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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年3月20日水曜日

2013年3月20日水曜日13:51
皆さん、こんにちは。スーサンです。

各地の災害公営住宅、いわゆる復興住宅は徐々に建設工事が始まっています。被災者が現在の仮設住宅から次の住まいに移行するまでは、決してそう遠くはないように思えます。こうした事情を背景に、今回、ペットの在り方について考えてみました。

訪ねたのは、仙台市青葉区芋沢にある「ドッグウッド」です。同社は犬のブリーディングをはじめ、ペットに関する幅広い事業を展開しています。本ブログのmomoさんが平成24年1月に、すでに、ある活動を取り上げていました(リンク先は下記です)。今回は、その追跡取材となりました。

「僕はここにいるよ」 被災したペットたちを、一日でも早く大好きな家族のもとへ返してあげたい。-dogwood-
http://kokoropress.blogspot.jp/2012/01/dogwood.html

JR仙山線の陸前落合駅からは車で5分以内というロケーショ
ン。JRはもちろん、近くにバス停留所がある仙台市営バスで
もアクセスできます
山あいの約1.1haという敷地に、ドッグカフェやドッグホテル、ドッグランなどの施設が点在しています。それらに交じって、その専用建物を見ることができました。

同社は震災直後から、県内外の被災地を回りました。ここには、避難所や仮設住宅で飼い主から託され、あるいは、飼い主が分からない状態で保護してきたペットたちを収容する、シェルターが併設されているのです。空調設備が整い、犬用に4棟、猫用に2棟の計6棟が建てられています。

震災から2年経過したにもかかわらず、現在もここで、犬48頭、猫27頭という総勢75頭のペットたちが暮らしています。幸いにして、犬1頭を除いて飼い主が判明していて、頻度の差はあっても、飼い主が面会することはできています。

犬にとっては、狭い空間の方が精神的に安定するといいます。
1日に3回の散歩や、ドッグランでの走りがあるので、健康的に
過ごしているようです

猫については、ケージの上下を、つまり1、2階を移動できるよ
うになっています。これで、ストレスは軽減できるといいます
震災以降、動物愛護団体をはじめ、地方自治体と獣医師会の連携などによって、被災ペットの救援活動が行われてきました。ただ、ほとんどの活動が最長で1年程度で収束に向かった結果、継続してケアしているという同社はまれな存在になっているようです。

同社では、被災ペットを最も多い時には300頭近くを収容したといいます。これまでの受け入れ総数は461頭に上ります。

預かりは当初から、無償で行われてきています。

夫人とともに同社を経営する我妻敬司さん(42)が、あらためて活動のきっかけをこう話します。

「ペットをケアするのは自分たちの専門分野であり、続けられるだろうという見込みがあり、また、やらなければならないという気持ちがありました。被災ペットの救済は、自分たちが一番力を発揮できて、協力できるのものではないかと考えたのです」


我妻さん(右)と夫人の真紀さん。共に被災ペット
の救援活動に取り組んできました。平成14年に
夫人が「ドッグウッド」を起業
最初は、受け入れを犬に限定していたようですが、猫への要望が増え、飼育に詳しい人間の支援が確実になったことから、対象を2つにしたといいます。ただ、その他のペットについては、現状では扱いが難しいといいます。

同社が被災ペットの救援に乗り出す姿勢は鮮明です。動物愛護に終わらせるのではなく、飼い主とペットが共生する関係を取り戻すことにあるのだそうです。

これまでの活動でますます明白になってくるのが、ペットに関する根本的な問題の存在だといいます。我妻さんは一貫してジレンマを感じてきているようです。

「災害時にペットをどうするのかといったルールづくりが、これまでなされてこなかったのです。どこに、いつまで預けられるのか。そして、その期間が過ぎたらどうするのか。もともと、預かりは無償なのか有償なのか。また、飼い主が面倒を見られないとしたら、いつまでに新しい飼い主を探さなければいけないのかなど、あってしかるべき約束事が見えないのです」

一部地域で獣医師会と行政が預かり期間の協定を結んだ例がありましたが、今回の災害で通用するものは皆無に等しかったようです。

ドッグウッドのシェルターにいるペットたちは、仮設住宅では飼い主である住民と同居できない状況にあります。

シェルターは全6棟で、空調が完備されています。これらの施
設でのペットの預かりを維持していくために、支援金が必要と
されています
仮設住宅でペットを飼育できるかどうかの対応は、管理者や自治会などの考えによって、全面禁止をするところから専用の区画を設け許可するところまでと、千差万別といいます。飼える状況にあっても、隣近所への迷惑を考えて自重する事例も少なくないようです。

日本で飼われているペット(犬猫)の数は、15歳未満の子どもの数の1.5倍から2倍になるとされています。こうした時代のすう勢が仮設住宅に反映されているのかどうかは疑問だ、とする指摘はあるようです。

  犬を担当したボランティアの皆さん。左端の橋田さんから順に、メッセージをいただきました。
        「ボランティアは、継続しようという気持ちで来てくれるともっと増えるのでは」(橋田滉士さん、兵庫県)
「災害時には、動物も辛い思いをしていることを分かってほしい」(金澤純一さん、兵庫県)
      「授業と違い保護犬は初めてで、勉強になった。将来の仕事に生かしたい」(館林芽衣さん、愛知県)
  「飼い主の元に戻れていない犬がいることを、もっと知ってほしい」(石田菜津子さん、愛知県)
「ルールをつくった上で、ペットと住める災害公営住宅をつくってほしい」(成田達哉さん、青森県)

「家族を失うなど大変な状況にある人を精神的に支えているのが、ペットだったりするのです。ペットに触れ合うことで元気になる人は多いのです。こうしたことはペットを飼っている人は分かりますが、飼っていない人には分かりません。ただ、飼っていない人にも理解してもらうためには、飼う人たち側のルールづくりをしなければなりません。犬が吠え続けたり、所構わず排便をしたりでは、嫌われるの当然です」

我妻さんは、さらに続けます。

「災害時にペットを救済するというのは、支援金やボランティアといった善意だけで成り立つものではありません。税金を投入するかどうかの議論はあると思いますが、ペットに税金など不要という人もいるわけです。私たちが望んでいるルールづくりでは、いろいろなものにお金が掛かるのであれば、ペットに税金を課すことがあってもいいと思うのです。これはペットの完全登録を意味し、猫など不明とされているその数を把握することにもつながります。震災を経験してきた宮城県であればこそ、条例の制定などができるのではないでしょうか」

シェルターでのボランティア活動は1年半になるという、地元
仙台の千葉康子さん。「震災後、キャットフードの入手が大変
でした。ペットの物資は人間のものと違って届きにくいので、
それ以来、ストックするようにしています」。普段からペットの
身元が分かるようなものを用意することも、震災の教訓とい
います=猫シェルター内の「遊びのスペース」
次回は、シェルターのペットたちが復興住宅に住めるのかどうかなど、今後の展望を追っていきたいと思います。

続きは・・・
2013年3月21日木曜日
ペットの居場所 ②復興住宅の行方は  (仙台市青葉区)


(取材日 平成25年3月7日)