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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年2月14日木曜日

2013年2月14日木曜日16:19
えみです。

震災から2年がたとうとしています。
未曾有の大災害で経験したことを私たちは決して忘れることはできませんが、
もしまた同じような災害が来たら本当に正しい判断ができ避難できるのでしょうか?


今日は仙台管区気象台主催の防災気象講演会に行ってきました。
会場は仙台市太白区文化センターの楽楽楽(ららら)ホールです。

会場の仙台市太白区文化センター


テーマは「津波から命を守る」

震災から2年ぶりの開催となり防災知識の普及と啓発を目的として講演会が行われました。

災害では被害を最小限に抑えるためにも正しい知識を持ち、自らがすばやい避難行動を起こすことが重要だと思います。





2名のパネリストの方が講演をしました。

講演1.防災のための心理学(災害時の心理と行動を知る)
   東北大学災害科学国際研究所教授 邑本 俊亮さん

講演2.津波から逃げる(3月から変わる津波警報とその活用について)
   気象庁地震火山部 地震津波防災対策室長 若山 晶彦さん

会場には多くの方が講演会に参加されていました。





最初は邑本俊亮さんの発表です。

邑本さんは災害時の心理と行動として、4つのポイントを分かりやすくお話してくださいました。

東北大学災害科学国際研究所教授 邑本俊亮さん


1.災害時の認知バイアス
人間の心理は自分の都合の良いように情報をとらえてしまい安心してしまう。
(これを認知バイアスと言うそうです)

1)避難しなかった理由をこれくらいは大丈夫、普通だと思ってしまった心理。

2)前回津波が来なかったから今回も大丈夫と思ってしまった心理。

3)みんなと同じ行動を起こせば安心だという心理。

4)防潮堤があるから大丈夫という心理。



2.人間の判断は主観的である。
1)同じ事を言っても言葉の表現によって受け止め方に違いが現れる。

2)自分の期待に合うように情報を受け止めてしまう。


3.緊急時の心理と行動
1)緊急時は1点集中になってしまい視野が非常に狭くなってしまう。

2)視野が狭くなると見落としも出てくる。

3)マニュアル的な行動しかできない。日頃からいろんな場面を想定して行動できるように訓練しておくことが大事です。

4)気分が落ち込んでいるときは物事を悪くとってしまう。

5)家族の事が気になる。
「津波てんでんこ」とは、家族のことを気にせず各自が逃げることです。
「家族全員が逃げているんだという信頼関係」のもとで生まれた言葉であると理解してほしい。


4.今後のためにできること
1)災害をよく知っておく。災害の恐ろしさをよく理解しておき次の災害に備えることが大事です。知識がなければ行動を起こせません。災害について多くのことを学んでほしいです。

2)人間の心理
人間には認知バイアスがあることを知っていれば災害時でも正しい判断をし行動を起こすことができます。気持ちをコントロールできるのです。

★人間の心理状態を理解してほしい。災害時に適切に行動するためには、災害情報を受け取る側の心の中のメカニズムを理解しておかなければなりません。間違った判断をしてしまい今回の震災でも多くの方が逃げ遅れてしまったという悲しい結果が出てしまいました。


3)何度でも防災訓練をしておく。
防災に関心がない人でも、何度も防災訓練をすることによって意識が向上します。
実地訓練をし身体で記憶しておくことによって、災害時でもスムーズに行動を起こせるようになります。


4)震災を忘れない
人間の記憶は時間とともに薄れてしまいます。

昨年10月に邑本さんが訪れたという閖上中学校での出来事をスライド写真を見せながら話されました。


閖上中学校では震災から1年後に震災の事を忘れてはいけないという思いを込めて慰霊碑が建てられました。犠牲になってしまった学生の机が並べられ、そこにはメッセージが書いてありました。

