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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年2月18日月曜日

2013年2月18日月曜日17:44
皆さん、こんにちは。けいこです。

春の気配もだんだんと近付いてきていますが、寒い日が続いていますね。
そんな日に食べたくなるのがお鍋です。
お鍋の具材として欠かせないのは「白菜」ではないでしょうか。

前日まで風が強かった天気とは打って変わり、朝から穏やかな日となった1月12日。
東京のNPO法人「農商工連携サポートセンター」が「岩沼白菜/農地復興ツアー」を行いました。

昔から岩沼の地に根付いてきた白菜が、一度途絶えたものの震災を機に復活しようとしています。
ツアーに同行し、収穫の様子を取材してきました。

仙台駅で参加者を待つスタッフの皆さん。
岩沼への移動中、バスの中で自己紹介。
「初めて東北に来た」、

「復興のお手伝いができてうれしい」という声も。










収穫場所は、海から約1.7キロメートル離れた場所。
津波によって大きな被害を受けた農家「やさい工房 八巻」さんの管理する畑です。

元々、この畑は地下水をくみ上げて稲作を行う「陸田(りくでん)」でした。
しかし、津波によって地下水が塩水化したことにより稲の作付ができなくなり、塩害に強い白菜を植えることになったそうです。
昨年の9月には、今回と同じようにボランティアの皆さんで3ヘクタールの内40アールに苗を植えており、この日は待ちに待った収穫となりました。

収穫前には、「やさい工房 八巻」の八巻文彦さん(右)から収穫のアドバイスを受けます。
周りの葉と根を落として→
形を整え→
丁寧に箱詰めをします

この畑で採れる白菜の特徴は、「柔らかさ」と「甘味が強いこと」。
白菜の主な生産地は茨城県だそうですが、この白菜も引けを取りません。
評判はとても良いそうです。
この写真からも、水分を含んでしっとりと柔らかい感じが伝わりますよね?

採れた白菜は仙台市場と岩沼市場に出荷された後に、
仙台市内、岩沼市内の量販店、小売店で販売されています。
「お鍋に入れたり、浅漬けにするとおいしいです。ロール白菜にしてもおいしいですよ」(八巻さん)

実は今回の収穫は、当初昨年の12月8日に予定されていたものでした。
しかし、その前日の7日の夕方にあった大きな地震のため急きょ中止が決定し、収穫が延期となっていました。
収穫を待つ間に養分をたっぷりと蓄えた白菜が目の前いっぱいに広がる景色に、ボランティアの方たちもとても喜んでいました。

どっしりしていて重みのある白菜。
大きいほうが甘味が増すとか。
皆さんコツをつかむと、テキパキと作業が進みます。

収穫作業は2時間半。
収穫は初めてという人が多い中手際よく作業が進み、箱詰めの段ボールが足りなくなるほど。
初対面の人も多かったそうですが、あちこちで笑い声が聞こえ楽しい雰囲気の中の収穫でした。
作業の合間には採れたばかりの白菜をいただいたのですが、茎も葉も柔らかく本当に甘い!
ボランティアの皆さんからも「おいしい」という声がたくさん聞こえてきました。

この日採れた白菜は6,5トン!430箱にもなりました。
自分の手で収穫したものが出荷されるなんて、本当に貴重な体験です。

一仕事終えた後はみんなでお昼ご飯。
収穫された白菜の漬け物や豚汁、そして「やさい工房 八巻」で作られたお米を使ったおにぎりなどが振る舞われました。
農商工連携サポートセンター、そして、八巻さんを支援する「味の素冷凍食品株式会社」からはギョーザ入りの温かいスープなども提供され、収穫を終えた皆さんはお腹も心も満たされていたようでした。



昨年は暑い日が続きました。
八巻さんは、質の良い白菜が収穫できるか心配したそうです。
収穫の日を迎えられたこと、そして想像以上の白菜の出来にホッとした表情を見せます。

