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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年11月13日火曜日

2012年11月13日火曜日9:34
こんにちは。けいこです。


現在、桜井薬局セントラルホールで上映中の「石巻市立湊小学校避難所」。
10日に行われた舞台挨拶にお伺いしました。
当日は、藤川佳三監督とこの映画に出演されている村上愛子さんが登壇され、上映前からたくさんのお客さんの姿が見られました。

桜井薬局セントラルホールはクリスロード内、ダイエーの近くにあります。
個性的な映画の上映が魅力の映画館です。

藤川監督が湊小学校の避難所を訪れたのは昨年の4月。
避難所の様子は本当に明るいものだったそうです。
「人々は誰もが笑顔で、冗談も飛び交っていました。本当にここが避難所なのかと思ったほどでした」
しかし、避難した方々の心の奥にある本当の気持ちに触れる出来事があります。

「ボランティアの方が持ってきた花を見て、皆さんが涙を流されたんです」

押し殺していた感情が、綺麗な花を見た瞬間に解けたのでしょうか。
藤川監督は、鮮やかな色の花を“美しい”と思えるようになった被災者の皆さんの心の動きに気付きます。

その涙がきっかけとなり、監督はカメラを回しました。
あくまで、ありのままの避難所の姿を切り取るように撮影を進められたそうです。

村上さんは当時の避難所の様子をこう語ります。
「とにかく子どもたちがすごかったんです。栄養が足りていないのにもかかわらず、いつも元気。その姿には元気をもらいました。でも、“涙が出ない”と訴えてくる子どももいたんです。我慢しているのが分かりました」

湊小学校の避難所で、村上さんと同室だったゆきなちゃんという10歳の女の子。
世代を超えた村上さんの“お友達”です。
映像では、ゆきなちゃんが気丈に振る舞っている様子が映し出されます。
しかし、10歳で何もかもを抱え込むにはあまりにも大きい今回の震災。
「どうしても津波の映像が忘れられない」
と今にも泣きだしそうな声で話すゆきなちゃんの姿は、被災地で暮らす子どもの本当の姿をも映し出しています。


舞台挨拶をする藤川監督と村上さん。
この瞬間もカメラで撮影しています。

この映画について、桜井薬局セントラルホールの遠藤瑞知さんはこう語ります。


「あの時私たちは目の前のことで精一杯でした。おそらくそれを引きずったままの一年を送ったような気がします。やっと気持ちが落ち着きだした今だから、無我夢中で過ごした時間の記憶を記録する必要があるのだと思います。カメラを向けられると人は本音を隠してしまいますが、これほどの経験をした人々がカメラを向ける藤川監督に雄弁に本音を語っています。信頼関係を感じます。そして、みんな明るい。どんな環境にも負けない、人々の本来持つ逞しさと強さを感じます。」


当時、何も見えてこなかった被災地の状況。
自分の生活を守るのに精いっぱいで、周りを見る余裕すらなかったともいえます。
1年8カ月経った今、あの当時を振り返り、“記録を記憶する”。
震災の被害の状況だけでなく、その中で強く生きていた人々の姿もしっかり心に刻まなければと思いました。

上映後、お客さんから声を掛けられる村上さん。
村上さんの人柄や話す言葉に、とても引き付けられました。

村上さんとお話をした中で強く印象に残ったのは
「私は本当に“津波様”だと思っているの」という言葉です。
この震災の“おかげ”でいろんな人に出会い、たくさんの愛情をもらい、ゆきなちゃんと友達になれて、たくさんの方と親戚のような関係になれた。
こんなに幸せな経験ができた私は恵まれた被災者なんだ、と言います。

あれだけの被害を受けても、こんなに大きな気持ちで震災を受け止めて前に進んでいる方がいるのかと、村上さんの強さに心を打たれました。


「人はいつだって 愛しくて すごい」 藤川佳三
「まるごと命のおんじん」 あいちゃん 70才 

「時間が経った今だからこそ、あの時石巻では何があったのか、避難所では何があったのかということを考えてもらいたいです。また、それだけではなくて、どんな風に人は他人と関係を作っていけるのか、という普遍的なことについても考えてもらいたいです。
人が生きていくことの意味を考えるきっかけにもなればいいな、と思います」
と、藤川監督は話をしてくれました。


この映画は、悲惨な状況を伝えるものではありません。

悲しみの中にありながらも、それでも前を向いて生きていく強さを持った人々の姿を伝えています。
見終わった後には、少し背中を押してもらったような爽やかな気持ちにさえなります。
震災後の混乱の中を生きた人々の姿を通して、とにかく今は前を向いてがんばろうと思える映画でした。


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石巻市立湊小学校避難所」は今週金曜日、16日まで上映されます。
(毎日1回、13時から上映)
ぜひ桜井薬局セントラルホールまで足を運んでみてください。


(取材日 平成24年11月10日)