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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年2月26日水曜日

2014年2月26日水曜日20:01
YUUです。

2月7日、仙台市泉区のイズミティ21展示室で、「復興コンサートいずみ2014」が開催されました。
被災した方々の心に音楽で寄り添い、地域再生のための希望の灯をともすことを願って行われる無料演奏会です。

主催は泉区保健福祉センターで、泉区内の民間借り上げ住宅(みなし住宅)に暮らす方々や、地区の民生委員さん、他に実際にコンサートの合唱に参加した保育園の子どもたち、仙台白百合女子大学聖歌隊の学生さんたちなど、160名を超える多くの人々が会場に集まりました。

イズミティ21展示室。今回で2回目となる「復興コンサートいずみ」が開催されました
当日のコンサートに出演したのは、仙台フィルハーモニー管弦楽団のメンバー。ヴァイオリン・
小川有紀子さん、岡村映武(てるたけ)さん、ヴィオラ・御供和江さん、チェロ・山本純さん。

弦楽四重奏を奏でた仙台フィルハーモニー管弦楽団の4人のメンバー
写真左から、ヴァイオリン・小川有紀子さん、岡村映武さん、
ヴィオラ・御供和江さん、チェロ・山本純さん
こうしたプロの演奏家を招いて、公共施設や仮設住宅などでコンサートを開催するコーディネート、裏方として広報活動、会場設営を数多く行ってきた団体が、一般財団法人「音楽の力による復興センター・東北」です。

同団体は、これまでに避難所、学校、仮設住宅、福祉施設、病院などさまざまな場所での復興コンサート開催に携わってきました。

仙台市青葉区錦町のセンター事務所の壁には、被災3県(岩手・宮城・福島)の地図が貼られていて、コンサートを開いた市町村にピンが刺してあります。今回のイズミティ21展示室でのコンサートは、区切りの350回目となるものでした。

地域の仮設住宅に暮らす方など、160人を超える人が集まった「復興コンサート」
当日のコンサートは、合唱曲として親しまれているメンデルスゾーンの「緑の森よ」の弦楽四重奏より始まりました。非常に美しい曲で、重なり合う弦楽器のやさしい音色に会場が包まれます。

続いて、泉第2チェリー保育園児たちが、弦楽四重奏の演奏をバックに「にじ」、「いきてこそ」を歌いました。曲目は、園児たちの希望に応じたものだそうです。

演目は、シュンターミンツ「2つのヴァイオリンのための組曲」、モーツァルト「グラスハーモニカのためのアダージョ」と続きました。
この2曲の演奏にはちょっとした趣向があって、コンサートの進行を務めた小川有紀子さんの解説を交えながら、ヴァイオリンのデュオ、弦楽三重奏、四重奏と演奏の編成が曲ごとに変化して、弦楽のアンサンブルの魅力を初心者でも体感できるという、とても楽しめるものでした。

仙台白百合女子大学聖歌隊有志10名によって、
弦楽だけではなく、合唱のアンサンブルも楽しめました
コンサートの進行は、仙台白百合女子大学聖歌隊の有志10名の合唱へと続きました。
曲目は讃美歌「みははマリア」、アンジェラ・アキ「手紙」。

締めくくりは、ドヴォルザーク弦楽四重奏ヘ長調「アメリカ」第4楽章。ノスタルジックで心を和ませてくれる曲想で、バラエティに富んだコンサートの最後を飾るに相応しい演奏でした。

アンコール曲の「花は咲く」は会場の皆が歌いました

さまざまな趣向、演奏を楽しむことのできる「復興コンサート」。

アンコール演奏も当然あります。

最後は、ゲスト参加の保育園児や大学生有志だけではなく、会場に足を運んだ皆が参加して、東日本大震災の被災地・被災者の復興を応援するために制作されたチャリティーソング「花は咲く」を合唱しました。同曲は「NHK東日本大震災プロジェクト」のテーマ曲として使用されているほか、NHKの国内向け放送、国際放送とも編成の空いた時間など、随時、この曲を流しているので、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。