自ら率先して先頭を行く八巻さんは、岩沼全体での農業の復活を望んでいます。

「何か新しいものを作るより、今までのものを継続して作ること。それが1番の復興になるのかなと思っています。だからこそ、今はまだ復活できていない農家の方たちも継続して作業ができるような状態になるといいなと思いますね。勇気を持って、どこかで一歩を踏み出してほしいです」

八巻文彦さん、静さん
9月の苗の植え付けにも参加したという藤本道子さん、元木明子さん。
2人ともこのボランティアの常連です。

「最初はコツがつかめずにいましたが、教えてもらいながら楽しく作業ができました。東京に住んでいても、何らかの形で被災地のお手伝いをしたいと思っている方は多いと思うんです。頑張っている被災地の情報がもっともっと発信されて、多くの人に知れ渡るといいなと思います」(藤本さん)

「今回は3回目の参加です。昨年植えた苗があんなに大きくなっていてびっくりしました。白菜の味が好評だと聞いてとてもうれしいですね。まだ復興できていない地域もあるそうなので、今後もお手伝いをしていきたいです」(元木さん)

こうしていつまでも被災地を思い続けていてくれる方がいるというのは本当にうれしいことです。
被災地には「私たちのことなんて忘れられているんじゃないか…」と思っている方が多くいます。
そんな方たちに、藤本さんたちの声が届くといいなと強く思いました。

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今回このボランティアツアーを企画したNPO法人「農商工連携サポートセンター」は、農業の付加価値を高めるための6次産業化を進め、雇用の創出と地域活性化にも力を入れる団体です。
また、都会に住む方に農業に触れる機会を提供するなど、農業と人を近付ける活動にも取り組んでいます。

震災後は、岩沼市で「復興トマト」を、また仙台市では「復興キャベツ」、亘理町ではイチゴ、岩手県大槌町では花の栽培を支援し、それぞれの地に根付いた農業の新しい道を開いています。
「復興トマト」は八巻さんのハウスでも栽培され、その味はとても甘く、大変好評だったそうです。


代表理事の大塚さんに、今日の感想と今後の展開についてお聞きしました。

「出荷用の作業をさせてもらったことはいい体験になりました。収穫もとても面白かったですね。以前作った復興トマトはとても好評だったので、それに続いて“岩沼白菜”もブランド化したいと考えています。夏にはトウモロコシを作る予定ですよ」

商品開発にも力を入れ、トマトのラスクやピューレ、ジュースも作っていきたい。
被災を受けいまだ農業を再開できていない方のために雇用を増やしていきたい、と意気込みも語ってくれました。

陸田復活 
岩沼白菜 エイエイオー!

農商工連携サポートセンター代表理事 大塚洋一郎さん
そして白菜についてはこんな話も。
「この土地独特の白菜の食べ方が面白いんですよ。その家独自の秘伝のたれを付けて食べる習慣があるんです。そして、たれを付けた白菜をごはんに巻いて食べるんです。今後はその秘伝のたれを商品化したいとも考えています」

そんな面白い食べ方があったんですね。
この1日で土に触れる経験だけでなく、玉浦地区の食文化を学ぶこともできました。

この日は36名がツアーに参加。
最後に皆さんで記念撮影!

この日採れた白菜をいただいて、早速お鍋や味噌汁の具材にしてみました。
煮てもみずみずしさはそのままでしゃきしゃきとした歯ごたえが残り、甘味もあって本当においしかったです。
出荷された白菜も、きっと温かい食卓を囲む誰かの「おいしい」の声と栄養につながっているのだと思います。

東北の復興に農業は不可欠です。
「いまだこのあたりの土地は茶色のまま。緑色になったこの景色を見るとやっててよかったと思う」
と八巻さんは言います。
豊かな東北の土壌が少しでも早く再生され、その季節ならではの収穫の景色を1日でも早く見られることを願っています。

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2月21日(木)には、東京都千代田区のホテルグランドパレスにて農商工連携サポートセンター主催の「東北復興シンポジウム」が開催されます。
八巻さんも登壇されるとのことなので、被災地の農業の現状や農家の方の取り組みを知る良い機会となりそうです。
お近くの方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

詳しくはこちらでご確認ください。


(取材日 平成25年1月12日)