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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年12月23日日曜日

2012年12月23日日曜日12:27
えみです。

今年も残りわずかとなりました。12月は師走とも呼ばれておりますがあっという間に今年も終わりに近づいています。なんとなくさみしい気持ちになるのは私だけでしょうか?

昨年の東日本大震災。誰もが予期せぬ未曾有の災害をもたらしました。震災時を振り返ってみると灯のない中で一夜を過ごしとても不安だったことを思い出します。そんな中でも、1台の古いラジオがあったおかげで情報を得ることができ、ずいぶん助かりました。


今日のテーマは、「東日本大震災で地域FM局が果たした役割について」

塩竈市にあるコミュニティーFM局「ベイウェーブ」専務取締役、横田善光さんの講演会に行って来ました。
主催は多賀城・七ヶ浜まちづくり推進協議会です。


会場は多賀城駅から歩いておよそ10分の多賀城市市民活動サポートセンターです。
会場には20名近い方が講演会を聴きに来ていました。


始めに、多賀城•七ヶ浜まちづくり推進協議会 会長大山真由美さんよりご挨拶です。

「多賀城・七ヶ浜は昨年の3.11の大震災で多くの被害を受けました。
災害時には情報の大切さ、地域のコミュニティーの必要性を感じたと思います。

震災後の環境下で情報の発信を続けたコミュニティーFM局「ベイウェーブ」専務取締役の横田善光さんに、実体験を交えて「東日本大震災で地域FM局が果たした役割について」の講演をお願いしました。

今後また起こりうる災害の防災・減災のために、地域FM局の役割を再認識する機会だと思います。多くの方に地域コミュニティーFM局に興味を持っていただき参考にしていただければと思います」。

多賀城・七ヶ浜まちづくり推進協議会会長、大山真由美さん

横田専務は、震災時での様子を参加者の皆さんにスライドを見せながらお話ししました。

コミュニティーFM局「ベイウェーブ」専務取締役 横田善光さん
「ベイウェーブは平成9年に開局し宮城県内で2番目、東北では6番目に開局したコミュニティーラジオ局です。

設立のきっかけは、平成7年の阪神淡路大震災です。この大震災を教訓に、近い将来高い確率でやってくる宮城県沖地震に備えラジオ局を設立しました。
 当時、阪神淡路の被災地神戸ではラジオ局の活躍は大きく、ラジオのおかげで多くの情報を得ることができずいぶん助かったという多くの報道がありました。


「ベイウェーブ」は地震発生で停電になると、発電機が自動起動しました。すぐにスタジオへの電源を確保しようとしましたが、そこに大津波警報の発令! 高台へ避難することになりました。

ラジオという媒体で皆さんに情報をいち早く伝えたかったので、事務所の鍵を掛けて避難せざるをえなかった時は非常に無念でした。津波が収まったらすぐにでも放送を再開しようと決心していました。

スタジオには津波が押し寄せ大規模半壊。機材の半分は使用不能となりました。
スタジオが被災し、再開は絶望になりましたが、隣の「宮城ケーブルテレビ」と打ち合わせをし、地元のメディアとしてはテレビよりラジオを復活させるのがベストと考えました」。

 とにかく今我々がやれることをやるだけ!
  ラジオを優先に復旧しよう!

「その時、幸いにも『防災無線の電源を使ってください』と塩竈市役所からお声を掛けていただき、発災から2日後に、市役所2階に仮設スタジオを作って放送を再開することができました。

スタジオからは、災害対策本部のニュースを24時間繰り返し放送しました。
隣の松島町・多賀城市・七ヶ浜町の情報も発信し続けました。

震災から1週間目には臨時災害FM局として申請、認可されて運用をスタートしました。

臨時災害放送局とは、「暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害が発生した場合に、
その被害を軽減するために役立つ」放送を行う放送局です。

臨時災害FM局の役割
・被災者への支援及び救護活動等の円滑な実施を確保するための番組を制作・放送。
・役割が終了後、速やかに廃止(閉局)手続き。
・廃止後はコミュニティー放送に戻る。  

