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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年5月19日日曜日

2013年5月19日日曜日10:36

石野葉穂香です。

私にとって、春の原風景は「田植えの頃の田んぼ」。
そして“音の原風景”は「カエルの大合唱」だったりします。

水が張られ、田植えが行われ、そして苗がまだ若いうち――。
およそ1カ月ちょっとぐらいの期間でしょうか。
田園地帯は、この季節だけの素敵な光彩に満ちあふれます。

空色を映した田んぼの水鏡――。
そのフレームを、萌えはじめの新緑や草花たちが明るく縁取ります。

入り日の頃には、黒々と塗りつぶされていく山々や森の影が、
茜に染まった田面を、雄大なコントラストの中に浮かび上がらせ、
やがてカエルの大合唱の中、そよ吹く風に街の灯が潤む――。

“お米の国”だけの、特別な風景です。

日没後、残照を湛えた田んぼが夕闇の中に浮かんできます

石巻市北郊。
旧北上川の右岸に、大きな牛が伏せたような、なだらかな山が横たわっています。
上品山(じょうぼんさん 467m)という山で、案外訪れる人影の少ない山です。

国道45号の「道の駅 上品の郷」から見た上品山。
写真中央、白いドームが建つあたりが山頂です

山頂付近は牧草地帯。夏には牛の放牧風景も見られます。
また、国交省のレーダーなどが設置され、無線行政の要衝でもあります。

休憩施設も、売店も、トイレもなく、観光客に対しては素っ気ない場所ですが、
ここには「わぁっ!」と声を上げてしまいそうになる雄大な見晴らしがあります。


北東側の眺め。
旧北上川と河口・追波湾、白浜崎などが見えます。
蔵王連峰、舟形山、栗駒山塊。
仙台湾、万石浦、旧北上川河口・・・・・・。
奥羽山脈もリアスの海も大空も、まとめてどーん。
圧倒的な大きさと爽快感に「わぁっ!」です

この日はちょっと雲が出ていましたが、
よく晴れた日は、奥羽の山並みが正面に連なって見えます。
よく撮影にやってくるというカメラマンのおじさんに
「今日の眺めは70点ぐらいですか?」と尋ねたら
「いやいやいやいや、そんなにいがねぇなー」とのことでした

昔々、仙台藩産米は、江戸で消費されるお米の3分の1を賄っていたと言われています。
江戸のお米の主力だったことから、仙台藩産米は「本穀米(ほんごくまい、本石米とも)」と呼ばれ、
米取引の価格基準米である「建米」の役割も果たしていました。

眼下に広がるのは、その、天下に名を馳せた「本穀米」の産地・仙台平野。
(狭義には「石巻平野」と呼ばれることも)

その間を、新旧2本の北上川が蛇行して流れていきます。

写真左でS字を描いているのが孫兵衛が開削した「新・北上川」。
右側で大きくカーブしているのが追波湾に注ぐ「旧・北上川」です

今から約400年前の元和2年(1616)、毛利家の旧臣で浪人だった川村孫兵衛は、
伊達政宗に才能を見いだされて仙台藩に招聘され、石巻の治水や河川の改修工事を命じられました。

孫兵衛は、約10年の工期の末、
追波湾(旧北上町)に注いでいた北上川の本流の7割を石巻湾に、
残り3割を追波湾に誘導するという大工事を成し遂げます。

大変貌した北上川の水を利用して、政宗は新田開発を奨励。
62万石の仙台藩は、実質石高100万石以上という全国屈指の米の生産地となりました。


上空に薄雲がかかる日の夕方、
雲が茜色に焼けると、田面も真っ赤に染まります
(この日は“50点ぐらい”でしょうか・・・?)

あぜ道を行けば、ほっとする“原風景”も、山の上から雄大に見晴らせば、
人々の暮らしの長い時間――歴史、
400年前は荒れ地だったところを、こんなにでっかい田んぼ変えたのか――という
人の力の大きさとすごさが胸に迫ってきます。

真ん中の橋は国道45号の飯野川橋。
その右側が旧河北町(飯野川)の街区です

震災から3度目の春――。
農事の暦は今年もめくられ、平野の生活誌もまた「春の章」から「夏の章」へと進み始めています。

水田を見晴らす山頂からの眺望。
見頃は、水稲の苗が大きくなる6月上旬まで。

初夏限定。“今”だけの眺めです。

心が広く大きくなれる雄景を見にぜひお出かけください。


●「上品山」
   
  所在地 / 石巻市河北町
  問い合わせ先 / 0225-93-6448 (石巻観光協会)

  ※県道33号線より、もう一本、山側の市道から山頂まで車で登って行けますが、
    入り口に看板などはありません。地図でご確認ください。
 
  ※夕景色の見頃は18:00過ぎ~20:00前頃です。
    参考までに日没時刻を記しておきます(ただし東京における日没時刻)    
    5月25日/18:46 (この日は満月。月の出は18:54)
    5月31日/18:50
    6月 5日/18:53
    6月10日/18:56
    6月15日/18:58

  ※日が沈むと山頂はぐっと冷えますので暖かい服の用意を。

(取材日 平成25年5月18日)