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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年9月12日水曜日

2012年9月12日水曜日19:17
秋の風を感じられるようになりました。
赤とんぼが空を飛んでいる様子に命の強さを感じるkaiiです。


今日は、この7月末に東日本大震災から約15月ぶりに再開館した「リアス・アーク美術館」に来ています。

今日はとても良い天気です。

リアス・アーク美術館から一望した気仙沼湾

リアス・アーク美術館

リアス・アーク美術館は、気仙沼市の中心部から南西2.5kmの位置にあります。まるで、気仙沼湾を見下ろす丘陵地帯の一角に降り立った「美術の方舟(はこぶね)」のようなデザインです。




2階のアーク・ギャラリーには、リアス海岸の生活の中にある「食」を中心に漁業関連資料約450点と考古資料約100点が「方舟日記」として所蔵・紹介されています。また、浅井元義氏の描いた気仙沼・南三陸町の古い建物のスケッチのうち、被災した地域を描いた33点が常設展示されています。

再開された常設展


東日本大震災では、この美術館も大きな被害を受けました。それでも一時は、支援物資の保管庫の役割を担って気仙沼地域を支えたそうです。

しかし、そんな中でも学芸員さんたちは、津波被害の様子を写真に記録する活動を実施しました。
撮影点数は約30,000点にも及び、その中から選んだ約40点と、平成18年に開催した明治三陸大津波の記録展、「描かれた惨状~風俗画報に見る三陸大海嘯(だいかいしょう)の実態~」の内容を合せて、728日の再開館には「津波展」として紹介したそうです。

91日からは常設展示も再開しました。

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学芸員の山内宏泰さんとお話をするうち、「文化」とは何かと問われました。
「文化」=「文化財」ではなく「文化」=「生活」だと教えていただきました。

その言葉が、常設展示「方舟日記」でも語られています。

展示に描き出されているこの地方の生活は、東日本大震災前には私たちの地域の中に当たり前にあった風景であり、当たり前にあった生活の一部です。数十年前までは、この地域では結婚式もお葬式も自宅で行われていました。秋には収穫祭がにぎやかに行われ、鎮守の神様に感謝を捧げました。

神様にお供えするお膳の配置。
お供えするものが全て再現されています。


水揚げしたカツオの燻製加工の道具や様子、漁業の道具やその様子なども伝えられています。

大漁はんてん

地域が津波によって消えてしまった今、ここにあった生活という名の「文化」も簡素化され、また消えてしまいました。
信仰を通じた地域の繋がりも薄れています。


「当たり前」だった生活の一部が「懐かしい」と感じられる今。
未来を守るために今の私たちができることを考え伝えていくことの必要性を、美術館の中に見つけました。
昭和833日の三陸大津波の時には、先人は沿岸部の被災地域にその時の津波の高さを示す石碑を残し「大地震来るぞ大津波」と伝えました。
私たちはその先人の警告に学んでいたのでしょうか?

これからの私たちが次世代に残せるものについて、山内学芸員は「客観的に考えられる視点を持ち自主性の育つ教育ではないかと思う」と話してくださいました。「的確な判断で自分の命を自分で守れることにつながる教育」のあり方。考えてもみない視点でした。

この地域に生きること、そしてこの地域を担う子どもたちのためにできること。それは自分たちが今回経験した失敗や不備を隠さずに伝えることなのかもしれないと考えながら、山内さんのお話を聞きました。

学芸員の山内さん

「復興・復旧」に必要なのは、地域文化の中にある知識や知恵を理解し伝え、地域の魅力に変えること。つまり、ハード面だけではなく、その地域の中にあった人々が長い間培ってきた生活を取り戻すことなのだと思いました。

私たちの町の中にあった文化が消えてしまっては本末転倒になるのだ、と痛感しました。

今回の取材を通じて、リアス・アーク美術館には、高い芸術文化に触れるための機会と創作活動の発表の場を圏域住民に提供する生涯教育施設としての役割だけではなく、このように地域文化の継承という役割もあることを知りました。


(取材日 平成2497日)