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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年12月23日日曜日

2012年12月23日日曜日22:08
皆さん、こんにちは。スーサンです。

仙台市宮城野区岡田は近年、みその産地として知られるようになりました。

岡田生産組合が製造・販売する「岡田産づくり」の出荷が再開されたと聞いて、新しい加工施設を訪ねてみました。

「前の味と同じものをつくることができました。岡田産のみそが復活できて、大変うれしいです」

話を伺ったのは、組合長の遠藤源二郎さんです。

岡田地区は、他の市内沿岸部の地区と同様、東日本大震災では大きな被害を受けています。5つの集落のうち、3つで津波をかぶり、住民78人が亡くなっています。

組合の被害は、みその原料となるコメと大豆の農地約460haが壊滅し、加工施設が流出しました。組合は苦境に立たされましたが、震災直後から、消費者からのみそづくりの復活を願う声が多く届けられ、昨年4月の段階で事業の継続を決定したといいます。

総工費約5800万円となった新しい加工施設の再建では、国の東日本大震災生産対策交付金のほか、県の農業生産復旧緊急対策事業(ヤマト福祉財団助成金事業)などを利用しました。組合の負担率は12%に軽減されたといいます。

遠藤組合長は増産を目指しています
今年3月下旬に完成した新施設は、同区岡田字南在家にあるJA仙台ガス供給センターの隣接地に建設されました。海岸からおよそ500mの至近距離にあった元の施設とは違い、海岸とは3㎞ほど離れています。

平成11年に生産が始まった「岡田産づくり」は熱処理をしない生みそです。一般的なみそと違って、麹(こうじ)と大豆を同じ分量使うことで、香りの良さとまろやかな甘みを生み出したといいます。震災以前は、直売所に加え、みやぎ生協やヨークベニマルなどの量販店などで販売されてきました。

出荷を本格再開したのは1年8カ月ぶりとなる11月初旬で、建物の完成と同時に仕込んだ原料が商品化されています。今年は天候がよく、熟成は半年程度となり、例年より早まったといいます。

年間の生産能力は以前と同じく10t以上を可能としていますが、現状では6割程度であり、来年の半ばまでに以前の水準に戻したいとのことです。

岡田生産組合は、昭和55年に設立された、稲作からの転作に対応した岡田水田協議会が母体になっています。現在の組合員数は70農家で、耕作面積は水稲460ha、大豆160ha、大麦77haなどとなっています。

「みその加工は、転作作物となった大豆を有効活用できないものかということから、始まっています。みそはもともと組合員の農家が個人でつくっていましたので、ノウハウはありました。個人のみそづくりは、麹(こうじ)菌の発酵や大豆の水浸けなど、材料の扱いに手間がかかり、いつの間にかすたれていってしまいました」

新米を使った仕込みも始まっています。仕込みは夏場の3カ月を除き、通年行うといいます。コメは今年の耕作を復活できませんでしたが、隣接する同区高砂に組合員が所有する田んぼがあり、代替の収穫が可能となりました。


製造現場を拝見しました。製造に当たっているのは加工班で、40~70代の農家の女性16人で構成されています。年齢に幅がある分、技術や知識で相互啓発されるといいます。残念なことですが、震災では班員の1人が亡くなっています。

みそづくりを支える加工班の皆さん
おじゃました当日は、ちょうど麹づくりが行われていました。せいろで蒸したコメを手で均等にほぐし、さらにこすって細かくした上で、麹菌を素早くまんべんなく振り掛けるという作業が続けられていました。この日のメンバーは5人です。

みそづくりの仕込みでは、こうした工程のほか、ひと晩寝かせた麹を切り返す工程、その麹に蒸した大豆を合わせ、塩を混ぜるといった工程が必要とされています。1工程に1日を要し、それぞれに4、5人のメンバーが割かれるといいます。

せいろから取り出したばかりで、湯気が上がるコメです
コメをほぐして細かくなるまでこすります
手づくりとはいえ、時間管理が行き届き、仕上がりの良さをうかがわせます。原料には、ひとめぼれの1等米、タンレイという品種の大豆を使っているといいます。麹をかなりぜいたくに使っていること、塩分が12%と控えめであることが大きな特徴のようです。

「震災前と同じ味をつくることができました。皆さんの協力に感謝します。これからもおいしいみそをつくっていきたい」

メンバーの1人はこう述べ、事業再開のうれしさをにじませていました。

「岡田産づくり」は、JA農産物直売所「たなばたけ」で販売されています
自分流に味付けが可能な「仕込み味噌」
現在は量のまとまった出荷がまだできないことから、販売先をJR仙石線高砂駅前にあるJA仙台農産物直売所「たなばたけ」に限定しているといいます。震災以降、全国からの問い合わせが増えているようで、インターネット通販なども来年秋以降に具体化する予定です。

「いち早く従来の生産態勢に戻して、再び量販店で販売していきたい。生産量を増やし、最終的には12、13tの数字を目指していきたい」

遠藤さんは岡田生産組合の今後について、抱負を力強く話しました。

農業の復興が注目されています。組合のみそづくりは都市型農業の先進事例であり、地産地消、六次産業化といった取り組みからは目が離せないと思います。

「岡田産づくり」は750g入りで、525円(税込み)です。仕込み直後の状態で販売し、購入者が自由に味付けして熟成させることができる「仕込み味噌」(5㎏税込み2625円、10㎏同5250円)も好評のようです。問い合わせは「たなばたけ」(電話022‐388‐7318)へ。

(取材日 平成24年12月13日)