header

宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

ヘッダー写真説明文

写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年2月7日木曜日

2013年2月7日木曜日12:05
えみです。

震災から2年がたとうとしています。
復興に向けてガレキは撤去され、新しいまちづくりのための開発も被災地では進められています。
しかし、多くの問題がまだ山積みです。

震災によって大人はもちろん子どもたちが受けた心の傷の深さは相当大きかったことでしょう。


今日は今年で10回目となる子育てシンポジウム「被災地での子どもたち」(主催 宮城県保険医協会)を取材してきました。


会場は仙台市の定禅寺通りにある141ビル・エルパーク仙台です。

その日は大雪で足元が悪かったにも関わらず会場には専門職の方や子育てに関わっている方などたくさんの参加者が集まりました。




初めに、主催者である北村神経内科クリニック院長の北村龍男氏さんよりごあいさつです。

北村神経内科クリニック院長 北村龍男さん



「子育てに苦労されている親御さんの姿に、医師•歯科医師としてできることはないだろうかと考え、子育て支援をテーマに毎年開催してきました。
 今回は「被災地の子どもたち」をテーマに東日本大震災後、被災地で生活する子どもたちの現状や課題について、参加者と一緒に考えたいと思います」


パネリストは4名です。

<養護教諭の立場から>
   石巻市立橋浦小学校養護教諭  堀内 奈々さん
   石巻市立前谷地小学校養護教諭 立花 秀美さん


<被災地の子どもたち 学校歯科医の視点から>
   阿部歯科医院院長       阿部清一郎さん 
 
<地域連携による子育て支援活動>
   いたのこどもクリニック院長  板野 正敬さん




シンポジウムがスタートしました。

   石巻市立橋浦小学校養護教諭・堀内奈々さん(右側)
   石巻市立前谷地小学校養護教諭・立花秀美さん(左側)

<立花秀美さんの発表>

震災によって学校再開は通常より少し遅れましたがやはり学校に来るとみんなと会えて遊べることがうれしかったようです。しかし体調不良で保健室の利用が徐々に増え始めてきました。話を聞くと学校、家庭での環境の変化によってストレスを抱えている子が多かったです。母親の仕事が忙しくなり会話する時間もないと悩んでいる子もいました。

震災後、自分の気持ちを外に吐き出すことがうまくできない子が多く、すごく心配しました。
ワークショップという形で子どもたちに今の自分の気持ちを紙に書いてもらうことにしました。
すると生活環境の変化によって子どもたち自身がすごく我慢をし、辛い思いをしていることが分かりました。

震災後の気持ちを書いてもらった紙




子どもたちの心と体の変化を常に見つめ続けて心の変化や成長に敏感になり見守ってゆくことが大切ではないかと思います


震災後はしばらくパンと牛乳だけの給食でした。

<堀内奈々氏さんの発表>

 震災直後は石巻市内の小学校3校合同での授業の再開となりました。
最初は学校のみんなと会える喜びで子どもたちは有り余るくらいの元気いっぱいな姿で学校生活を送っていました。
変化が現れたのはだいだい6月くらいからです。
体調不良を訴える子やケガをする子が多くなり保健室利用が増え始めました。

体調不良を訴えて保健室に来る女の子に話を聞いてみると、震災で友人を亡くしたこと、津波でお家ごと流されてしまったことが分かりました。また3校合同の新しいクラスになじめないことも分かりました。
震災直後はどの子も辛い感情を爆発しきれないことが、体調不良を訴える原因ではないかと分かってきました。

「辛いときはもっと甘えていいんだよ」と、どの子にもお話しました。
休み時間や空き時間を利用して子どもたちの話を聞くようにしました。
今では体調不良を訴えて保健室に来る子はほとんどいなくなりました。


被災した吉浜•相川•橋浦小学校3校合同での再スタート
震災直後の様子
石巻市立橋浦小学校の被災状況


石巻市立吉浜•相川小学校の被災状況

































震災後のもう一つの課題としては、虫歯のある子の割合が増えたことが挙げられます。
原因としては震災時は歯磨きやお風呂に入ることができなかったという衛生面の問題があると思います。
もう一つの課題は肥満児の子が多いということです。
ほとんどの子が仮設住宅に住んでいるので、思いっきり体を動かして遊ぶところがないのが原因の一つであると思います。
子どもの体と心を常に見つめ続けてサポートしていきたいと思います。


<阿部清一郎さんの発表>
阿部歯科医院院長の阿部清一郎氏

被災児童による歯の状況は悪化しています。

親が亡くなってしまったり、避難所生活で十分に子どもの世話ができなくなってしまったことが原因で、歯磨きを指導をしてくれる人がいなくなってしまいました。
また震災後は歯ブラシもなく、仮設住宅なので水も十分に得られず、しっかりと歯磨きができませんでした。
このように、生活環境が変わってしまったことが原因の一つであると考えられます。

