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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年10月9日水曜日

2013年10月9日水曜日19:11
YUUです。

お盆過ぎ、幾分、暑さも和らいだ8月下旬に宮城野区文化センターに行ってきました。

津波で流失した写真の展示会が開かれていたのです。



宮城野区文化センター


津波流失写真、物品の展示会は今回で3回目


以前、ココロプレスで活動内容を紹介した、市民ボランティア団体「おもいでかえる」。

http://kokoropress.blogspot.jp/2012/12/blog-post_23.html

http://kokoropress.blogspot.jp/2013/02/blog-post_9652.html

そのスタッフが中心となって写真洗浄やファイリング、公開を行った、津波流失写真展示会が開催されていました。
展示されたのは主に仙台市若林区と宮城野区で回収された写真です。


今回の展示会は、昨年3月、今年3月に続いて、通算3回目になります。




来場者が探しやすいように展示方法も色々工夫されている




展示されている写真は、仙台市宮城野区、若林区の海沿いの地域のがれきの中から見つかったもので、約20万点に及びます。

過去2回の展示会では、合計で約10万点の写真が持ち主に返却されました。

膨大な数と種類の写真は、来場者が見分けやすいようにさまざまな工夫が凝らされています。

展示什器などは皆、「おもいでかえる」メンバーの手作りだそうです。




結婚式など大切な思い出の写真はきちんと保管されていた
ケースが多いだけに、発見されたものも多いという




写真のなかには経年劣化の激しいものも多数含まれていて、洗浄作業のほか、専門のスタッフたちにより、きめ細かな作業によって写真の復元も行います。


おもいでかえるの野瀬香織理事長に話を聞きました。


「私たちが洗浄作業をしている写真、アルバムは奇跡的に拾われたものです。被災した方それぞれにとってかけがえのない、大切な写真だと十分に認識して丁寧な作業を心掛けています。『おもいでかえる』では、持ち主の方が写真を見つけられた際に、復元ができるとの案内もしています」


がれきの中から発見されたアルバムは、水没中にフィルムがくっついてしまったものもたくさんあります。

そうした場合、復元の可能性を消さないようにアルバムのフィルムを無理に剥がさず、写真の裏面から乾燥させ、色落ちを防ぐ方法を採用します。この方法は、おもいでかえる独自のものだそうです。






損傷が激しいアルバムもできる限り洗浄、復元して
展示している


津波により傷んだ写真の洗浄、復元はとても根気の要る作業です。


「集中力が散漫になって、雑な作業をしてしまうと、状態が悪いものなど、表面を覆うゼラチンが剥がれてボロボロになってしまいます。写真の裏に付いている紙や接着剤はカビの原因になってしまうので丁寧に剥がします」

一冊のアルバムの修復にはおよそ数週間はかかるそうです。


さらに、展示会を開催するためのナンバリング作業に数カ月間の準備期間を要します。


「展示する写真の形態や状態はさまざまですし、なにしろ膨大な数なので、展示会のためのナンバリング作業はとても時間がかかります」





持ち主の手にできるだけ多くの写真が戻るように、1枚1枚の写真が丁寧にナンバリングされ、保管されています


現在、生活の拠点を愛知県に移している野瀬さんは、仙台で活動する「おもいでかえる」のメンバーとは別に、自宅に送られてきた写真の修復やナンバリング作業を愛知県のボランティアスタッフとともに行ってきました。


「8月に入ってから仙台市で他のメンバーとともに展示会に向けての作業を行いました。子どもがまだ小さいので、愛知と宮城の移動も大変ですし、常に子どもを作業場に一緒に連れてきて、何とか展示会準備をやり通したような感じでした」


野瀬さん自身、仙台市が一般社団法人に委託して行っていた写真洗浄作業に参加するボランティアの一人でした。

昨年の3月でその作業が打ち切りになったため、現在のおもいでかえるのメンバーとなった有志たちで引き継ぐかたちになったと言います。


「私自身、若林区荒浜にあった実家が津波で流失し、卒業アルバムや思い出のスナップを全て失いました。写真洗浄の作業にボランティア参加したのも『もしかしたら、家族の写真が見つかるかもしれない』との思いからでした」







「世界に1枚しかない思い出の写真が持ち主の元へ帰りますように」
と話してくれた「おもいでかえる」の野瀬香織さん


おもいでかえるのメンバーと展示会準備に参加した数多くのボランティアスタッフの地道で根気の要る作業によって、今回の展示会でも、前2回の展示会と同様に多数の思い出の品が持ち主の手に返却されました。

昨年、今年3月の展示会には生活環境やスケジュール調整を理由に来場できなかった被災者も、お盆期間中開催の今回の展示会には多数、訪れたそうです。
   


さまざまな仕様のノートや手帳もまとめて展示されていました


展示会ではノートや手帳、その他トロフィーや携帯電話など、写真以外の数々の思い出の品も展示されました。

写真を含むそうした思い出の品々は、失ったことにより、被災した人々に例えようのない喪失感を与えていたんだなと、野瀬さんたちスタッフは返却がかなった来場者たちの声を聞いて、あらためて感じたそうです。 


返却されずに残った写真や思い出の品々、持ち主が見つかった写真のなかで洗浄を請負った多数の写真。

多くの人々に必要とされ、被災地の現状を幅広い地域に発信し、復興の思いを風化させないためにも、おもいでかえるの活動を継続し、今後も定期的に同様の展示会を行っていきたいと、野瀬さんは話します。

「先々を見据えて、長期的な活動を行っていくためには、団体の運営スタイルを見つめ直す必要性も感じています」


おもいでかえるの活動を支えるメンバー。レギュラー、スポットを問わず活動に参加する大勢のボランティアスタッフたちには、それぞれの生活もあります。地道で根気のいる写真洗浄などの作業を長期にわたり継続していくことが大変なことは、容易に想像がつきます。

継続する力があってこそ、大切な思い出がよみがえる。

おもいでかえるの地道で根気のいるボランティア活動は、集中的な肉体的労力を必要とする活動とはまた別の、震災復興を支えていく力強さを感じました。




震災復興ボランティア団体
おもいでかえる
http://www.omoide-kaeru.com/


(取材日平成25年8月23日)