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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年8月14日水曜日

2013年8月14日水曜日10:35
石野葉穂香です。

南三陸町の「絆ロール」をご存知でしょうか?

さまざまなメディアに取り上げられたので「知ってるよ~」という方も多いでしょう。
もともとは「くりちゃんロールケーキ」という名前でしたが、震災の時、このケーキを通じてたくさんの人たちとのふれあいが生まれたのでした。そして、いつしか名前も「絆ロール」へと変わっていったのです。

南三陸町歌津泊崎の高台、水平線から昇ってくる朝日をいっぱいに浴びて「ニュー泊崎荘」という旅館が建っています。
雄大な眺めとおいしい海の幸で人気の旅館。その館内に「絆ロール」を製造・販売する「パティスリークリコ」があります。

この日はヤマセの霧が出ていましたが
普段は海明かりに包まれて眺望も抜群です

代表は、旅館の次女で、パティシエの三浦宮倫子(くりこ)さん。子ども時代の1990年代、「おらほさきてけさいん」(「私の住むところへおいでください」)というキャッチフレーズでTVCMにも出演していました。愛称は〝くりちゃん〟。
CMを覚えているという方もいらっしゃるかもしれません。

宮倫子さんは、高校卒業後、仙台の専門学校で菓子作りを学び、市内のホテル勤務を経て、8年ほど前に歌津へ帰ってきました。そして、実家の旅館の、当時使っていなかった厨房でお菓子作りを開始。「くりちゃんロールケーキ」、「チュイル」(焼き菓子)、「くりちゃんまんじゅう」などを作って、宿泊客や地域の人たち向けに販売していました。

チュイルも再開中です

「気軽に食べてもらえたら――」。
あまり商売っ気は打ち出さず、泊崎に寄せる〝さざ波〟のように、ゆったりペースの菓子作りでした。

しかし、2011年3月11日、海は豹変します。高台の宿舎は津波の被害は受けませんでしたが、見慣れた景色は一変。三陸海岸に、たいへんなことが起きてしまいました。

その夜、宿から避難所へ毛布を提供することになったとき、宮倫子さんは、停電してしまった冷凍庫に、作り置きしていたロールケーキ約1000本があることを思い出します。
「いずれは解けちゃうから」と、ロールケーキも一緒に提供することにしたのです。

その後も、安否確認などで宿へやって来た人に「持っていってください」と差し上げ続けました。冷凍庫をさっと開け、何本か取り出して扉をすぐ閉めると、冷凍状態は約1週間近く保たれたそうです。

宿舎1階のロビーでも各種販売しています

震災直後、被災地では、子どもたちやお年寄りを中心に「甘味が恋しかった」という声が多かったといいます。疲れやストレスを感じると、やっぱり心身は自然に甘味が欲しくなるもの。ましてや尋常でない災害。「くりちゃんロール」のやさしい甘味が、どれだけ多くの人に喜ばれ、心と身体を癒してくれたか分かりません。

多くの人との絆を深めたロールケーキ。

やがて「また食べたい」という声にも押され、「くりちゃんロール」は「絆ロール」と名前を変えて、2011年6月、南三陸町ベイサイドアリーナで行われた「復興市」で販売を再開しました。

それまで3種類に加えて新作も登場し、今では「20種類ぐらい? かな(笑)」
一つひとつ、手で巻いていく文字通りの手作り。しっとりときめ細やかで、ふわふわの絶妙な焼き加減の生地、甘すぎないあっさりクリームが人気です。

ユニークなところでは、細かく刻んだわかめをクリームに混ぜた「福航わかめロール」という商品もあります。

わかめロールは1カット350円
ほんのり品良く、わかめが香ります
わかめ漁家だった幼なじみのいとこを応援しようと作ったものだそうで、
「『えっ? なぜわかめ?』って思ってもらうところから知ってほしい。南三陸といえばわかめ。そのおいしさに目を向けてもらって、地元の産業の復興も応援したい。お菓子作りからも漁業を盛り上げて行きたいと願っています」

冷凍庫から出して30分~1時間で食べ頃に

現在、12人いる従業員の中には、南三陸へお嫁さんにやってきて、津波でご主人を失った中国の方も3人いらっしゃいます。
「子どもは日本語しかしゃべれないから帰国もできない。この町で生きて行かなくちゃいけない。そんな人の役に立てたらいい。雇用を増やすことも私にできる支援かなって」

BOXには、くりちゃんの似顔絵入り

雇用を守るためには売り上げを伸ばすことも大切。でも、夏の間はケーキ類は売り上げが落ち込む時期です。
「時季的なことは心配はしていません。ただ、これまでは〝復興支援〟で買っていただいてた、助けてもらっていたっていう部分もあります。震災から2年が過ぎるとやっぱり〝風化〟っていうか、ちょっと感じるところはありますね・・・」

地域で生きていくのだから、地域に密着したお菓子作りで、地域の人たちに愛されるものを作っていかなくちゃ、と宮倫子さん。お休みしていた「くりちゃんまんじゅう」などもまた再開し、そして新しいお菓子も模索中です。


新メニューも研究中です

こちらはクリスマスケーキ。
いろんなケーキのオーダーにも応じてくれます

「長く愛されるロールケーキを、心を込めて作っていきます。目標は『雇用を守っていきたい』。まずはそれだけです」

「被災地でがんばっている姿を見てもらい
逆に日本を元気づけられるような・・・
そんな会社を目指します」

宮倫子さんは「長須賀つながりビーチ子ども海広場」の復活と運営を手がけた「TSUNAGARI」(一般社団法人震災復興支援協会 つながり魚竜)の理事でもあります。今夏は、そちらにも一生懸命に取り組んできました。
お盆が過ぎて、九月の声を聞く頃には、海辺にもひんやりと秋色の風と光。
するとまもなく「食欲の秋」です。

ちょっと気が早いですが、「絆ロール」のチェック、お忘れなく。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

●南三陸銘菓 復興~絆ロール~
 1カット 250円(プレーン)~350円(わかめ)
 ハーフ 930円~1200円
 ロング 1710円~2220円

●「ニュー泊崎荘」、「伊里前福幸商店街」、「みなさん館」(以上歌津)、「南三陸さんさん商店街」(志津川)、「ココサカエル」(気仙沼市松岩)、「道の駅大谷」(気仙沼市大谷)、「ラーメン よか○」(仙台市宮町)などのほか、ネットショップ「南三陸deお買い物 http//www.odette-shop.com」でも販売中です。
地方発送可。

●電話 0226-36-3905/3315

●FAX 0226-36-3907

●HP http://www.patisserie-kuriko.jp/

(取材日 平成25年8月5日)