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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年11月22日金曜日

2013年11月22日金曜日18:23
石野葉穂香です。

南三陸町の名足漁港を見下ろす小高い場所に、海明かりをいっぱいに浴びた3台のトレーラーハウスが並んでいます。
車体の横には「カフェかなっぺ」の看板。
そう。ここは、今年(20137月にオープンしたイタリアンカフェの店舗でもあります。

名足漁港や名足小学校ののすぐそばです
11月半ば、お店におじゃましました。気温18度。よく晴れた、小春日和のお昼でした。

お店を切り盛りするのは、千葉馨さんと嘉苗さんご夫妻。
ご主人の馨さんはもともと歌津の方ですが、奥さんの嘉苗さんは横浜のご出身。
入籍は、昨年2012年の11月でしたが、今年4月、ふたりは、地元で「未来道」と呼ばれる砂利敷きの道に布を延べて設えたバージンロードを歩いて結婚式を挙げました。

アーチやバージンロードは
地元の人たちやボランティア仲間が用意してくれたもの

空と海の青色の中で愛を誓いました

地元の人たちは普段着で参列。
あたたかな〝地域手づくりの結婚式〟でした

「未来道」とは、震災直後、道が崩落して孤立した歌津・馬場中山地区の住民たちがボランティアたちとともに農道を広げて造った延長約1.5㎞の避難道路のこと。今はもう使われていませんが、〝地区の未来を拓いた道〟として「未来道」と名付けられたのです。


工事中の「未来道」

おふたりの出会いは2年前、20118月――。
嘉苗さんは、震災直後の4月にはもう歌津入りし、名足保育所で炊き出しボランティアを行っていました。その後も会社の有給休暇を使って歌津へ通い、8月には草刈りボランティアにやってきました。

嘉苗さんは、妹さんとふたりで海辺でキャンプしながら草刈りを手伝うつもりでしたが、ふたりのテントを見つけた地元の漁師さんが「いやいや、ちゃんと屋根のあるところを紹介すっから」と連れて行ってくれたのが馬場中山地区の生活センター。そこでお世話役をしていたのが馨さんでした。

馨さんは、家業の水産加工会社に勤めていましたが、会社は津波でダメージを受けて休業に。その後、地域の情報を発信するウェブサイトを立ち上げたり、支援に来た人たちの受付や、支援物資の管理などを担当していました。
「いわば地区の渉外担当。生活センターは避難所としては7月に閉鎖したのですが、その後もボランティアなどにやってくる人たちの窓口になっていました」

生活センターの前庭から見た、震災直後の馬場中山地区

嘉苗さんは、草刈りが終わったあとも月イチペースで歌津に通い続け、馬場中山地区の人たちと親しくなり、やがて歌津へ移り住むことを決意。
そして20128月、横浜の会社を辞めて、歌津へやって来たのでした。
「都会育ちの彼女ですが、南三陸の空気がすごく肌に合ったみたいです。ここに来ると、とにかくよく眠れるって(笑)。海の朝日、波の音、地区の人たち、全部ひっくるめて大好きになってくれたみたいです」

トレーラーハウスが設置される丘を重機で整地

嘉苗さんにはプランがありました。
調理師の免許を持ち、横浜ではイタリア料理店の経営責任者を任されていたことのある嘉苗さん。
「トレーラーハウスを使って、歌津で飲食店を開きたい――」
嘉苗さんの夢が、歌津という新しいステージで動き始めます。

嘉苗さんは、馨さんのお母さんともすでに仲良しでした。「じゃあ、住むところが決まるまでウチに来れば」と馨さんに誘われて、嘉苗さんは千葉家の居候に――。

そして9月、嘉苗さんはトレーラーハウスの貸出しで南三陸町を支援してくれていた茨城県の会社を訪ねます。馨さんも同行したのですが、そのとき、宿泊もできるトレーラーハウスを見て、馨さんも気持ちが揺さぶられたのでした。

4月3日、中山漁港にトレーラーハウスが陸揚げされました!

「ボランティアの仕事が減って、南三陸へ来てくれる人の数も減り始めていました。多くの人と出会えたというその関係を長く続けるには、被災地にまた来られる〝口実〟が必要です。だったら宿泊施設があれば、今後も気軽に再訪してくれるようになるかもしれないと思ったんです

 会社が流され、自宅も二階まで津波に襲われた馨さん。助かった命を皆のために使いたい――。その思いが嘉苗さんのプランと重なりました。
 
茨城県からの帰路、馨さんは嘉苗さんに交際を申し込み、そして間もなくプロポーズ。
「出会ったときは結婚するとまでは思っていませんでした(笑)。でも、馬場中山での僕の活動も理解してくれていましたし、価値観も近い。女性として、そしてパートナーとして、とても大切に思えたのです」

7月27日、雨が降ったり止んだりのあいにくの天気でしたが
「カフェかなっぺ」は開業しました

春の結婚式から3カ月後の727日、「カフェかなっぺ」はオープン。
「南三陸になかった味」と、嘉苗さんの本格イタリアンは評判を呼び、地域のお年寄りもやって来ます。パスタやハンバーグ、そしてスムージーやケーキなど、手作りのおもてなしが好評です。
「小松菜ときのこのペペロンチーノ」
今後は地元の魚介類などを使ったメニューも
増やしていきたいとのこと

 カフェと隣接して、馨さんの夢である宿泊できるトレーラーハウスもありますが、現在はまだ許可申請中とのこと。
「地区に人がやって来るという流れを断ち切りたくない。南三陸に活気を呼び込むことができる、そんな存在感ある場所になれたらって思います」


前庭からは、嘉苗さんが大好きな、馨さんのふるさとの海が青々と見晴らせます。

ふたりで歩いた「未来道」――。
ふたつの夢が今、ひとつになって、海明かりにキラキラと輝いています。

千葉馨さん(左)と嘉苗さん。
右の方は「TSUNAGARI」(一般社団法人震災復興支援協会 つながり魚竜)の石田寛道さん。
「TSUNAGARI」については「長須賀海岸海水浴場復活大作戦!」
http://kokoropress.blogspot.jp/2013/07/blog-post_12.htmlなどを参照

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「カフェかなっぺ」

所  在 地 宮城県本吉郡南三陸町歌津中山2-1
電    話 090-1069-4870
営業時間 8:00~17:00 (ラストオーダーは16:00)
        ※予約の場合は平日夜でも20:00まで営業。当日の16:00までに連絡を。
定  休 日 毎週火曜日

馬場中山カオル商店 http://www.chibakaoru.jp/

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(取材日 平成25年11月18日)