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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年11月27日火曜日

2012年11月27日火曜日19:09

「人には3つの命があると思うんです。その3つの命を生きることが大切だと思いませんか?」




「人の3つの命。「生命」「使命」「一生懸命」その1つ1つを大切に生きることが「生きること」ではないでしょうか?そしていつも笑顔でね」

知る人ぞ知るジーンズメーカー、「オイカワデニム」の及川秀子社長から湧き出す人間としての強さを感じました。


工場下の海抜15mの所まで押し寄せた津波

「東日本大震災の時、会社から40分ほど離れた気仙沼市中心部で被災しました。揺れがなかなか収まらず、ふと、婦人防火クラブで教えられたことを思い出しました。『君が代』を初めから最後までオリンピックなどで流れるテンポで歌った長さより長い揺れの時には津波の来る可能性が高い、と。
大きな揺れにとっさに津波が来ると思い、とにかく会社へ。従業員の安否の確認をしなければ…の思いだけで、会社に向かって車を走らせました。

旧気仙沼市と本吉町の境まで来たところで大津波が陸地に向かってくるのが見え前に進むことができなくなりました。それでも会社へ…従業員の安否を確認しなければの思いで前に進もうとしましたが車のタイヤまで津波が押し寄せていて前に進むことが困難になりました。

津波から逃れるために、国道から細い道を入りました。小高い所まで行くと、住んでいる方に『今日はもうすぐ暗くなるから泊まって行きなさい』と無理しないように引き止められました。従業員の安否が気になるからどうしても戻りたいという私の思いを察して、その家の方は『寒いから着なさい』と雨合羽を羽織らせ、お菓子を持たせてくれました。どうしても会社に戻らなければ・・・会社へ向かって歩き始めましたが、10分も歩くと寒さで歩けなくなりました。


引き波で海底が


この日は、会社に戻ることを諦めて近くの階上中学校に行くと、既に1000人ほどの人が避難していました。車で津波に巻き込まれなんとか避難して来た男性はケガをしたという我が子を案じていましたが低体温症を起こし緊急搬送が必要になりました。気仙沼は火事で燃えていました。

オイカワデニムに避難した地域の人たち


翌日、夜が明けてから車で山回りのルートで半日かけて会社に帰ると、地域の人たちが会社に避難してきていました。
2010年のチリ地震津波があってから、従業員には常に災害時には工場の片付け方と準備の仕方なども話し工場を避難所に開放するようにしていました。高台の私の会社に偶然避難してきた、コンビニエンスストアーの配送車や飲料品会社の車から食糧や水などを分けてもらい、赤ちゃんのミルクも確保できる環境ができていました。地域の人たち、29世帯118名が避難してきていました。
7月24日の避難所の閉所式まで、避難して来ていた地域の人たちの協力で避難所は「明るい避難所」として運営できました。避難してきた皆さんに励まされ支えられたのです。




震災から3週間が過ぎた4月4日から工場で作業を再開することができたのも、「気仙沼の復興の音をここから」と、津波で仕事を失った漁師さんたちが動力をレンタルして電気を作ってくれたからです。メーカーさんや取引先からもたくさんの支援が届きました。
”復興”とは働いてお金を手に入れて生活できるようになること。みんなで頑張っていこう!」と避難所の人たちと励まし合いました」




下を向くより、明日を考えよう!
及川社長も自宅と倉庫を失いました。及川社長は「全てを失ったけれどいただけたものが多いのも今回の震災だったように思います。頑張りは必ず波及します。絆=みんなで協力することです。」と笑顔で話します。






20年前、ご主人が亡くなった時には3人の息子さんはまだ学生だったそうです。どうして生きようか? そんなことを考える余裕もなかったと振り返っていました。リーマンショックの時には、メーカーの下請けをしていたことで仕事がなくなり経営の方針を考え直さなければいけない人生の危機もありました。そんな中でも、いつも人に救われ励まされて今日まで生きてこられました。




今は、3人の息子さんがそれぞれの得意分野を活かし、自社ブランドの開発など及川社長の仕事を支えています。

このステッチはオイカワデニムオリジナル

小高い丘の上に建つ「オイカワデニム」の工場には、地域の中の事業所として何ができるのか? を考えている及川社長の温かさと優しさを感じます。「3つの命」を自分の命が費えるまで精一杯生きよう!下を向かないで前を向こう!女性としての慈しみと強さを感じるお話でした。
有限会社オイカワデニムの及川秀子社長に生きることの大切さと、生きることや復興へもっと前向きになれることを考えたkaiiです。

(取材日 平成24年11月12日)