会場は、来場者たちの合唱参加により、一体感に包まれたまま、フィナーレを迎えました。

震災以前の住居を失った方が多数来場したこの日のコンサート。プロの演奏家の美しい調べに聞き入る様子や、園児たちの歌う姿に目を向ける、自らが歌う時などにふと見せる、会場に集まった人々の明るい表情がとても印象的でした。

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主催した一般財団法人「音楽の力による復興センター・東北」は、2012年9月に設立されました。

東日本大震災から2週間後、仙台フィルハーモニー管弦楽団(以下・仙台フィル)と市民有志が共同で立ち上げた「音楽の力による復興センター東北」がその母体になっています。

「震災後、取るものもとりあえず設立した組織でした。音楽を通して、震災の犠牲になられた方々を鎮魂し、ご家族や生活を失われた人々に寄りそい、地域再生の希望の灯をともすことを目標に、被災地域に直接出向いたり、被災者の方々が暮らす仮設住宅などで、音楽を届けてまいりました」

復興コンサートの趣旨、団体の活動について、こう説明してくれたのは、一般財団法人「音楽の力による復興センター・東北」の代表理事・大澤隆夫さんです。

コンサートに招く演奏者は、仙台フィルや東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団のメンバーら、プロばかり。

「仙台フィルのメンバーが我々団体の母体になっていることもありますが、本格的な演奏会を被災地と被災された方に届けたいという思いがあります」

同団体は、公益社団法人「日本オーケストラ連盟」の協力を得て、仙台フィル以外のプロの演奏家が宮城県に訪れて演奏活動をするためのコーディネーターの役割も果たしています。

「県外から日本各地の演奏家に来てもらう場合は、復興コンサートを継続して行っていくためにも、全くの無償ではなく、かなりの薄謝ですが、団体の方から一定の活動費をお支払いしています」

多くの関係者の思いで実現した「心のランドマーク」のCD
今後、児童・生徒等の歌声を収録したCDの制作も検討しています
震災直後から回数を重ねてきた300回を優に超える復興コンサート。復興関連のさまざまな催しのなかでも、継続することによる復興への強い思いが、被災地、被災者の方々にも確実に伝わっている試みのひとつではないでしょうか。

団体としての活動は、復興コンサートを続けていくことだけではありません。

昨年、11月22日に石巻市役所で贈呈式が行われた「心のランドマーク」のCD化にも同団体は全面協力しました。

このCDは、東日本大震災の影響などで閉校した石巻市、周辺地域の20小中学校(存続校を含む)の校歌を日本各地の著名なオーケストラが演奏し、収録したものです。

石巻市民生児童委員を務める蟻坂隆さんが、知人のオーケストラ関係者に話を持ち掛けたのがCD制作のきっかけだと言います。趣旨に賛同した日本オーケストラ連盟、日本作曲家協議会、そして、音楽の力による復興センター・東北などが全面協力することで、実現にこぎ着けました。

「母校を失った子どもたち、地域の人々の校歌をオーケストラ風に編曲し、日本各地のオーケストラがそれぞれの校歌を収録しました。この試みは息の長い事業として、復興の一助になればというのがそれぞれの関係者の願いです」

音楽の力で寄り添い続けます。いつまでも
と、メッセージを残してくれた「音楽の力による復興センター・東北」の大澤隆夫さん
大澤さんは、「今後も音楽の力で復興の一助となる活動を継続していきたい」と、話します。

多くの被災地、仮設住宅などに赴いた復興コンサートについても、まだまだ各地域からの要望には対応しきれていないし、開催していない地域も残っているといいます。

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音楽で心を癒す。再生の力を与える。

こうした復興支援活動は、形に表わしにくい部分もあるだけに、見方によっては復興に対する思いが伝わりにくい側面もあるかもしれません。

しかし、良質な「音楽」を届けることは、被災者、傷ついた人々の心に訴える力が確実にあるようです。「復興コンサートいずみ2014」に訪れてみて、会場の一体感や集まった人々の表情や反応を実際に見ることで、「音楽の力」がもたらす具体的な働きの1つを体感することができました。


なお、同団体の関わる事業、復興コンサートをはじめとしたこれまでの活動内容の歩みは下記HPで閲覧できます。

一般財団法人 音楽の力による復興センター・東北
http://ongaku-fukko-tohoku.jp


(取材日 平成26年2月3日、7日)