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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年2月24日日曜日

2013年2月24日日曜日9:14
こんにちは。けいこです。

震災以降、被災地の現状を伝えるメディアがたくさん増えました。
このココロプレスも、「ブログ」を通して被災地の今をお伝えするメディアの1つです。
「現地の声を届けたい」と震災後にブログやホームページを立ち上げた被災者の方も多いのではないでしょうか。

私はいつも取材をする時に、「その人の“思い”をきちんと聞き取ろう」と思っているのですが、ある時ふと、こんなことを思いました。

他のメディアの方は、一体どんな思いで取材をしているのだろう…

そんな訳で、今回は「被災地で取材をしている方」に取材を申し込んでみました。
応じてくれたのは、ココロプレスと同様に被災地での取材・情報発信を続ける「助けあいジャパン」です。
情報レンジャー@宮城の網野武明さん、三浦淳さんの取材に同行させていただき、その様子とお2人の思いを伺ってきました。

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「助けあいジャパン」は、ソーシャルメディア上の情報と、政府や自治体から発表される情報を分かりやすく結びつけて発信することで、被災者の方や被災地、そして支援をする人たちの助けになることを目指し活動しています。
震災直後から被災地の現状やニーズなどを発信し続け、情報がなかったあの頃の貴重な情報源として役立てていた方、また被災地の現状の把握に役立てている方も多いと思います。

その「助けあいジャパン」の中で、被災地を回り、情報を収集・発信するのが情報レンジャー」です。
ニュースや新聞では取り上げられないような小さな情報も拾い上げ、未来の大きなヒントになるような声を広く伝えています。

出発前の事務所での網野さん(左)と三浦さん。
黙々とパソコンに向かい作業中です。

情報レンジャー@宮城は、「宮城県震災復興推進課」と「東北学院大学ボランティアセンター」、そして「助けあいジャパン」が手を組み、宮城県新しい公共の場づくりのためのモデル事業の1つとして2012年3月からスタートしています。

現在取材を行っているのは、網野さん、三浦さんを含め5名で、シフトを組みながら連日被災地の情報収集に当たっています。
インタビュー動画や360度パノラマで撮影された写真で公開された情報は、今までにおよそ500本。
毎日次々と新しい情報が追加されています。

取材した動画を編集中の網野さん。

お2人が情報レンジャーとなったのは、どんなきっかけだったのでしょうか。

「震災直後、ボランティアに行っても本当に自分が役に立っているか分からなかったんですよね。“何か自分の特技を生かした支援ができないか”、と悶々とした日々を送っていたとき、情報レンジャーの応募の話を知ってすぐに応募しました。もともと動画の編集は得意だったので、自分の力を生かせる支援を全力でやりたいという思いでした」(網野さん)

「私も震災後は“何か役に立ちたい”と思いながら過ごしていました。そんなとき、車の運転中にラジオから情報レンジャーの募集の知らせが流れて、家に帰ってすぐに履歴書を書いて応募しました。いろいろな事情でなかなかボランティアに行くことはできなかったのですが、結局は“役に立ちたい”という思いが、応募のきっかけになっています」(三浦さん)

募集の知らせを聞いてすぐに動き出したお2人。
今は、宮城県内北から南までガイドができるほど各地に何度も足を踏み入れています。

助けあいジャパンの大きな赤いハートマークが目を引く「情報レンジャー号」。
今日も取材へと走ります!
取材には、大きな赤いハートが目印のこの車で向かいます。
情報レンジャーを乗せ、県内を駆け回る「情報レンジャー号」です。
皆さんももしかしたらどこかで見かけたことがあるのではないでしょうか。

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今回取材に向かったのは、仙台市若林区荒浜で津波を被った写真の洗浄活動を続ける「おもいでかえる」です。

以前、ココロプレスでもその活動を紹介しました。(記事はこちらから)

理事長の野瀬香織さんにまたお会いすることができ、現在の様子や今後の動きについてもお話も伺うことができました。
こうして一度取材したあともまたお会いできるのはとても嬉しいことです。

取材先に着くとすぐに機材のセッティングを始めるお2人。
使用する機材はデジタル一眼カメラ、ビデオカメラ、マイク、ボイスレコーダー。
取材には欠かせない機材です。

テキパキと機材をセッティング

準備完了!










