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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年10月24日木曜日

2013年10月24日木曜日21:00
こんにちは エムです。

突然ですが『まちフェス~伊達ルネッサンス~』というイベントをご存知ですか?
9月14(土)〜10月27日(水)までの約1カ月半にわたり、仙台藩伊達家ゆかりの地、亘理町・山元町・新地町3町で開催されているイベントの名称なのですが、今回はこの『まちフェス~伊達ルネッサンス~』についてご紹介させていただきます。
(以下『まちフェス』

東日本大震災では宮城県南部と福島県北部の沿岸地域でも甚大な被害がありました。
いまだに「仮設住宅」には多くの方々が住んでいますし、「みなし仮設住宅」「民間借り上げ住宅」なども含めて、家族や同じ地域に住んでいた方が別れ別れになって暮らさざるを得なかったり、1人暮らしの方も少なくありません。

「かたくり舎」の中の棚に置かれた糸

そこで、同じ地域同士や、他の地域の方との新たな出会い・交流を育み、参加者が地域活動に携わる機会を提供しようとのコンセプトで始まった『まちフェス』
一般社団法人「ふらっとーほく」主催のイベントです。
(ふらっとーほくホームページ http://flatohoku.jp/)

[2012年6月18日月曜日 みんなでこせっぺ!(亘理町)]


昨年(2012年1月12日~2月14日)に次いで2回目となる今年は、24のプログラムが用意されました。
コンセプト通り、楽しみながら地域活動に携わるきっかけになりそうな、魅力的な内容ばかりです。
講師となり指導してくださるのは、これまでもそれぞれの地域で活動に取り組んできた達人たちです。
『まちフェス~伊達ルネッサンス~』ホームページ参照:http://machifes.jp/about/


工房に置かれた機織りの道具類

私は、10月12日(土)に開催された
「織姫たちと紡ぐ絆~vol.2~ シルクのマットを作ろう」をのぞいてみました。

開催場所は山元町坂本にある「かたくり舎織姫の会」
『まちフェス』にサポート役で参加している澁谷直美さんの運転する車に案内され、秘密の通路のような細い田舎道を必死で着いて行くと、行き止まりに「かたくり舎」はありました。
風に揺れる大きな木々や畑に囲まれた風変わりな木造の建物は、小さな集会所のようなたたずまい。


「かたくり舎」

迎えてくださったのは、代表の志小田(しこだ)惠子さんをはじめ「織姫」の皆さんの明るい笑顔でした。

昨年は定員数いっぱいの8名の参加があった人気のプログラムですが、今回は同じ山元町から参加の坂野美香さんとサポーターの澁谷さん2人でしたので、穏やかな秋の日差しが差し込む工房で、ゆったりと製作することができました。


「裂き織り」に使うシルクを裂いた糸

今回体験するのは「裂き織り」というもの。
あらかじめ縦糸が張られた織り機に向かい、細く裂いた絹の布を横糸として織っていきます。
坂野さんは編み物が趣味という手芸好き。前から織物もやってみたいと思っていたそうです。初体験ながら、優しい先生の指導を受け、短い時間の間にきれいなマットを作ってしまいました。

「まちフェス」参加の坂野美香さんに教えているのは達人の冨田さつこさん。
「仮設にいた頃は気持ちが辛かったけど、ここに来れて本当に楽しいの。
ここに来る前は手芸は何もやった事がなかったのよ」。

(手芸好きだから!?)と手芸が苦手の私は内心考えて自分を慰めようとしましたが、お話を聞いてみると、ここに来ている皆さんのほとんどは初心者だったそうです。私と同じように手芸は苦手、とおっしゃる方もいました。

「こつをつかめば簡単です」


手の込んだ美しい織物を明るい笑顔で織っている皆さんですが、ここまでになるのには「かたくり舎織姫の会」を立ち上げた志小田さんの力がありました。

震災で甚大な被害があった中浜地区では、314戸のうち20数戸がかろうじて残っただけでした。
志小田さんは震災直後からご主人と一緒に、高台にあり無事だった自宅を拠点に支援活動を始めました。おにぎりや着るもの、こまごました日用品まで、できる限りの支援物資を仮設に届けました。
そうしているうちにご主人の友人から、「仮設にいる女性に織物を教えてもらえないか」といった依頼を受けたそうです。


