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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年2月1日金曜日

2013年2月1日金曜日21:28
皆さん、こんにちは。スーサンです。

「東北大学イノベーションフェア」(東北大学主催)が、「産学官連携フェア2013winterみやぎ」(みやぎ産業振興機構主催)、「産学官交流大会」(みやぎ工業会主催)とともに1月17日、仙台国際センターで開催されました。

この共同開催によって、東北の学術研究機関などの研究成果が幅広く披露されることになりました。「産学官連携フェア2013winterみやぎ」と「産学官交流大会」の模様については、前回の記事をご覧ください。


デモコーナーでは、小惑星探査機「はやぶさ」や原発対応ロ
ボット「クインス」の開発に当たった吉田教授(右端)が、極限
ロボティクスについて実演を交えながら、解説していました
72ブースが出展していました。「ナノテク・材料」「環境・エネルギー」「ライフサイエンス」「情報通信」「ものづくり」など6分野とは別に、震災復興を支援する特別展示も設けられました。

東北大学は東北復興を目指し、「災害復興新生研究機構」を設立。「8つのプロジェクト、復興アクション100+」に取り組んでいます。特別展示は、その活動内容や成果を紹介するものです。

広範にわたる展示から、今回は、特別展示の一部についてお伝えしたいと思います。

「地域医療再構築プロジェクト」では、大学院医学科研究科長の大内憲明教授らが「総合地域医療研修センター」を開設し、被災地域から医療従事者を受け入れています。高度医療教育を受けさせる一方、学生らの教育に当たらせ、再び被災地に派遣するという循環型のものです。

また、全国の大学医学部などに呼び掛け、被災地医療体験実習を行っています。これまで、石巻市、南三陸町、気仙沼市などで研修が行われてきています。将来的に被災地での人材を確保するのが狙いといいます。

センターではこのほか、宮城県と連携し、さまざまな診療手技の実習が可能な施設である「クリニカル・スキルラボ」を整備しています。シミュレーターを数多くそろえ、救急医療の専門医を常駐させています。

東北大学では、東北復興と日本再生の先導を目指し、「8つの
プロジェクト、復興アクション100+」に取り組んでいます

大学院工学研究科量子エネルギー工学専攻の石井慶造教授らは、「放射能物質汚染対策プロジェクト」の中で、「生活環境早期復旧技術研究センター」を設置し、効率の良い除染技術や汚染検査システム、無放射性セシウム植物栽培方法の開発に当たっています。

食品の放射性物質を迅速に計測する検査機器は、その1つです。従来のものは検体をミンチ状にしなければならなかったのですが、開発品はその必要がなく、計測時間も30-40分から1-5分に大幅に短縮されています。すでに、石巻魚市場で試験的運用が行われています。

汚染土の除染は、水を加えた上で、コンクリートミキサーによって撹拌(かくはん)し、粘土と砂利に分離します。放射性セシウムは粘土に多く吸着するため、効率よく除染できます。水には放射性セシウムは含まれないので流せるといいます。稲わら、落ち葉の除染でもやはり、水での洗浄が有効としています。

小惑星「イトカワ」に探査機「はやぶさ」がタッチ&ゴーする間に
サンプルを採集し、地球に持ち帰るという「サンプル・リターン」
を世界で初めて成功させた吉田教授

「産学官連携フェア2013winterみやぎ」、「産学官交流大会」との共同企画となった特別講演会では、小惑星探査機「はやぶさ」や原発対応ロボット「クインス」の開発で知られる、東北大学工学研究科航空宇宙工学専攻の吉田和哉教授(極限ロボティクス国際研究センター長)が、イノベーションをどのように考えていくべきかを力説し、大きな関心を集めました。演題は、「極限ロボティクス:「はやぶさ」から災害対応ロボットへの展開」です。

吉田教授は、「はやぶさ」が小惑星の岩石標本を持ち帰るという「サンプル・リターン」を世界に先駆けて成功したことに触れ、「初の挑戦に向けて周到な準備を行った」と振り返りました。月や惑星の移動探査を行うロボットの研究の一環として、国内外のさまざまな環境下でフィールド実験を実施してきたことを報告。未知の環境を探査する技術は、災害現場でも活用できるものとして、災害対応ロボット「クインス」の開発にも貢献してきたことを明らかにしました。

福島第1原発事故へのロボット導入では、当初、放射線が強い環境での搭載コンピューターの誤作動が懸念されていました。しかし、吉田教授の研究室で過去に開発してきた東北大学衛星「雷神」や「雷鼓」が、高い放射線量にさらされる宇宙環境で機能している経験や実績を活用して、この点をクリアしたといいます。先行投入されたアメリカ製ロボットに代わり、階段を昇降し、原子炉建屋の最上階までくまなく探査することに成功しています。

原発事故で学んだことは、現場ですぐに使える技術の重要性とし、「日本は部品などの要素技術に強いが、目的を達成するためのシステム設計が弱い。現場のニーズがあってはじめて、研究開発のシーズと結びつく。ユーザー(利用者)のニーズを出発点とした問題解決のサイクルを回していくことが、真のイノベーション創出につながる」と述べました。

失敗をとがめる現代の雰囲気を「閉塞感という負のスパイラル」と表現し、「失敗を恐れることで、失敗の経験が減り、より大きな失敗をもたらす」と分析。むしろ、挑戦に失敗は付き物であるという発想で「夢への挑戦という正のスパイラル」に転じ、「小さな失敗を積み重ね、リスクを直視し、見通す能力や失敗に負けない力を身に付けるべきだ」と強調しました。

(取材日 平成25年1月17日)