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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年4月12日金曜日

2013年4月12日金曜日19:20
皆さん、こんにちは。スーサンです。

東日本大震災では、多くの被災者が地震や津波によって自宅を失ったことは言うまでもありません。

だれしもその再建を願いますが、そうは簡単にはいきません。多くの方が住宅ローンを抱えていて、新たな借り入れは厳しいからです。古いローンと新しいローンを支払うという、いわゆる「二重ローン」というのは、借りる人の収入や資産が十分な場合であり、一般的ではないといいます。

また、自宅の再建を断念したとしても、失職などで収入が途絶えれば、既存ローンの支払いすら困窮します。

今回は、被災者の生活再建では、どうしても足かせとなる債務問題に注目してみました。そして、その債務整理の方法を聞いてみました。

こうした人たちの手助けになってくれるのが、一般社団法人「個人版私的整理ガイドライン運営委員会」です。

宮城支部の支部長である佐藤良憲さんが、次のように話します。

「対象は法人ではなく、個人事業者を含む個人です。従来の債務整理は、破産手続きや民事再生手続きなど法的手続きが主で、いわゆるブラックリストに載るというデメリットがありました。そうすると、債務が整理されたとしても、生活再建のための新たな借り入れができませんでした。これを解消するのがこの私的整理です。裁判所が関与せず、債務者と債権者が相対で行います。相対と言っても、借りている側の立場は弱く、知識も乏しいですから、ガイドラインという一定の規範がつくられました」

宮城支部(仙台市)は、りそな銀行が入る興
和ビル7階の宮城県銀行協会内にあります
同運営委員会が設立されるまでの経過です。

政府は平成23年6月に、法的整理ではなく私的整理によって債務を減免し、被災した個人債務者の再建を支援する対応方針を示しました。

これを受け、同年7月、金融機関関係者や学識経験者らがそのルールを策定する研究会を発足させ、「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」をまとめました。

このガイドラインに基づく手続きを、中立公正な立場から円滑に実施する第三者機関として、全国銀行協会などが同年8月に設立したのが、同運営委員会(本部・東京)なのです。宮城以外に青森、岩手、福島、茨城の各県に支部を置いています。

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ガイドラインを利用するメリットは、大きく分けて3つあるといいます。1点目として、債務の減免があっても、個人信用情報(ブラックリスト)に登録されないことはすでに紹介しました。

同運営委員会では債務者に弁護士を紹介しますが、その費用は国が負担します。これが2点目です。弁護士は、債務者が債権者に対して行う「債務整理の申し出」や「弁済計画書の提出」に際し、作成などを支援していきます。

債務の減免は法的手続きに準じますが、改正を経て、債務者が手元に残せる「自由財産」の額が拡張しています。これが3点目です。現預金は5百万円まで、火災保険受領金は250万円まで所有できます。もともと非差押債権である義援金などと合わせると、場合によっては、1千万円近くを生活再建資金に充当することが可能といいます。

宮城支部が運営以来、扱ってきた債務整理の成立数は、債務整理の申し出数の406件に対して168件になっています。

どのような事例で、債務整理が成立したのでしょうか。

債務の金額が一番大きいのがやはり住宅ローンで、ほとんどの人が該当しています。人によっては、これに教育、マイカー、カードの各ローンなどが付随するといいます。

収入は「変わらない」「無くなった」「減った」と、さまざまです。住まいは仮設住宅、みなし仮設住宅が大半です。入居期間満了後の希望は、新住居の購入か賃借で二分されています。いずれにしても、新たな住居費が発生することになります。

所有する土地や車などは、売却することも、所有し続けることも可能です。売却では、売却代金が債権者の弁済に充当されます。所有継続では、時価相当の「公正な価額」が弁済額となります。




生活再建のためには、震災前からの債務の整理は大きな課題です
※写真は本文とは関係ありません


今後、被災地での復興で具体化してくるのが、防災集団移転促進事業地、復興土地区画整理事業地、災害公営住宅への転居です。家屋、土地ともに賃借、購入が選択できます。

それらを購入する場合には、地元自治体による自宅跡地の買取代金だけでは足りず、新たなローンを組むことが必要であるといわれています。

こうした生活再建のためには、一定の手持ち資金が必要です。ですから、ガイドラインによるこの制度を利用して、震災前から抱えているローンの整理を検討することは大切だと思われるのです。

そもそも、どのような人がこの制度を利用できるのでしょうか。

大ざっぱに言うと、震災前からローンがあり、震災の影響でその支払いに困窮している人は該当するのだそうです。

震災で収入を絶たれるなどして、すでに支払いに困難をきたしている場合があります。現状は支払いが順調でも、近い将来に住宅を購入、賃借することなどで支払いの困難が予想される場合もあります。いずれも対象になるといいます。

債務の種類は限定されていません。事業性資金や、連帯保証人となる保証債務までも範囲に入るといいます。

震災前にローン返済が遅滞なく行われていたことが前提になります。ただし、病気治療などによる一時的な遅滞は勘案されるといいます。

仮設住宅などへパンフレットを配布しています。各地で開か
れる防災集団移転促進事業の説明会でも、制度の利用促
進を訴えています
相談や申し込みは、電話や面談でできます。電話の際も面談と同様に、30分から1時間程度をかけて、収入や資産の状況をていねいに聞き取るといいます。もちろん、秘密厳守です。

宮城支部の職員は10人で、ほとんどが都市銀行、地方銀行、政府系金融機関など金融機関から出向しています。金融に関する豊富な知識に加え、被災者の心情を踏まえた親身の対応がなされているといいます。

気仙沼市、南三陸町、石巻・東松島市、亘理・山元町の4地区で、月に2回、予約制の「個別相談会」を開催しています。仙台市にある支部でも随時、相談(予約要)を受け付けています。

宮城支部長の佐藤さんは、次のように強調していました。

「ガイドラインの内容を見てもらえる機会が増えていますが、『利用できない』と自分で勝手に判断されて、相談に至らないことなどを心配しています。決して自分で判断なさらず、ご相談いただきたいのです」

債務問題をめぐっては、「義理堅く、借りたものは返す」「減免を受けるのは恥とする」といった、宮城県人の県民性があるようです。

震災を契機に設けられたこの減免制度が、復興を支え、地域経済を活性化していくことを考えると、債務者の姿勢を再考していくべき段階にあると強く感じました。


問い合わせはお気軽にこちらへ。
 コールセンター 0120-212-3025(無料)
 宮城支部 022-212-3025
   ※いずれも受付時間は平日9:00~17:00


◎一般社団法人「個人版私的整理ガイドライン運営委員会」のホームページ
http://www.kgl.or.jp/

◎同運営委員会宮城支部
〒980-0811仙台市青葉区一番町2-4-1興和ビル7階(宮城県銀行協会内)
電話022-212-3025/FAX022-263-9463


(取材日 平成25年4月2日)