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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年9月27日木曜日

2012年9月27日木曜日22:43
こんにちはkaiiです。

皆さんはお寿司のネタで好きなものは何ですか?
「マグロ」と答える方も多いかも知れません。

日本のたくさんの漁船が日本近海だけでなく、世界の広い海でマグロ漁を行っています。
今日、訪ねて来た宮城県造船所の畠山貢社長さんは、遠洋マグロはえ縄漁に携わったことがある方です。南極近くまでクロマグロなどマグロを追いかけてマグロはえ縄漁に出漁していたそうです。


1回の航海は10カ月から1年にも及びます。
その間に、マグロを満船になるまで獲って積みます。

今日取材に来た欣栄丸(409t)の場合、満船になるまで300t~400tも積めるのだそうです。

こうして獲られたマグロが私たちの食卓に上っています。


まぐろはえなわ漁業については、こちらのサイトの説明が分かりやすくてお薦めです。

独立行政法人 水産総合研究センター 開発調査センター
http://jamarc.fra.affrc.go.jp/index.htm
まぐろはえなわ漁業とは
http://jamarc.fra.affrc.go.jp/work/maguro2.htm


マグロ漁だけでなく日本のたくさんの船を支えているのが造船所です。
今日は、東日本大震災で大きな被害を受けた気仙沼の造船所の復旧状況と、マグロ船の「上架」の作業について皆さんにお知らせしたいと思います。


気仙沼市の造船所の多くは気仙沼湾の東岸に位置しています。

なぜ東岸に集中しているのかというと、山が迫り平地の狭い気仙沼湾沿岸では西岸は町が広がりっているため、東岸にしか十分に造船所がつくれる広さの土地を確保できなかったからだそうです。

造船所から海に延びる、船を上架するためのレールは全長150mほどで、130mほどが海底に向けて伸びているそうです。
実はそのレールは、鉄道の線路に使われているレールと同じで、船を台座に乗せて直径3cmほどのワイヤーを巻き上げることでレールの上に引き上げます。
船底には魚群探知機などの機械が取り付けられているために、この作業は慎重に行われます。船の設計図が分かっている造船所ならではの職人技の作業の1つです。




宮城県造船所も東日本大震災では大きな被害を受けました。
工場の建っていた土地は、地盤が80cmも沈下し、作業に使われているレールも工場も事務所も津波で破壊されました。
造船所近くには船が座礁し火災で焼け焦げていました。

畠山社長は自宅も愛車も津波で失いましたが、震災から23日目の4月4日から造船所再開に向けて従業員を集め、片付け作業などの復旧工事に着手したそうです。

復旧工事を進める中で困ったのは砕石が北海道・東北地方では確保できなかったことでした。船を上架するためのレールを敷き直すためには、サイズの違う砕石を使って陸地から海底に向けて傾斜をつけてレールを敷かなければなりません。そのための砕石が確保できないことが、復旧の妨げになったそうです。広島県から何とか砕石を運び、2本のレールを工場内に設置したそうです。

レール設置のための工事の内容を説明した図
海底には大きな砕石を徐々に砕石のサイズを小さくしてからレールを設置します。

今年1月には、座礁していた大型船も撤去が完了し、工場敷地内の浸水もなくなりました。
宮城県造船所には、毎日多くの業者さんたちが忙しく出入りし、船の上架作業を行っています。
1隻の船に関わる業者さんは大きく分けて5業種。それぞれが自分の仕事をしていました。


畠山社長は震災後行われた震災解雇について、こうおっしゃいました。

人を1人育て使えるようにするためには、周りにいる人にも努力が必要になる。必要な時にだけ人を使って、みんなが困っている時に解雇するなんてひどいことだと思う。仕事がなくなったのだからしかたないと雇用側は言うかもしれないけれど、どうして復興させていくかを考えれば「人」が大切だと見当はつくのだが・・・今回の震災で自分は1人も解雇しなかった。それは「人」が大切だと思っているから。


「これからの気仙沼の復興に必要なことは、みんなが独りよがりにならず、互いが協力して一緒に考えて復興を進めていく環境だと思う」と語る畠山社長の考えに共感しました。

「板1枚下は地獄」
海の仕事の危険を比喩した表現を思い出しました。板1枚下が命に危険がおよぶ場所であり、一度航海に出ると次の港に入港するまで逃げる場所がない。そんな中で生活を共にし仕事を共にする仲間の存在はとても大切で、独りよがりでは周りの人に迷惑をかけてしまいます。

畠山社長の「人が大切なんだよ」の言葉には、約1年もの間を船で共に暮らす漁師さんたちの苦悩と経験が感じられました。



「笑顔は人生の花である」
畠山社長の大好きな言葉だそうです。

笑顔は人生の花・・・震災後の大変な時期にも、いつも会社の大黒柱として従業員の皆さんを引っ張ってきた社長さん。
復旧作業開始の昨年4月4日は小雪の舞う寒い日でした。
不自由な環境の中での作業開始の時も、従業員の皆さんに心を配る優しさと復旧を誓う強いリーダーの姿で先頭に立っていました。強いリーダーだからこそ笑顔を忘れない懐の深さがあると感じました。


(取材日 平成24年9月27日)