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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年2月8日金曜日

2013年2月8日金曜日14:34

皆さん、こんにちは。スーサンです。

「『面倒なことは結構』という方がいらっしゃいました。しばらくお話をして、われわれの時代だけではなくて、われわれの子どもや孫の時代に、未来に伝えていくのです、と協力をお願いしました。結果として、『このまちが良くなるのであれば』と参加をしていただきました」

昨年10月に設立された「海岸通1番2番地区市街地再開発準備組合」には、権利者57人中47人が賛同して参加しました。事業予定地は海岸通1番地区と同2番地区の1.2haです。

理事長に就いたのが、眼鏡店「メガネギャラントリー」の社長である鈴木成久さん(48)です。権利者1人1人と面談し、意向調査をする日々はもうしばらく続きそうです。目指しているのは、事業に向けた権利者による100%の正式な同意です。

手前が海岸通2番地区で、奥が海岸通1番地区。旧本塩釜駅
があった「壱番館」から撮影

塩竈市中心部で、震災後の市街地再開発事業が動き出しています。

塩竃市の市街地をめぐる活性化の取り組みとしては、以前、「塩竃市シャッターオープン・プラス事業」を紹介したことがありました。今回はその続編と言うべきものです。

2012年12月26日水曜日
まちの復興と活気を創出 塩竈市シャッターオープン・プラス事業 (塩竈市)
http://kokoropress.blogspot.jp/2012/12/blog-post_8308.html


海岸通商店街は、JR仙石線本塩釜駅の神社参道口(西口)の周辺に広がっています。駅を出て、駅前通りの続きに位置しているのですが、道路が入り組んでいて、後ほどお見せする地図の通り、三角形と平行四辺形を足したような複雑な形をしています。

ここは、市内で最も栄えてきた商店街の1つとされています。それもそのはずで、昭和56年(1981年)に本塩釜駅が現在地に移転する以前は、駅(現商業施設「壱番館」)の正面に位置し、にぎわいを見せていたのです。ただ近年は、他の地方都市中心部のご多分に漏れず、量販店に押されるなどして買い物客は減り、シャッターを下ろす店舗も少なくない状況にありました。

3.11の震災では、一帯に高さ2m前後の津波が押し寄せました。海岸通商店街の被害程度は予想より大きく、損壊状態から解体・撤去し、更地にするという店舗が相次いだといいます。同商店街の中には、商業者の団体である「海岸通商店会」のほか、戦後の引揚者が始めたという、鮮魚店や飲食店が密集する一角の「闇市」がありました。

前者は存続していますが、後者は残念ながら壊滅しました。以前は、海岸通商店会に加盟する店舗だけで40以上が営業していましたが、再開を果たしたのは10を数えるに過ぎません。そうした中では、有名すし店である「すし哲」と「しらはた」の健在は朗報となっています。



津波をかぶった海岸通商店街の3.11当日の模様
※塩竃市ホームページから掲載

鈴木さんの店舗も浸水によって打撃を受けました。ただ、建物が持ちこたえ、顧客からの後押しなどもあって、震災後ほどなくして営業再開にこぎつけています。

「商店街は経営者の高齢化が問題となっています。借金をしてまで店舗を立て直すか悩んだ末に、解体して、廃業してしまうという例がありました。震災がなければ、商売が続けられたはずで、本人にとっては無念でならないのかなと思っています。再開している店舗は、てんでんばらばらに営業している状況ですから、人が集まってきていません。結局、個々の再建は無理だと判断しました」

鈴木さんを含め、10人ほどの海岸通商店街のメンバーは、商店街の存亡に強い危機意識を持ったといいます。市も対応への動きを見せ始めました。

平成23年11月に市は地域懇談会を通じ、復興交付金による有利な補助制度を使って市街地再開発事業に手を挙げないか検討を同商店街に促しました。

同商店街はこれに応じる形で、24年1月に市が国に対して行う復興交付金事業の申請に当たり、事業採択の要望を提出します。以後、数10回に及ぶ勉強会などを通して、事業の受け皿となり得る再開発準備組合の立ち上げに至ったといいます。


破線内が「海岸通1番2番地区」。1番地区は国道45号
をはさみ、三角の形をしています
※「塩竃市復興交付金事業計画」(平成25年1月16日更新)から引用

市街地再開発事業とはそもそも、どういったものなのでしょうか。少々、仕組みが難しいようです。

一般的に対象となるのは、土地利用が細分化されていたり、老朽化した木造建築物が密集したりするなどして、都市機能が低下している地域です。事業者は複数の土地をまとめ共有化し、高度利用を図ります。最終的には、再開発ビルを建設し、公園、街路などの公共施設を整備するとされています。都市再開発法に基づくもので、基本的に市町村が「都市計画決定」を、都道府県が「事業計画決定」を行います。

事業者には、土地、建物の所有権者、賃借権者などの権利者がつくる組合がなるほか、地元自治体が事業者となる場合があります。権利者は従来の資産価値を、再開発ビルの「権利床」の一定面積に置き換えて受け取ることになります。再開発ビルで新たに価値を生み出した床である「保留床」は売却などによって処分され、事業費の一部に充てられます。

復興交付金事業の一環として行われる市街地再開発事業には、特例が設けられています。

事業費にはもともと、国と地元自治体からそれぞれ3分の1の補助があり、事業者の負担は3分の1ですが、前者が5分の2に増加、後者が5分の1に減少となります。ただ、地元自治体の負担額については、国が肩代わりするものとなっています。

震災後3日目の海岸通商店街。以前はアーケードがありました
※塩竃市ホームページから掲載

上の写真と同じアングルですが、密集していた「闇市」などの
商店が消失してしまいました

塩竈市では海岸通商店街の再開発事業を国に積極的に働きかけ、全面的にバックアップしていく考えです。平成24年度に続き、25年度も調査費を申請し、認められています。震災復興推進局の佐藤達也次長が次のように話します。

「市中心部が空洞化して再開発されないまま放置されると、復興全体が遅れるというのが最も懸念されます。まず、ここを起点にして、周辺に対して波及効果を生み出そうということが大事です。まちが空き家や空き地の状態になっていれば、訪れた人は次の地区に歩いて行きませんので、回遊性といったものが生じません。やはり、市中心部をきちんと活性化していくことが必要です」

市は一方で、復興交付金を活用し再開発事業を支援していくために、事業化に条件を付けています。平成27年度までに事業を終了させるために、早い時期に都市計画を行い、都市計画素案を早急にまとめることです。


次回では、準備組合がどのような再開発をイメージしているかなどを、お伝えしていきます。


2013年2月8日金曜日
「覚悟」が意味するもの② 準備組合が思い描く再開発 (塩竃市)
http://kokoropress.blogspot.jp/2013/02/blog-post_8.html



(取材日 平成25年1月15、23日)