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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年5月16日木曜日

2013年5月16日木曜日13:59

石野葉穂香です。

登米市迫に本社がある「ウジエスーパー」では、南三陸町や旧津山町など、仮設住宅が数多くあるエリアを中心に移動販売車を運行していて、地域の人たちに喜ばれています。

移動販売が始まったのは、震災から1年が過ぎた昨年、2012年の3月27日。
それからまた、1年が過ぎました。
今や移動販売車は「なくてはならない存在」と、おっしゃる方も多くいらっしゃいます。 

移動販売車は、どんな商品を運んでいるのか、そして、どんな人たちと、どんなやりとりが交わされているのか。

時折、あられが混じる冷たい雨が降った5月7日、南三陸町の戸倉地区から登米市津山町横山地区へ、移動販売車の後を追い掛けさせてもらいました。

もとは路線バス。
有志の方から譲り受けたものだそうです

戸倉の自然センター前の仮設住宅に、フォスターの名曲『草競馬』のメロディーを鳴らしながら移動販売車がやって来ました。
運転手の千葉秀雄さんが“店舗”のドアを開け、段差に踏み台をセット。そして、販売の千葉悦子さんがレジを担当します。
お2人は、昨春の運行開始時からのコンビ。

“店内”には、4機の冷蔵庫と2機の冷凍庫を装備。鮮魚や精肉、水産加工品や野菜、お弁当、お総菜などの生鮮品、そして冷凍食品やアイスクリームもあります。また、商品によって高さを調節できる陳列棚には、菓子や即席麺、そしてトイレットペーパーや洗剤といった日用雑貨が所狭しと並んでいます。

後部側から見た店内

“店内”の通路は1本だけ。7人~8人が買い物カゴを持って入店すると、もう混雑状態です。
でも、やってきた人たちは、
 「5月ンなってもさっぱりホドんないね~(暖かくならないね)」
 「ホラ、卵安いよ」
 「オラも、1つもらうべ」
なんて言いながら、買い物と会話を楽しんでいました。
狭いながらもミニ集会所のよう。


前側から後部方向を見るとこんなふう

ウジエスーパーの移動販売車は、取引先の業者から大型バスを譲り受け、約500万円を掛けて改装したもの。元は横浜市内を走っていた路線バスなのだそうです。
客席を取り外し、冷蔵庫や冷凍庫を積み、さらにバッテリーも増強しました。

お総菜はお年寄りに好評

生鮮野菜もたくさんあります

移動販売車の巡回コースは、歌津、志津川、戸倉の3ルートがあり、それぞれ週2日、日曜日を除いて毎日走っています。

この日は冷たい雨が降ったり止んだり。お客様は普段よりちょっと少なめだそうです。
「天気がいいと、お客さんもやっぱり出てきてサ、売り上げもいいんダ。今日はさすがに寒すぎだナ(笑)」と千葉秀雄さん。

バスから降りるお年寄りの買い物袋を持ってあげたり、手を添えてあげたりと、運転以外にも“お手伝い”をされています。

お客様がステップを降りるとき
秀雄さんは荷物を持つなどお手伝いします

「もっといろんな所へ出張って行きたいンだけど、ホラ、バスが大きいから入れないところも多いんですよ。こっちサも来てけろって言われることもあるんだけどね」(秀雄さん)

販売とレジを担当する千葉悦子さんは、
「あちこちに顔なじみもできました。いいコミュニケーションができるようになってきて、楽しいです。お客さんもあれこれリクエストを言いやすいみたいですし、私も応えていきたいと思います」
1年が過ぎて、仮設住宅の方々も少し変わってきたかな、と感じられるそうです。
「移動販売を始めた頃は、震災のことを話される方が多かったです。でも最近では、孫が遊びに来たんだよ、どこそこへ出掛けて来たんだって、明るく話す人が増えました」
仮の住まいでも、やはり“ひとりじゃない”という気持ちで、皆が支え合っているんだなと感じるそうです。
「でも、車を持っていない人はやっぱり買い物はたいへん。“やめないでね”ってよく言われます。だけど、地域の便利を考えたら、本当は街にお店がある方がいいのかなとも思ったり」(悦子さん)

悦子さんが書いた連絡ノート。
お客様のリクエストなどが記されています

運行を管理するのはウジエスーパーの中田店。
「以前あった弊社の志津川駅前店は津波で壊れてしまいました。再建してほしいという声はたくさん頂いているのですが、国の復興計画など、さまざまな事情もあってメドは立っていません」と話すのは中田店の富田店長。
「移動販売車の利用者数は、平均しますと1日80人前後。採算的には実は結構厳しいです。でも社会貢献というか、志津川店が再開できる日までは続けていきたいと考えています」

「お菓子を買ってもらったよ~」

横山地区で、仮設住宅から買い物にやって来たおばあちゃんは「仮設の冷蔵庫は小さいからサ、週に2回でも来てもらうのはホントにありがたいんダ。若い人は(自分の)車があるからいいけど、私らはこのバスが頼りなのっしゃ」

秀雄さんと、
横山地区のお客様
私が育った田舎にも、子どもの頃は、移動販売や行商のおじさんが、よくやって来ていました。
なんだか懐かしさを感じた取材でした。
採算的には厳しいとのことですが、いつか新しい店舗ができて、仮設住宅がなくなっても、この“移動販売”って、いろんな地域で続いてほしいなぁ……。

なんて、勝手ながら思ってしまいました。


移動販売車の運行スケジュールはこちら
http://www.ujiesuper.com/bus/main.html


(取材日 平成25年5月7日)