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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年7月8日月曜日

2013年7月8日月曜日17:32
石野葉穂香です。

「民話」
多くの人は、山あいの村、キツネ、タヌキ、おじいさん、おばあさん・・・といった登場人物が織りなす、どこかほのぼのとした物語世界をイメージするのかな、と思います。

ちょっと難しく言うと、「民話」とは、伝説、童話、昔話、由来、世間話といった「民間に口承(口伝え)されてきた説話(お話し)」をひっくるめて指す言葉です。
そしてそこからは、時代背景、できごと、世情、教訓、戒め、地域性などを読み取ることもできます。

つまり、「あるとき」「あるところに起きた」「何かしらのできごと」を「誰かに伝えるため」に、あるいは後世に伝え残すために語られはじめたもの。
現代でも、のちの世代のため、未来を生きる人たちのために、新しい「民話」は次々に生まれています。

南三陸町では、今、震災をテーマとした「民話づくりのプロジェクト」が、地域の子どもたちによって進められています。
その様子を、ちょっと覗かせていただきました。

今日は1人欠席で、子どもたち5人でした

土曜日の夕方。仮設住宅の中にある「集会所」で、学習支援の勉強会が終わったあと「民話づくり」の“会議”が行われています。
参加しているのは6人の中学生。全員が女の子。

この日は「民話づくり」のための“材料集め”、つまり大人への聞き取り取材の方法についての話し合いと、質問シートの作成でした。

大人たちへの質問事項を皆で考えながらホワイトボードに書き出していきます。

「○○さんに聞く内容は?」「子どもの頃、防災について聞かされていたことってあるのかな?」「“津波てんでんこ”とか?」「“未来の子どもたちに伝えたいこと”も聞きたいよね」「なぜ、家族が大切なのか? っていうことも聞いてみたい」
こうして出された意見を「大人への質問」として手紙にして、そのあと、実際に話を伺いに行って、民話の材料となるたくさんの事柄を“取材”するのです。

子どもたちをリードするのは「HSF(=ヒューマン・セキュリティ・フォーラム)」というNPO団体のメンバー。
平成22年4月、東京大学の駒場キャンパスで「人間の安全保障」について学ぶ学生たちの「実践の場」として設立されました。

設立から1年後、東日本大震災が発生し、HSFは、安全や安心が確保されているとは言い難い被災地で、人々への支援活動を開始したのです。

ディグニティ(尊厳)。
人の安全、安心、尊厳を守るため、「HSF」は設立されました

現地の学生によるボランティア、東京からの週末ボランティアの募集、企業からの支援の受け入れ・・・など、HSFの支援活動は多岐に渡り、ここでは書き切れません。

宮城県内には震災直後から「東北出張所」が置かれ、現在は、学習支援を中心とした「子ども未来館」という活動を、南三陸町のほか気仙沼市、石巻市、登米市の2カ所で展開中です。

「創作民話づくり」も、その中から生まれたプロジェクト。
「みんなで創る防災の現代民話」がコンセプトです。

「民話づくり」は、平成24年12月にスタートし、今年3月12日、第一作目が完成しました。
このときの材料集めはスタッフが行い、子どもたちと一緒にストーリーを創って、イラストは、宮城教育大学の学生さんが描いてくれたそうです。

創作民話の第一作目『守られているということ』の表紙イラスト

現在、進められている作業は、「第二作目」を創るための素材集め。


質問したい内容を整理して、手紙にまとめ、
取材対象となる方に届けます。

「二作目の製作は子どもたちが中心です。自分たちのふるさとをテーマに、お父さんやお母さん、お年寄りなどに質問して材料を集め、自分たちで考えて創ることができるよう、私たちは後押しをしています」と語るのは、HSF東北出張所代表の大重摩祐さん。

大重さんは大阪のご出身で、平成24年1月、宮城県へボランティアでやってきたとき、「HSF」のメンバーに誘われて「気づいたら東北出張所代表になってました(笑)」

この日、いらっしゃったスタッフは、大重さん、そして、京都府ご出身の宮地水緒さん、一橋大学の現役学生である山崎真帆さん。

「子どもたちと一緒に物語を創っていく」という作業は、とても楽しそうでした。


「物語の内容を練り上げるのも、もちろんですが、創っていく過程でおもしろい意見が飛び出したりして、そんな“あしあとづくり”が楽しい」(宮地さん)

「子どもたちと関わるボランティアは初めてですが、やっぱり楽しいですね。いくつものキーワードを引き出せるように、一緒に悩んでます」(山崎さん)

スタッフの宮地水緒さん(左)と、大重摩祐さん

お手紙書けた~? と山崎真帆さん(後方)

参加者の女の子は
「お話しを創るってたいへんだけど、皆の体験を民話にすることで皆のためになる。震災のことを忘れないために、いろんな人の話を聞きたいです。それに、皆と一緒に創るのは、すごく楽しいです」とにっこり。

――子どもたちの中に、何か変化を感じることはありますか?
「自分たちが、何のために、何をやっているのか――ということを、一人ひとりが、しっかりと、自分の考えとして言えるようになってきました。子どもたちの中でも、震災のこと、そして未来へ伝えたいことが整理できてきているのかもしれません」(大重さん)

「あの日」のこと、そして「あれからの日々」を振り返りながら、子どもたちは「未来」のために、大人たちとの「今」を“共有”しています。


第二作は秋頃には完成の予定とか。
「じっくりコミュニケーションを図りながら、たっぷり時間をとって創っていきたいです」(大重さん)

お話しができあがったら、また取材におじゃましますね。
その日が今から楽しみです。


みんなで創る防災の現代民話プロジェクト(HSFのサイト)


(取材日 平成25年6月29日)