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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年3月4日月曜日

2013年3月4日月曜日19:04
こんにちは、コタローです。

東日本大震災から2年の平成25年3月17日。
気仙沼市後九条(うしろくじょう)に、一体の地蔵菩薩像が建立されることになりました。
震災犠牲者の霊を供養し残された人が再び災いにあうことなく、明るい未来を創造できるようにとの祈りが込められて。




地蔵菩薩像が安置されるお堂は、気仙沼市立病院西側の静かな住宅地の一角に建てられます。
今その工事が急ピッチで進められています。



この地蔵菩薩が建立されることになったのは、気仙沼で暮らす一組のご夫婦と、俳優の滝田栄さんの縁がきっかけでした。

そのご夫婦とは、熊谷光良さんと妻の聖子さん。
昭和55年から気仙沼魚市場の西側の商工業地域で熊谷電気株式会社を営み、電気設備の設計などの業務に携わってきましたが、自宅兼店舗を津波で失いました。

妻の聖子さんは大きな揺れに驚き、会社の最上階に避難しました。驚くほどの速さで押し寄せた津波に、積み上げてきたものが壊されていく様子を呆然と見ていました。

「これで何もかも全て無くなってしまった」
その時の気持ちは、「悲しみ」という言葉では言い尽くすことができないほどのものでした。




震災から数日が過ぎ、父母のために建てたものの空き家になってしまった家に避難し、今も住んでいます。
「不安や不満は自分たちがみじめになる。今、呼吸ができること生きていられることが幸せなのだ」
ご夫婦は、そう話し合いました。
「心のチャンネルを少し変えました。無くなったらもう失うものは何もないです。次は入るだけです。失ってしまったことはしかたがない。今生きることを大切にしたい」
と熊谷さんは話します。






熊谷夫妻の座禅仲間で友人の俳優滝田栄さんは、東日本大震災の様子を報道で知りました。
被災した三陸沿岸地域を案じ、直後から沿岸地域の支援を始めました。

平成24年春。
「復興に大切なものには人の心の復興もある。震災犠牲者の霊を供養し、残された人が再び災いにあうことなく明るい未来を創造できるように」
そんな祈りを込めて、自らの手で地蔵菩薩像を彫ることにしました。
精魂込めて打ち込んだ130cmの地蔵菩薩像は、わずか4カ月で完成しました。
「まるで御仏に導かれたようだった」
滝田さんは話します。



滝田さんが被災地を思い一心に彫った地蔵菩薩像は、現在は一時的に薬師寺東京別院に納められています。


お地蔵さまは道端に人々の不安や不満を聞くために建っていると聞いたことがあります。
不安や不満という「負」の思いが、このお地蔵さまに手を合わせることで少しでも減り、みんなが前に向かって進んでいければ良いと思います。

「神様に生まれたときにお借りしたこの肉体を返す時が来るまで、与えられた役割を果たして一生懸命生きたい」
熊谷さんと聖子さんはとても前向きに話ました。

その言葉が後向きなコタローの気持ちを前に向かせてくれました。


(取材日 平成25年1月22日)