縦糸をセットする「整形」までが作業の7〜8割。半日かかるそうです。

志小田さんは以前は「高機」(たかはた)という大きく本格的な織り機で織物をしていた方です。
ある時、現在使っている小さな織り機に出会い、気軽にできるこのタイプにはまってしまったそうです。震災の3年ほど前のことでした。

「皆さんの癒しになるなら」
「これまでの物質的な支援から、心の支援に」
「かたくり舎」は志小田さんのそんな想いで始まったボランティア織物教室だったのです。


機織りを実演して指導する志小田惠子先生

「ここを立ち上げてから今まで、たくさんの方々の支援や協力を受けてこれまでやってきました。本当にありがたいです」
大阪のメーカーからの、織り機の無期限の貸与。
ネットで呼び掛けてくれた支援団体のおかげで、全国から送られて来たたくさんの糸。
海外から送られた義援金。
「かたくり舎織姫の会」はこうした助けがあって活動の輪を広げて来られました」。
志小田さんはしみじみと語りました。




小さな機織り機ですが、織り方は何種類もあるそうです。
糸の色や種類を替えるだけでもまるで別の製品になります

またフランスにある東日本大震災の支援団体から、日本の製品をフランスのお祭りで販売したいとの提案があり、澁谷さんの運営する「NPO法人ガーネットみやぎ」の協力を得て「かたくり舎」の製品を出品しました。
新たな国内、海外からの販売の申し込みも絶えず、「かたくり舎織姫の会」の製品は人気があります。

工房の中の製品は購入できます。

しかし、現在まで活動し続けてきた志小田さんですが、このところ体調が優れず、販売を控えようと考えています。
「かたくり舎織姫の会」の皆さんにとっても思いのまま、ゆっくり製作する時間が必要なのかもしれません。

織り製品作りには、糸はもちろん時間が必要です


『まちフェス』を初めて取材させていただきましたが、参加した方の気持ちと迎えてくださる方、それぞれぞれの深い思いと温かい心がそこにはありました。人と人はこうしてつながるのだと感じさせられました。
興味はあっても車がない、連絡する勇気が出ない、やったことがないなど、たくさん考えて今回は参加を見送ってしまった方もいるかもしれません。
でも、1歩踏み出せば、そこには必ず出会いがあります。1歩の先には人がいるのです。
温かな心が待っています。


温かな雰囲気の中、集中した穏やかな時間が流れていました


今までのなじみのある つながり とは違うかもしれませんが、新たな交流が思いもかけない新たな力となって自分を励ましてくれる時もあります。
『まちフェス』のように、復興に力を貸そうと思って活動している人は、現在もたくさんいます。
でも、私たち被災者自身が動きださなければ何も始まらないのです。
被災者だと自分でも思わなくなった時、その時こそが復興なのではないでしょうか。

そんなことを考え、感じさせられたプログラムでした。

後列左からサポーターの澁谷直美さん、「かたくり舎織姫の会」代表の志小田惠子さん、
南条くにさん、冨田さつこさん、菊田公子さん、横山真理子さん。中央は坂野美香さん

「支援をたくさんいただきました。いつか支援でお返ししたいです」
「全国の皆さんに感謝しています!」


〈まちフェス~伊達ルネッサンス実行委員会〉
所在地:宮城県亘理郡亘理町字上茨田38番地
事務局連絡先:090-2953-0289(平日9時~18時)

「かたくり舎織姫の会」
Facebook:
https://ja-jp.facebook.com/pages/かたくり舎織姫の会/339162962855641

『まちフェス』サポーターの澁谷直美さんも「かたくり舎織姫の会」を支援する1人です。
「NPO法人ガーネットみやぎ」を立ち上げ支援活動を続けています。


(取材日 平成25年10月12日)