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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年9月20日金曜日

2013年9月20日金曜日13:41
こんにちは。エムです。

ケナフって知ってますか?
成長時に二酸化炭素をたくさん吸収するため、地球温暖化防止に役立つ植物として注目され始めたのは十数年前。
アフリカ原産で成長も早く、土壌も選ばず、どこでも栽培できると言われています。
皮の繊維で布や紙も作れるので、森林保護の観点からも有効な植物として一時は学校の教材にもなり、あちらこちらで栽培されていましたね。
日本の学校どころか世界中で注目されてた時期もありました。


今が花盛り。これから1ヶ月は楽しめます。(9月8日現在)

そのケナフを、津波被害があった閖上で栽培する「閖上ケナフプロジェクト」が発足しました。

ケナフで炭を作る「炭焼き釜」を造ったという情報もあり、
あまりケナフの知識のないワタシは、頭の中「?」マークいっぱいのまま現地に向かいました。

待っていたのは見上げるほど高く成長したケナフ!
そして「閖上ケナフプロジェクト」発起人の南部由希さん。

南部由希さん。畑から車で30分かかる仮設住宅から通ってます。

「長靴持ってますか?」
さすがに長靴までは気が付きませんでした。・・・畑には長靴ですよね。
南部さんに長靴をお借りしてケナフ畑へ。

津波から残った作業場。

そこで出迎えてくださったのは2人のスペシャリスト。

 農業のスペシャリストの橋浦祺卓(はしうら よしたか)さんと、
ケナフ研究のスペシャリスト勝井徹(かつい とおる)先生。

橋浦祺卓さん。「ここまで水がきたんだよ」

橋浦さんは閖上で長年農業を営んでいる方。
このケナフ畑も橋浦さんが、かつて大根や白菜、ブルーベリーなどの農作物を作っていた畑です。津波被害で作物を作れないため、このプロジェクトに賛同した橋浦さんは力を貸すことにしたのだそうです。
それこそ「“おけ”は“おけ屋”」「農作物は農家」。
手間を惜しまず丹誠込めた、作物作りの技を駆使して、ケナフ栽培に当たっています。



勝井徹先生。かつて農業高校で教鞭をとっておられました。
勝井先生は「NPO法人 ケナフ協議会」で理事を務めている方。
ケナフ研究では24年の大ベテラン。
種植えの時期や植え替えの仕方など、勝井先生のアドパイスで行っているそうです。
サポーターとして心強い存在です。



これで中くらいの茎。

このお2人がタッグを組み育てたケナフは、勝井先生も驚くほど背が高く、茎も太い成長ぶりです。正直ワタシもケナフって、直径1〜2センチの茎なのかと思っていました。
ところがなんと腕ほどもありそうな太さ。これなら立派な炭にもなりそうです。

しかし、作業はそう簡単ではなさそうでした。
ここまで成長するにあたっても、水の管理、雑草の草取り、病害虫の駆除など、夏の暑い中でも、ほぼ毎日作業があったそうです。
橋浦さんと南部さんが中心となり、早朝から畑に来ては作業をし、その後職場に向かう毎日を続けました。

迷路の入り口(予定)

このプロジェクトのスタッフは他に、
橋浦さんのご兄弟、
閖上出身者、居住者を中心に構成し活動している「閖上人」の有志数名、
土日などには子どもたちもボランティアで参加することもあります。
他にも、声を掛ければ集まってくれるメンバーがそろっていますが、皆さん、仕事を持ちながらのボランティア。まだまだ人手は足りないようでした。

なぜなら作業はこれからが本番。
「脇枝の剪定」「刈り取り」それと同時にやらなければならない「皮むき」「乾燥」
その後の製品加工もほとんど白紙の状況ですが、ゆくゆくは閖上産のケナフを使った「紙」「炭」「服地」「バッグ」などに展開できればと、みなさんは夢を持っています。