参加者の皆さんは真剣にメモを取りながら話を聴いていました。

 《震災後の放送内容について
1.被害状況・ライフラインの復旧関連情報
2.安否情報(誰から誰へ)
3.支援物質
 避難所は定期的に行なわれたが、自宅避難所への物資配給が重要でした。
4.交通情報
 電車が全く動かなかったので臨時バスの案内。
5.生活情報
 病院•薬局、入浴支援(自衛隊・ホテル)、銀行・スーパー開店情報。
6.放射能関連等

※生活に密着している情報は無条件で放送しました。
※音楽に関しては1カ月後になってようやくまともにかけることができました。


このようにいち早くタイムリーに情報を皆さまにお伝えすることができたので、ラジオを持っていた方からは『大変助かり落ち着いて行動できました』という声を聞いています。
ラジオにおける情報伝達の重要性・大切さを強く感じました。

しかし、被震災後の災地ではラジオの入手は困難(無理)だったので、ラジオを持っておらず残念ながら被災地情報を聴くことができなかった人も多くいました。

ラジオを持っていた方と持っていなかった方に情報伝達の面で差が出てしまったことは、今回の震災後の教訓でもありました。(安否確認•給水•救援物資情報•交通情報など)」

震災時にラジオを携帯していたかによって、
震災後の安否確認•給水•救援物資情報や交通情報に差が出た。

震災後の課題

「スタジオが津波で被災するとはまさか思いませんでした。スタッフも被災し、震災後は少ない人数で再開することは大変でしたが、隣のケーブルテレビに技術支援をいただけ、また市役所防災担当者と連携して再開することができたと思います。
 課題としては震災発生から2日間電波が停止してしまいその間は何もできなかったことと、外国語での対応ができなかったことです。(塩竈市は中国の方も多く働いています。英語・韓国語・中国語での対応ができず、被災地多言語センターの案内のみの放送しかできませんでした。)
震災時のマニュアルを再確認し、より強固なものにしていきたいです」。


横田専務の最後の言葉
おかげさまで昨年12月、海岸通りに新スタジオができました。

局を開設した16年前は若い人もみんなラジオを携帯していました。現在はラジオという媒体も知らず聞いたこともない人もいます。大変厳しい状況です。
 しかし、今回の震災時で情報伝達という点ではラジオの重要性、必要性を感じた方が多くおられたと思います。

 今後も地域FM局として地域に根ざした情報、緊急情報などをいち早くリスナーに聞いていただけるよう皆さまのお役に立てればと思います。
 現在は、復興応援イベント、仮設店舗、仮設住宅などの現在の復興状況をお伝えする復興通信をやっております。
ラジオを通して元の生活に戻れるまでの応援をやっていかなくてはと考えています」。


中央がコミュニティーFM局「ベイウェーブ」専務取締役 横田善光さん
多賀城・七ヶ浜まちづくり推進協議会の皆さん。


<取材を終えて>

3.11の夜。灯もなく真っ暗闇の中、これからどうなるのだろうと不安を抱いて布団の中で体を縮こませているとラジオから必死に現在の状況を伝えている声が聞こえてきました。その時津波によってたくさんの方が亡くなられたことを知り、信じられず今でもあの夜のことは鮮明に覚えています。電気も止まりテレビやインターネットも使用できず家にあった古い小さなラジオで震災後は、たくさんの情報を得ることができました。
「ラジオを持っていて良かった!」
今もそのラジオは大事に家に置いてあります。

現在はインターネットでもラジオを聴ける時代ですが、災害時にはすぐには使用できません。携帯ラジオを一台常備しておくことは私を含めて多くの方が教訓として残りました。

コミュニティーFM局「ベイウェーブ」の皆さま。震災時はありがとうございました。


まだまだ震災復興の途中です。被災された全ての方が元の生活に一日でも早く戻れますようにラジオを通して地域に密着した情報をお伝えしていただけることを期待しております。

(取材日 平成24年12月8日)