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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年9月28日金曜日

2012年9月28日金曜日21:33
えみです。

東日本大震災という未曾有の災害が起きて、日本全国または海外からたくさんのボランティアが被災地に向かいました。そして多方面から支援していただきました。
今日は、ボランティアとして避難所を訪れ、被災した女性たちを支援していくなかで初めて知らされた被災地の女性たちの現実をお伝えします。

9月23日秋分の日。仙台の天気は雨。急に気温も下がり、寒い一日でした。

東日本大震災では、多くの方がさまざまな困難を抱えました。震災によって今まで通りの生活ができなくなり、慣れない生活に疲れ果て、大人も子どもも大変なストレスを強いられました。

震災から1年6カ月が過ぎました。復興は一歩ずつ進んでいます。
しかし、震災直後から今までを振り返り、多くの問題点•改善すべき点が浮かび上がったのも事実です。
今日行われる東日本大震災に伴う「震災と女性」調査報告会は、ターゲットを被災された女性に絞り、昨年の震災直後からの生活の様子を自由記載で書いてもらったアンケート結果を踏まえて開かれるものです。










会場のエル•パーク仙台セミナーホールには、約60名の方が集まっていました。


東日本大震災に伴う『震災と女性』調査報告会を主催したのは特定非営利活動法人イコールネット仙台です。代表理事の宗片恵美子さんが報告してくれました。



イコールネット仙台は震災発生時から、被災女性を対象に、避難所におけるお見舞い訪問や、女性たちの洗濯物を預かって自宅で洗濯して届けるという洗濯代行ボランティア等の支援活動を続けてきました。
その際に被災女性一人一人から多くの悩みも聞こえてきたのです。

その内容は、家族の問題(子どもの精神的ケアや介護の増大)、震災解雇、震災同居、震災離散など。震災によってライフスタイルが全く変わってしまい、女性たちは大変苦労しました。
また、避難所においての男女の役割分担の違い。避難所ではリーダーはほとんどが男性なので、女性たちの声が運営に活かされていませんでした。
例えば、更衣室の問題。多くの女性は着替え場所もないので布団の中で着替えていました。また、洗濯機はあるけれど干す場所がないので(下着を見られたくないため)、濡れたままの下着を着ていました。

このように女性たちは震災直後から我慢を強いられ多くの困難を抱えました。
これに応えるためイコールネット仙台はできるだけ多くの避難所を回り、物資の提供(女性用の下着•化粧品の配布)や心のケアを続けてきました。


震災直後から多くの困難•改善すべき問題点が浮き彫りになった今、この女性たちの声を無駄にしてはいけません。女性たちは困難に立ち向かい大きな力も発揮しました。
復興に向かって、イコールネット仙台はこの女性たちの声を届ける必要性を強く訴えて、アンケート調査を開始しました。

アンケート調査は昨年の9月からスタートしました。
宮城県内の仮設住宅の女性を中心に3000件配布したところ、1512人から郵便で回答が返されました。回収率は50.4パーセントに上ります。できるだけ多くの現実を知りたかったので、自由記載形式にしました。
ですから、報告書にまとめた際にもアンケートを書いたくださった方の文面はなるべくカットせずそのまま載せてあります。
今日の報告会は、その貴重な生の声をまとめた報告書を元に行われたのです。

どれもがアンケート用紙の余白いっぱいに記載されていました。びっしりとつづられたその文面からは、「話を聞いてほしかった」「なんとか改善してほしい」といった気持ちが強く感じられました。

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アンケートの調査項目(報告書より一部抜粋)

1)震災に伴う家族構成の変化(自由記述)
 ●要介護の母と同居したため、仕事に行けなくなった。
 ●夫の両親や兄弟と同居。プライバシーのない毎日にストレスも大きかった。

2)避難所における生活状況
 ●リーダー的人材が必要だと思った。(リーダーは男性ばかりで女性の声が届きにくい)
 ●仕切りがなく恐怖
 ●障害のある子やお年寄りを介護するのは大変だった。

3)震災に伴い抱えた困難
 ●子どもが震災の恐怖で離れたがらない。
 ●両親の体調が不安定になり、生活や通院の手助けが必要になった。

4)復興計画策定に女性の参画は必要ですか。
 ●ほとんどの方が必要であると書いていました。

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男女共同参画の視点からみる防災•災害復興対策に関する提言

1)防災•災害復興対策に関する意思決定の場に女性委員を3割以上参画できるようにする。
 (現在は1割にも満たない状態だそうです)

宗片さんの発言です。

被災地の女性たちの1512人の声を全国の行政などに発言し、対策として提言して行きたいです。要求するだけではなく一人一人が出来ることを考えて行くことも必要なので問題提起として設けました。
この報告書は昨年の震災直後から、女性たちが何を体験して、何を考え、どう行動したのかについて記録として残すとともに、この調査が防災•災害復興について女性たちが主体的に発言し、責任をもって関わっていくことができるように期待します。
 また全国にも災害に対する危機感が高まっているので、この調査が教訓として各地域の防災対策の取り組みに役立てていただければ幸いです。


報告会の後は講演です。

『震災から1年半---女性たちが抱えた困難を繰り返さないために
     今、行動すべきことは•••』

宮城学院女子大学教授でイコールネット仙台理事の浅野富美枝さんがお話ししてくれました。


宮城学院女子大学教授 特定非営利活動法人イコールネット仙台理事
 浅野富美枝さん



1)『災害と女性』の調査意義
 ●一人一人の置かれている状況が違うので、各々適切な支援を行うには災害時の女性たちの動きとニーズを正確に把握することが重要である。

2)調査で見えてきた災害時の女性のニーズ
 ●生活の質の確保は生きる力の回復につながる。
 ●女性のニーズとはプライバシーを確保するためのニーズだった。

3)災害時の女性のすがた
 ●家族•友人•仕事等の生活基盤を喪失した。

4)困難を繰り返さないために•今、行動すべきことは
 ●ニーズに十分応えられるように一人一人に応じた支援を行うことが大事。そのためには誰がどんなニーズを持っているのか情報を得ることが大事です。
  行政の中の連携だけではなく、市民団体の連携も必要。
 ●個々人、状況が違うので、一人一人に声を出してもらい聞いてあげることが必要です。
 その声を行政等に届くように発言する場を設けることが必要かと思います。 




復興のまちに女性の力は不可欠
NPO法人 イコールネット仙台

代表理事の宗片恵美子さん(右下から二番目) 

宮城学院女子大学教授・イコールネット仙台理事 浅野 富美枝さん(右下)ほかスタッフの方々



取材を終えて

 被災した女性たちが抱えた困難苦しみは本人でないと分からないことかもしれません。
しかし災害時に大きな力を発揮したのも女性たちです。東日本大震災に伴う『震災と女性』調査報告は震災直後からの女性たちの状況を知る手がかりとし て、とても貴重な記録となりました。ぜひこの報告書にまとめられた被災女性の生の声を生かし、行政•民間団体との連携プレーで、よりよい支援体制が整ってくればいいなと願います。


 (取材日 平成24年9月23日)