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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年11月14日木曜日

2013年11月14日木曜日18:16
こんにちは エムです。

心配された台風が奇跡的に去った10月27日(日)。秋の晴天の下、

「被災地の子ども達が未来を新しい色で染める
──野染めワークショップ──」

仙台市野草園で行われました。


仙台市野草園「芝生広場」

10月2日(水)にご紹介し、被災した方を中心に参加者を募集していたイベントです。
野の風と一緒に“心”と”時”を染める

「野染め」とは、木と木の間に張った大きな布に、あらかじめ煮出して作った草木の染料を入れたバケツと大きな刷毛を手に、集まった全員で一斉に染めていく、というもの。
個人的な興味もあって、実際にその様子を取材してみました。


爽やかな秋晴れの気持ちのいい空気、風が吹くたびにケヤキの葉が舞う野草園の芝生広場には、大きなケヤキの木と木の間に白くて長い布が張られていました。
参加者は「ハート&アート空間 ビーアイ」の子どもたちと保護者を中心に、「ほっこりカフェ」の参加者や、学生、野草園のスタッフなど。
教えてくださるのは「風の布・パピヨン」のポコさんとペコさんです。

左からペコさん、ポコさん


さまざまな植物を煮出して作った染料。
中には「カイガラムシ」の分泌物から作った染料もありました

早く染めたい気持ちの子どもたちですが、その前にやらなければならない準備があります。全員でもう1本の布を張る仕事があるのです。


「ガリ」という針のたくさん付いた道具に
布の端をかませて固定します

色落ちしないよう豆汁(ごじる)を染み込ませた
木綿の布は18メートルもあります


「伸子」(しんし)を使って布がピンとなるように張ります。
布は地面から50~60センチほど浮き上がった状態になりました

「5、4、3、2、1スタート!」
号令が終わるやいなや、全員の刷毛は白い布の上を右に左に、円を描いたり滴を垂らしたり、誰かの描いた上に重ねて描いてみたり。


ルール1:1カ所にとどまらないこと

青、茶、紫、黄など、植物からこんなにも多様な色が採取できるとは思ってもみませんでした。それに甘い良い香りもします。
30分ほどで、用意された2本の布は塗り残しなく染められました。

ルール2:白い部分が無くなるまで続けること


染めた布を下から見ると、木漏れ日の光に透けてまた美しい
ところで、「風の布・パピヨン」って?

取材の後日、お手紙を頂いたので、それをご説明に代えましょう。


風の布・パピヨンはポコ、ペコ、齋藤の3人が中心になって動いているグループですが、私たちの実感としてはもっと多様な人たちにより成り立っているように思います。

現地に行かなくても活動のための準備に徹する人や、いつおカンパや支援物資を送ってくださる人、
また、その時だけ旅を共にする人も、この間、数多くおりました。
それぞれがそれぞれに大切な役割があり、それがグループとしての幅や自由さを作り出しているのかもしれません。

規約などない、ある種いい加減なグループですが、そのあたりのゆるさを実は大切にしようと思っています。
そんな感じがうまく伝わると良いのですが……



「野染め」は齋藤さんが染色を生業として活動する傍ら、25年ほど前から行っていました。

東北での支援活動のきっかけとなったのは「お針箱」の支援だったそうです。
震災後、被災地ではたくさんの衣料品の支援物資が送られてきましたが、大きさを調整したり、ボタンを付けたり自分で直す事ができるようにと「お針箱」(裁縫箱)の支援を考えた齋藤さんは全国に提供を呼び掛けました。そしてまずは350個のお針箱を届けました。

そんな時、障がいのある方の避難所生活がとても大変だった話を聞いた齋藤さんは、支援学校の方も楽しい事をしようと「野染め」を提案したのだそうです。
「野染め」は被災地でとても歓迎されており、たくさんの笑顔を生んでいます。

染めた後の布を使って〈メモリアルキルト〉〈てびらこつぎっこ〉という活動にもつなげているそうです。こちらも被災地の方の心に寄り添うような、温かな活動です。
(詳しくは「風の布・パピヨン」ブログ http://blog.canpan.info/shamurie/


自分の好きなように。自分の手が動くように。
色が混ざるように刷毛を動かします



しかし「野染め」はなぜ「草木染め」で行っているのでしょうか。
きれいな色や、色と色の重なる美しさを体験してほしいのであれば、もっと鮮やかな染料があるはずです。

「齋藤は長年染色を生業としてやってきましたので、最近まで従来の染料で『野染め』も行っていました」
しかし震災後、東北に通うようになって齋藤さんの気持ちに変化が生まれたそうです。ポコさんが続けました。

「化学染料はいくら処理をしても、どうしても無害とは言えない物。環境を大切にしようというのであれば、自分から変わらなければならないんじゃないか。そんな気持ちから齋藤は今までやっていた染料を止め、自然から抽出する『草木染め』に変える大きな決断をしました」