でも、製品化の方法や人材の確保などもこれから。組織としての体制作りもまだ整っていない中、手探りでケナフ作りに当たっているのです。


「ほらほら、今ならするっとむける。
もっと成長するとなかなかこうはいかなくなるんだよね」


左から、むいた皮・芯・葉っぱ。
「繊維」「炭」「食料」になります。

でも、どうしてこんな大変な思いをして、ケナフ作りをやっているのでしょう。

花のジュースが作れる。「マジックジュース」といって、
酸味を入れると色がパッと変わるのだとか。飲んでみたいです。

それはひとえに、地元「閖上」を思う気持ちから始まったことでした。

南部さんは言います。
「震災で閖上の人たちはバラバラになってしまいました。
 仮設でずっと引きこもっている人もいます。でも、ケナフ作りを通して、
 閖上の人たちが自然にここに足を運びそして一緒に何かできるような、
 集まる場所が欲しいと考えたのが始まりです。
 目指すのはコミュニティの再生です。」

その気持ちは橋浦さんも勝井先生も同じ。少しでも「復興・復旧」に役立つなら。そんな気持ちがこのプロジェクトを動かしているのです。

しかし、どうしたら大勢の人が気軽に集まれるのでしょうか。そのきっかけのために、いろいろなイベントの企画も考えているそうです。
まずはイベントの第1段として、成長したケナフを利用した「ケナフの迷路」を作ります。

勝井先生の持っているポールの先が3メートル。
「たかーい」はるひ君の3倍はあるね。
「9月いっぱいは成長しつづけるから、あと1メートルは延びるかも」

うっそうと茂ったケナフ畑。


「ケナフの迷路」は10月上旬〜中旬までを予定しています。
迷路が完成するまでには、下枝の刈り払いや茎を縛るなど作業はまだまだありそうですが、みなさんの目は輝いていました。

目指すは 心の中からの復興
ケナフの向こうに見えるのは「あんどん松」と呼ばれている松並木。
1本も欠けることなく津波に耐え、閖上の人たちの心の支えにもなっています。


この「閖上ケナフプロジェクト」は、これからいろんな人を巻き込んで、大きく成長していくことでしょう。
しかしまだまだ油断は禁物。これからの季節は台風と夕立に注意が必要です。
せっかく育ったケナフが倒れないように、実は強化策もあるようです。




ケナフは用途が広く、皮も芯も利用できますし、葉っぱや花は食べられます。
良いこと尽くめのケナフですが、反面、外来種が増えるのはどうなのかといった反対意見もあるのも事実です。
しかし、種は重く、勝手に飛んでいくこともありません。それに水や温度などの条件がそろわないと、なかなか発芽しないし育たないとのこと。
こうして苦労して育てている様子を見れば、納得だと思いました。
ましてこの東北の地では、自然にケナフが増える心配は少ないですし、ケナフの先進地と言われている四国でも、野生のケナフは見掛けないようです。


繰り返しになりますが、人手はまだまだ足りていません。
ケナフに関心がある方はもとより、被災地でボランティアがしたいと考えている方は、ケナフ畑での作業はどうでしょうか。
これから「刈り取り」「皮むき」など、山ほど作業が待ってます。


群馬高専などの協力を得て完成した炭焼き釜。
茎が乾燥すれば炭を焼くことができます。
炭は脱臭・防湿作用がある他、農地の土壌改良などにも利用できます。
炭の用途は広く、これからの展開が楽しみです。


まずは橋浦さんに連絡をしてみて、持ち物や服装などの指示を受けてください。
畑作業は大変かと思いますが、大きなケナフに元気をもらえますよ。

[橋浦さん連絡先]022-385-2365



(※)「ケナフの迷路」は当初10月上旬〜中旬までを予定していましたが、先日の台風18号ではたくさんのケナフが倒れてしまいました。復旧は橋浦さんと橋浦さんのご兄弟2人で終わっていますが、今後の台風の心配もあり、9月の後半から開催する事になりました。
特定の開催日はありませんが、行ってみたい方は橋浦さんまでご連絡ください。
(9月20日現在)


(取材日 平成25年9月8日)