header

宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

ヘッダー写真説明文

写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年5月5日日曜日

2013年5月5日日曜日12:40

石野葉穂香です。

今年の4月は暖かな日が少なめでしたね。
でも、宮城では、桜が開花したあとに寒い日が続いたお陰(?)で、ちょっとだけ長めに花見が楽しめた・・・・・・とも言えるかもしれません。

今春、3度目の気温20度超えとなった4月25日、本吉から雄勝まで、海沿いを走ってきました。
ぽかぽかの陽射しに、花芽も一気に開いた感じ。
ほとんどの場所が見ごろを迎えていました。

石巻市雄勝地区に「雄勝森林公園」という場所があります。
海辺からちょっと離れた山あいの、緑が濃い森の中の自然公園。
春の桜やコブシ、初夏のツツジ、そして秋にはミヤギノハギなどが咲き、四季彩あふれる場所です。
キャンプ場やコテージもありますが、現在は園内に仮設住宅が建てられているため、それらアウトドア施設は休業中とのこと。

雄勝森林公園。
街から約2㎞、山あいに入ります

桜の名所と知っていたので、この日、つい気になって訪ねてみました。

すると、デイサービスでお花見にお出掛けしてきた雄勝地区の皆さんがいらっしゃいましたので、ちょっとだけお話しを伺わせていただきました。

日だまりに、桜と笑顔が咲きました

まずは記念撮影。
左から高橋哲夫さん(79歳)、阿部れい子さん(84歳)、小野寺ちよ子さん(87歳)、遠藤民子さん(85歳)、千葉みき子さん(92歳)、高橋喜代夫さん(89歳)、高橋幸子さん(87歳)。

哲夫さん、そして喜代夫さんと幸子さんご夫妻は、津波で住宅を失い、今は仮設住宅にお住まいなのだそうです。

――お天気も良く、暖かいし、お花見日和ですね。
「んだぁナ、花はきれいだけンとも、仮設サ住んでると、心の底からは楽しめないナァ」(喜代夫さん)
「やっぱ、自分の家サ住んで、のびのびしたいね」(哲夫さん)

哲夫さんはもうすぐ雄勝を離れて、新しい家に引っ越すご予定とか。
「やっぱ生まれた町を離れンのはさびしいっちゃね。仕方ないけンとも・・・・・・」

――今年の桜はいかがですか?
「私は3年ぶりのお花見です」(民子さん)
「花なら何でも好きなの」(ちよ子さん)
「自宅の庭まで津波が来たのサ。ンでもスイセンは今年も咲いたし、チューリップも芽を出したんだよ」(れい子さん)

――今日は海もキレイでしたよ。
「雄勝はサ、海の幸もいっぱい獲れダんだよ」(幸子さん)
「また、前みたいに賑やかな町になってほしいっちゃね」(みき子さん)


桜に埋もれそうな森林公園地区の仮設住宅

森林公園地区にある仮設住宅の周囲にも、いっぱいの桜が咲いていました。
でも、喜代夫さんがおっしゃるように、“仮の暮らし”の中にいると、大地に根付いた花色として眺める気持ちには、なかなかなりにくいのかもしれません。

それでも桜は、人々の暮らしにそっと寄り添って、見る人の心の中に、春の明るさを咲かせてくれます。
桜がにっこりと、背中を押してくれている気がしました。


「さまざまな ことを思いだす さくらかな」(松尾芭蕉)


人の暮らしに寄り添ってくれる“渡り鳥”も、雄勝にやってきました。
小島地区の、海を見晴らす高台にある特別養護老人ホーム「雄心苑」では、今年もまた、ツバメが営巣を始めています。

「雄心苑」さん前の電線で
ツバメが羽を休めていました

ツバメは、野生動物でありながら、人のそばが大好き、という不思議な鳥。
廃屋や電信柱などには巣を作らず、民家の軒先、学校、駅など、人々が行き交う場所を好んで巣を作り、子育てを行います。

ツバメのふだんの生活での飛行速度は50㎞前後。
でも、敵から逃れるときなどは、最速で200㎞も出せます。新幹線並みですね。
またホバリング(空中静止)、急旋回、急減速なども得意です

人間の暮らしのそばにいれば、天敵であるカラスやヘビが近づきにくい、ということを知っているから・・・・・・とも言われています。

足が強くないため、地面にはあまり降りてきません。
ひと休みはもっぱら電線や屋根の上

人間もまた、ツバメが巣を作る家や商店は「縁起がいい」「繁盛する」「その建物は火事にならない」なんて言って喜び、ツバメを大切に見守ってきました。

彼方にうっすら見える山影は金華山?

居心地の良い場所を選んで巣を作るのは野生の本能です。
どっしりした家、風の向きや湿度や温度もいい家、そして何よりも”やさしい人が暮らす家”・・・・・・
ということになるかもしれませんね。

ツバメは一度作った巣の場所を覚えていて、
翌年また、同じ巣に戻ってきて再利用します。
写真のツバメもきっと、雄勝に“ただいま”組なのでしょうね

ツバメは今年も雄勝に帰ってきてくれました。

たくさんの家が津波で失われてしまった雄勝ですが、ツバメたちも
「また“いいお家”がたくさん建てばいいなぁ」
と、応援してくれているみたいです。

雄勝湾の夕暮れ。
春色の夕べの光の中、海は青さを深めていきます

(取材日/2013年4月25日)