ここで誤解のないように補足させていただくと「草木染め」はたいへん奥が深く、転向しましたといって、染色家の齋藤さんでさえ すぐに使いこなせる染料ではないそうです。しかも製品として高い品質を提供出来なければなりません。
「仕事につなげていく、その途中なのです」
「また、草木染めの良い所は、その土地土地で採れた植物などの材料でできること。それが土地の良さとつながって、地元の活性化にもつながるよう考えたい」とペコさんは言いました。
岩手県釜石市に今年7月に立ち上がった「『耕絲館』ぺっこずつ」での協力活動もその1つなのだそうです。
「『耕絲館』ぺっこずつ」ブログ http://pekkozutsu.blog.fc2.com/


時間が経過し乾いてくると、描いた直後とは色が変わっていました

「野染め」の染料」に転向して1年半。まだまだ試行錯誤の段階とのことですが、自然の優しい風合いがとても美しく、見ても触ってもまた香りまでも楽しめる「草木染め」は、今、世の中で求められているものが詰まっているような気がしました。

「東北の自然の中で『野染め』をしていたら、東北が大好きになりました。
何か支援が出来ないかと動き出しましたが、今はこっちが支援されているように感じるのです。それは、自分が生きていく中で、凄い力になっている。だから止められない」ポコさんはそう言って優しい笑顔で笑いました。

「風の布・パピヨン」の活動は2~3ヵ月に1回のペースで行っており、今まで15回を数えています。


さて、みんなで染めた布はその後、人形の服やブックカバー、バックに縫い付けたりと、受け取ったそれぞれが思い思いの物に作り替えて楽しむ事ができます。

人形や人形の服・バッグ・小さく切ってアップリケにと用途はさまざま

参加者の皆さんからは、
「皆でやってみたら色が混ざるだけでなく重なって色ができたりしてきれいだった」
「クルミを使ってみたが、青いと思って塗ってみたら茶色で、不思議だった」
「外でやれたのは、とても気持ちが解放されて楽しかった」
などの感想が聞かれました。

親子3人で参加の、小幡浩喜さん、咲奈さん、博子さん。
「ビーアイ」の生徒の咲奈さんは中学2年生。
「色がまざり、かさなって、とてもきれいだった」

草木染め染料の中には、野草園スタッフの大友直美さんが作った“クルミ”や、地元仙台の“セイタカアワダチソウ”がありました。

「ふくしまほっこりカフェ」参加者の植松真弓さんは福島にもたくさんの“セイタカアワダチソウ”が咲いていたのを思い出し、あの花からもきれいな黄色の染料ができる事に驚いていました。

セイタカアワダチソウの染料

「この野染めを通して、布の色がどんどん変わっていったように、私たち人間もどんどん変わっていけるし、世界は広がっているということを感じてほしかった」
最後に「野染めワークショップ」の主催者「ビーアイ」の清水(ちーず)さんが挨拶し「野染め」は無事終了となりました。


「野染めでつながる 東北とつながる」
左からビーアイ」清水さん、ペコさん、ポコさん、
参加者の岩城友子さんと竹田文さん、「野草園」の大友直実さん


カンパのお願い *******************************

「風の布・パピヨン」が長く支援活動を続ける為にはどうしても皆様の協力が必要です。この活動に賛同し、協力をしてくださる方はぜひ温かいご支援をお願いします。

ご支援には “カンパ” としての方法と、東京都世田谷区での「雑居まつり」や京都での展示会で、メンバーや被災地の方の作った作品を購入していただくなどの方法があります。

ご協力、よろしくお願いいたします。



〈お振込先〉 七十七銀行 一番町支店 普通 口座番号/6180086
口座名義/ゆうき応援基金  代表 関口 怜子

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イベントと作品は下記のサイトを参照ください

「風の布・パピヨン」ブログ http://blog.canpan.info/shamurie/

「『耕絲館』ぺっこずつ」ブログ http://pekkozutsu.blog.fc2.com/

「雑居まつり」ブログ http://zakkyo.blog133.fc2.com/

「ハックの家」 http://hakkunoie.com/

「どこでもビーアイ・だれでもビーアイ」 http://1987bei.blog.shinobi.jp/

仙台市野草園は四季を通して豊かな自然に触れる事のできる、美しい所です。
イベントも随時開催されています。

仙台市野草園
TEL 022-222-2324
http://www.sendai-park.or.jp/web/info/yasouen/

ハート&アート空間 ビーアイ
TEL 022-262-2969 FAX 022-262-2975 
Twitter:@zoukabako
ブログ:http://1987bei.blog.shinobi.jp/


(取材日 平成25年10月27日)