まずはインタビュー形式で取材がスタート。
網野さんが野瀬さんの話に耳を傾け、三浦さんは時折カメラの位置を調整しながらその画面を真剣に見つめます。


野瀬さんの語る話にうなずきながら、1つ1つの話を噛み砕くようにインタビューを進める網野さん。
心に残ったエピソードを聞くこともあれば、活動を続ける中での苦悩にも触れることで、その思いを一緒に共有しようとしているように見えました。
相手の考えていること、言葉の奥にあるまだ言葉になっていない思いに近付き、思いやりを持ってそこに飛び込んでいくような取材の姿勢は私も見習いたいものです…。


「次はこんなことをしようと思っているんです」、と野瀬さんが言うと、
「それなら動画に告知を入れた方がいいね」、
「こういう見せ方にした方がいいんじゃない?」、
「この画は入れておこうよ」、
という意見が次々飛び出します。

取材先の現状や今後の動きを踏まえてその場ですぐに構成が作られる、その手際の良さには驚きです。

しかし、動画で情報を発信するがゆえに気を付けなければいけないことがあると三浦さんは言います。
「公開するに当たって、相手の意図を組み間違えないように気を付けています。撮った動画は変更できませんからね。“言いたいことの半分しか伝わっていない”なんてことはないようにしたいです」

撮り直しが許されない中、短時間でのやりとりでより相手の本心を拾い上げることも必要です。
「より本心に近付きたい」というのは私もいつも考えます。
大事なことではあるものの、限られた時間の中ではなかなか難しいことでもあります。


インタビューの後は、野瀬さんの説明を受けながら活動風景を写真に収めていきます。
作業をしているボランティアの方に声を掛けたり、その作業をじっくり見入ったりと1つ1つの作業を丁寧に見つめていました。

この取材の様子は、この日の翌日に情報レンジャーのサイトで公開されていました。
野瀬さんの言葉をしっかりと伝えながらもわかりやすくまとめられています。
こちらからご覧になってみてください。




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どんな取材も勉強になることばかりとお2人が口を揃えて言う中、取材を通してうれしいことの1つは、公開された動画を見たことがきっかけで1つでも物が売れたり、反応の声が届くことだと三浦さんは言います。
それがやりがいにつながるのだそうです。
発信した情報がどこまで広がっているのか把握できない分、直接届く声は発信する側を強く励ますものになっているのかもしれません。

取材の途中、いつもお2人が取材先で聞いているであろう質問をぶつけてみました。
これまでで、印象に残っているエピソードはありますか?

「逆に聞かれるとなんだろうなぁ(笑)。うーん…。いっぱいあります。もしかしたら、毎回かもしれません。まとめてみると、みんな“ふるさと”が大好きなんだな、ということですかね。田舎が嫌で都会に出た人たちも、震災の時には地元の状況が気になってしょうがなかった。復興のために戻ってきた人も少なくないですよね。この震災で“ふるさと”、そして“家族”を再認識するきっかけになったのかな」(三浦さん)

「だから、どんな状況になっていても、私が代わりにそのふるさとをレポートする役割なんだということを意識してます。ふるさとは大事ですもんね。私だって同じ気持ちです」(網野さん)

私たちの取材地は、「誰かの大事なふるさと」。
あたり一面がまるで草原になってしまっても、がれきが高く積まれたままになっていても、そこは誰かの大事な場所で、思い出のつまったふるさとなんだという思いは、私も取材を通して日に日に強く感じているところです。

情報レンジャー@宮城のこれからについてもお伺いしてみました。

「被災されている方は、いまだ不本意な生活の中にいます。だからこそ震災から2年になろうとしている今は、震災当時の話を聞くより、“今後どうしていきたいか、夢はなにか”ということを中心に話を聞いていこうと思っています。私たちの取材には“しばり”がありません。話が横道にそれてもその話をどんどん掘り下げていくことができますからね。そのメリットを利用していきたい。それがマスメディアとは違う、私たちのようなメディアの可能性でもあるし、やるべきテーマなのかなと思っています」(網野さん)

「これからも 宮城の“今”を発信していきます」情報レンジャー@宮城

三浦淳さん、 太田和美さん、 網野武明さん

早いものでもうすぐ震災から2年。
いや、まだ2年、と言った方がいいでしょうか。

まだまだ伝えきれていないことがたくさんあります。
震災前のような生活にはほど遠い状況ですが、復興の状況が日々変わっていく中で少しでも多くの情報を発信し続けることが大事だと強く感じます。

網野さんと三浦さんにお話を伺っている中で、気持ちが強く伝わってくる部分がたくさんありました。
まるで自分自身にインタビューしているような気にさえなりました。
被災地の今を伝える人たちは、もしかしたらみんな同じ思いを持った人たちなのかもしれません。
なんだかうれしいような、心強いような気持ちになりました。


これからも被災地で前向きに頑張っている人々のため、そして被災地を思い続けてくれている人々のため、どんな小さな情報も伝え続けていけたらと思います。
そしてそれが、いつかそれぞれのふるさとの復興の軌跡となればうれしいです。

(網野さん、三浦さん、太田さん、そしておもいでかえる・野瀬さん、ご協力ありがとうございました)

(取材日 平成25年1月30日)