「閖上中学校を目指して多くの方が走った。」

「町の復興は大切な事です。」


「死んだら終わりですか?」


「生き残った私たちにできることを考えなくてはならない。」



震災から私たちは何を学んだのでしょうか?
まだ生まれてきていない人たち、震災を経験していない地域の人々に私たちは伝えなくてはならないことがあります。

私たちが経験した震災を伝え続けることが私たちの使命であり、重要なことだと思います。

最後の言葉として邑本さんは力強く参加者の皆さんに話されました。






気象庁地震火山部 地震津波防災対策室長 若山晶彦さん(中央)

休憩を挟んで次は若山晶彦さんの発表です。

最初に若山さんは津波のしくみや特徴をスライド写真を通して分かりやすく説明してくださいました。

津波の特徴
1.膨大なエネルギーを持っています。普通の波とは全く違います。
大きな水の壁となって来襲し、高い水位で数分から数十分、押し寄せ続けることがあります。
2.津波は繰り返しやってきます。
最初の波より後からの波の方が高くなることもあります。

3.津波の速度はものすごく速く、津波が見えてからでは逃げ切れません。

「津波警報が解除されるまでできるだけ高いところに避難することが大事なことです。」

3月から津波警報が変わります。


次に3月から変わる津波警報についてお話しされました。

津波による災害が予想される場合には、地震発生後、約3分で大津波警報、津波注意報を発表します。その後「予想される津波の高さ」「津波の到達予想時刻」の情報を発表します。

1.マグニチュード8を超える巨大地震の場合
「巨大」という言葉を使った大津波警報で非常事態であることを伝えます。
津波の高さを小さく予想することを防ぎます。

「巨大」「高い」という言葉で発表し非常事態であることを伝えます。

2.予想される津波の高さを1m.3m.5m.10m.10m超の5段階で発表します。
 これまでは8段階であらわしていました。被害との関係や予想される高さが大きいほど誤差が大きくなることを踏まえて5段階に集約します。

3.高い津波が来る前は、津波の高さを「観測中」と発表します。
津波は何度でも繰り返しやってきて後から来る津波の方が高くなることがあるからです。
小さい値を発表してしまうと津波はもう来ないだろうと思われるのを防ぐためでもあります。


「津波警報、注意報が出たらただちに高台や避難ビルに避難してください。そして解除されるまで安全な場所から絶対に離れないでください」と参加者の皆さんに注意を促されました。

津波から命を守ためには速やかな避難!

「震災では気象庁は大津波警報を呼び掛けましたが多くの方が命を落とされました。
警報に込められたことが正しくメッセージとして伝わらなくては意味がありません。
そのことをふまえて今年3月より津波警報を改善します」

「今後も起こりうる大地震が発生したらまず地震速報等で正しい情報を得て、慌てず身の安全を守りましょう」と最後に参加者の皆さんに呼び掛けました。


ロビーでは地震•津波情報発表の流れを展示していました。



会場の外のロビーでは3.11東日本大震災復旧•復興パネル展が行われていました。
震災時に撮った写真が数枚並べられていました。

多くの方が足を止め、真剣な表情で写真を見ていました。

会場の外のロビーでは3.11東日本大震災
復旧•復興パネル展が行われていました。


取材を終えて

2年前の震災が起きた時、私自身も「まさかそんなに大きな被害はないだろう」「自分は絶対に大丈夫だろう」という何の根拠もない心理状態でした。今日の邑本さんの「災害時での心理と行動」はとても勉強になりました。
今後起こりうる災害での教訓として心に留めておきたいと思います。

そして津波の恐ろしさ。決して災害を甘くみてはいけない。自分の身を守るためにも正しい情報を得て、落ち着いて安全な場所へ避難できるように常日頃から心掛けておきたいです。

私たちが経験したこの大震災、津波の恐ろしさを風化させることのないように、次の世代にも伝え続けることが震災を経験した私たちの使命だと強く感じました。



                    震災時の各地の震度を表した地図。


名取市閖上
震災前と震災後の写真(上下)
震災後は建物が全て津波により流されしまい
何もなくなってしまったことが写真からも分かりました。





気象庁
津波警報の改善について
http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/tsunami_keihou_kaizen/index.html


(取材日 平成25年2月2日)