Toyoma-machi Shinrin-Kumiai Wooden Materials Super Solar Storage)の略です

太陽熱をそのまま住宅の暖房や無負荷換気として利用する「パッシブソーラーシステム」は太陽熱集熱装置と空気集熱のための送風機、熱を搬送するためのダクトで構成されるシンプルなシステムです。

多くの住宅や施設などで利用されて実績のある「パッシブソーラーシステム」は、室温、外気温、集熱空気温度の3点を測定しながら最適な室内環境を制御プログラムでコントロールします。
登米森林組合のトスムスでは、この技術を人のためではなく、木材をストックし、自然乾燥するために利用しています。

トスムスのシステム内部(送風システム)


トスムスの庫内は252平方メートルあり、一般住宅を約3戸分建設できるだけの木材の乾燥と保管が同時に可能です。


トスムス内で乾燥されている木材

庫内の最高温度は冬季で約20℃、夏季で約60℃まで上昇します。
現在は実証実験の段階ですが、木材の乾燥期間は夏で1カ月位の見込みです。

木材の乾燥工程が重視されるのは、水分を多く含んだままの木材を使ってしまうと、施工後に膨らんで反ってしまったり、逆に隙間が空いてしまったりする原因となるからです。

トスムスは太陽熱を熱として利用しています

トスムスで乾燥された木材は、今後、南三陸町で予定されている災害公営住宅建設や一般の復興住宅などに利用されることになっています。

太陽熱乾燥庫は設備投資も少なく、熱を熱として活用することができ、費用対効果が高いと考えられ、施設の設備費用も短い期間での回収が可能ではないかと見込まれています。

トスムスの技術を応用した乾物の乾燥庫


トスムスの技術を応用して、仮設ブースでは地域農林産食物の乾燥実証実験も行われています。
食品では、天日乾燥と比較してトスムスでは、数十倍高い乾燥温度を得ることができることから、シイタケや大根などの乾燥実験も行われています。まだ実験の段階ですが乾燥期間はシイタケで10日くらいです。

トスムスの技術は、再生可能エネルギーの活用で「持続可能なエネルギー社会」に役立つ新しい技術です。

竹中さんたちは、復興庁の「新しい東北」先導モデル事業が平成26年3月末で終了した後も、専門家を招聘して実証実験を重ね「同じ価格で安定した品質のものが継続的に供給可能なこと」を実証し、登米ブランドの確立と地域の活性化を図りたいといいます。



里山文化の再興への努力を続ける
登米町森林組合課長 竹中雅治さん


竹中さんは、今回の提案を行った理由として、この5つを挙げました。

 ①木材価格の低迷と木材自給率の低迷
 ②林業の担い手の高齢化と後継者不足
 ③東日本大震災による林業への打撃
 ④自治体の国産材の供給体制と品質に対する疑念
 ⑤東日本大震災で発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う放射能汚染が特用林産品(きのこやその原木、山菜類、薪、炭など)にも影響を与え、里山文化の一端を担ってきたシイタケの生産が危機的な状況にあること


東日本大震災から3年。
震災の影響はまだまだ被災地にさまざまなカタチで圧しかかっています。
「明日を信じて一歩、前へ」
登米町森林組合の竹中さんの里山文化の継承への強い思いは、そこで暮らす多くの人の生活の「再興」の後押しになると思います。


(取材日 平成26年1月29日)