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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年12月30日月曜日

2013年12月30日月曜日11:45
こんにちは。kaiiです。

今年も残りわずかになりました。今年は皆さんにはどんな一年だったでしょうか。
今年は大雨などの自然災害が多く、寒暖の差の大きい一年でした。生活の中では、野菜がとても高かった印象があります。
もうそこまで来ている新しい年を穏やかにお迎えする準備を皆さんもそろそろ始められたころでしょうか? 

最近は生活の欧米化や住宅事情の変化などで、神棚のないお宅も多いそうです。
でも、ここ気仙沼では「神棚」を大切に祀る家庭がとても多く、東日本大震災以前は、年末に神社の宮司さんが出向いて地域にお正月のお飾りの準備に来ていました。
震災で大きな被害を受けなかった地域では今もこの風習が残っています。



特に気仙沼市唐桑町では大きな神棚に神様をおまつりし「大漁」や「五穀豊穣」「航海安全」「家内安全」などを祈願します。
唐桑町は昭和の時代、漁業で大変栄えた町です。町の中には「唐桑御殿」と呼ばれる大きな家がたくさん建っています。
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気仙沼のお正月準備は「六曜吉凶」や「十二直吉凶」などを暦で確認して「吉日」を選び、新しい年のしめ縄などの買い物や「すす払い」などを行います。
12月中旬が過ぎるとスーパーマーケットなどにも「本日大安」の表示がされることがあります。

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気仙沼市唐桑町の岩渕さんのお宅のお正月準備を見せていただきました。 

岩渕さんのお宅は先代が漁師だったこともあり、一畳ほどの広さのある神棚がまつられています。お飾りや風習や慣習も世代が変わるごとに少しずつ簡素化されたそうです。
12月に入ると新しい神様をお迎えするため、「すす払い」をして神棚から今年のお飾りを外します。
岩渕さんのお宅では、今年は12月17日に「すす払い」をし、神棚から今年のお飾りを下げました。

今年のお飾りが外されきれいに「すす払い」された神棚
「すす払い」が済んだ夜に「すす神様」といって、神棚にご飯を供え、神様に一年の無事を感謝します。
 
すす払いが済んだ後の吉日に、神社に「御幣束(おへいそく)」を授かりに行きます。御幣束の内容は地域や神社、家庭によって異なります。
12月も残り数日になると、「神宮大麻」「御神像(お正月様)」「しめ縄」「御幣束」「星の玉」「切り子」「供え餅」「お神酒」「塩」「米」「水」などを準備しいよいよ新しい年神様をお迎えする神棚が飾られます。
 
気仙沼には「七房」「五房」「三房」「輪」「エビ」など多くのしめ縄があります

まず、しめ縄に、「松」と「紙垂(しで)」をはさみ込みます。岩渕さんのお宅では、神棚、氏神様、玄関、倉庫など、家の内と外に6本のしめ縄を飾り、新しい年の神様をお迎えします。

紙垂(しで)をつけて幣(ぬさ)ができました


神棚に罪・穢(けがれ)を払うため神前に供える幣(ぬさ)を準備します。

星の玉に描かれた大黒神・恵比寿神

松・竹・梅が描かれた星の玉
気仙沼の神棚には「星の玉」と呼ばれるお飾りを飾ります。こちらのお飾りは7枚、5枚、3枚の3タイプがあり家庭によって枚数が違います。
岩渕さんのお宅では7枚の星の玉を神棚と仏壇に分けて飾ります。

御幣束と呼ばれる新年を迎えるためのお飾りの一例
宮城県では御神像(ごしんぞう)をお神札と合わせて「お正月様」と呼ばれる独特な御神像をお祀りして一年をお守りいただく風習が行われています。

「大年神(おおとしがみ)」=新しい年をお授けになる歳神様。お正月様その年のお正月の中心とされる神様です。
「大國主神」=大黒様とも呼ばれる福の神として親しまれています。
「五穀豊穣(宇迦御魂神)」=五穀豊穣の御神徳を司られる宇迦御魂神は人々が生きていく上で欠かせない衣食住をお守りくださいます。
「事代主神」=「恵比寿さま」とも呼ばれ漁業、海運の神様として崇められています。
「奥津彦神、奥津姫神(竈神)」=竈神様は、火の恩恵を頂きながら、火災などの災いを避け、穢れや禍から家を護ってくださいます。

台所に飾られる「奥津彦神、奥津姫神」竈神様
地域によっては、「開運福禄寿」「五穀豊穣」などの願いを切り子で現し飾ることもあります。


奥3本の幣は神棚に飾ります
手前の5本の幣は氏神様、水神様などに飾り、鎮守様のお参りにも持参します
竹に紙垂をはさんで幣(ぬさ)をつくり神社の参拝の時などに持参し祈願奉納します。

お正月飾りがされた神棚(岩渕さん宅)
「お供え餅」、「お神酒」、「塩」、「米」、「水」を供え、神棚に歳神様、しめ縄、星の玉、切り子をお祀りして新年をお迎えする準備ができました。

玄関にもしめ縄が飾られます
玄関、倉庫などにもしめ縄を飾ります。

地蔵堂にもしめ縄が飾られます。
御地蔵堂もしめ縄が飾られ新年の準備ができました。

大黒神・恵比寿神の切り子も飾られます
震災から3回目のお正月を迎え、少しずつ人の心も落ち着きを取り戻しつつあります。
気仙沼市内の仮設に住む男性(78)は、「今年で3回目の正月。仮設だから昔みたいにはできないけれど、今年は年神様をお迎えし、少しばかり餅をついて食べようかなと思います」と話しました。

岩渕さんも「震災前のように神棚を飾り新しい年をお迎えできることがうれしい」」と話しました。

生活環境が変化し、慣習や風習も少しずつ簡略化され地域で大切に守られてきた文化も風化してきています。
地域に残る文化にはその地域で生きる人たちの「知恵」や「祈り」があることを、」今回の取材を通じて感じました。
先祖から受け継がれてきた地域の文化を風化させず細く長く継承していきたいと思います。
 
(取材日 平成25年12月25日)