避難所生活を振り返ってみますと食事がおにぎりと菓子パン中心で甘いパンが主食になっていました。支援物資もお菓子などが多かったです。

自販機が近くにあり手軽に買うことができたので、甘いジュースで水分補給をしていました。

移動が困難な地域に行き
歯とお口の健康教室を行いました。
震災後は食習慣•生活習慣が乱れてしまい、その結果歯が増えた子が多くなったと思われます。同時に肥満の子が増えたことも報告をうけています。


むし歯や歯周病などの口の病気は知らないうちに発病し、生活習慣に大きく影響されます。また一度壊れてしまうと、元の健康な状態に戻れないのです。大災害の後には子どものむし歯が増えることが報告されています。生活習慣を良い状態に戻すことが大切です。

1.食事に関しては、栄養面のことも考えて、甘い物が食事の中心にならないようにし、おやつのダラダラ食いをしないこと。
2.規則正しい生活を送り、歯磨きを忘れないようにすること。

心と身体の健康はお口の元気が支えます。今回の震災で不安に思うことが多くできたと思います。心配ごとがある時は1人でストレスを抱え込まずお家の人、学校の先生になどに相談してください。


<板野正敬さんの発表>

いたのこどもクリニック院長板野正敬氏

震災後の活動としては保健センターでの子どもたちを中心とした医療支援といくつかの避難所をまわり診療しておりました。
震災後は子どもも親も「これから大丈夫なのだろうか」という不安感•絶望感がすごく大きく、それは表情を見ても伝わってきました。
避難所を回っていると、病院でいつも見ていた子どもたちが寄ってきて抱きついてきました。やはりいつも見てくれている人が近くにいると思うだけで安心感•心の励みになるのかなあと感じました。震災後、子どもたちとたくさんスキンシップをすることにより不安は少しずつ解消されてきたと思います。

震災後の外来は1週間後からスタートしました。

1.落ち着きがない。イライラして攻撃的になる。
2.余震が来るたびに恐怖がよみがえり、おびえる。
3.1人で眠れない。トイレに行けない。親から離れない。
4.表情がなくなりしゃべらなくなった。
5.たくさん食べる。

このような子どもたちが多く受診されていました。
寄り添って話を聞いてあげて、子どもに安心感を与えてあげることによって徐々に改善されてきたように思われます。

地域で子育てを応援してくれる
ボランティアなどを養成する講座の企画•実施を行いました。

地域社会には子ども支援センターがいくつかあります。これらの機関と連携しながら一緒に活動すると、もっと有効な支援ができるのではないかなあと思います。震災後は地域の支援センターと一緒に多くの支援活動をしてきました。


駐車場を利用して子育てセンターの方と一緒に
子どもたちに絵本の読み聞かせなどをしました。
子どもに読み聞かせした紙しばいを紹介していました。



地元のラジオ局(エフエムいわぬま)を通じて支援活動も行っていました。



福島から避難してきた親子向けのサロン



福島から避難してきた親子向けサロンでは、「誰とも話ができなくてストレスがたまっていたので同じ境遇の人と話ができてよかった。話をすることで気持ちが落ち着いた」と参加者から言われました。

また、地域の子育てセンターや保育園などで、子どもの病気のことなどを定期的にお話しさせてもらっています。

震災後、病院の駐車場を利用してもらい、民間保育園保護者会による被災者支援のバザーも行われました。


病院の駐車場
地域の灯火として

今後に向けて、子どもも親も元気になるクリニックを目指します。
1.継続支援
2.親も支えていく
3.子どもの活力が、親にそして社会に元気を与える。

地域社会と連携しながら子育て支援活動を続けていきたいと思います。



取材を終えて

震災によって心に深い傷をおいストレスを抱えた子どもたちはたくさんいます。
一番最初に子どもたちが救いを求める場所は家庭•学校の保健室であり、正直に話せる場であるとも思います。
子どもたちを取り巻く家庭、学校、地域(病院)で、私たち大人が今後も見守ってゆくことが大切であると感じました。
また参加者から「学校の通学路の整備が遅れている箇所があり、安心して子どもを通わせられない」という声や、被災地の復興の遅れを指摘する声が上がりました。
復興の遅れが子どもたちに与える影響は少なくありません。
少しでも早く震災前の生活に戻れるよう、行政や関係者に働きかけていくことが必要だと感じました。

(取材日 平成25年1月27日)