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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年9月28日金曜日

2012年9月28日金曜日22:30
皆さん、はじめまして。気仙沼市生まれ、石巻市育ちのけいこです。
今回からココロプレスの書き手として参加させていただきます。よろしくお願いいたします。


取材をした9月25日の宮城県は、全域で雨模様。最近は寒い日が続いています。
街中にはストールを巻いたり、秋らしいファッションの方が多く見られるようになりました。
気が付けば9月も最終週ですね。

この日は亘理町、山元町の2町にまたがって行われている一店逸品運動について、亘理山元商工会とその登録店に伺い、取材をして来ました。

この一店逸品運動は、震災以降商店街の売上が下がっているということから、亘理山元商工会が地元の商店独自の特色である「ひと」「もの」「こと」に分類し、お店それぞれの特色を発信することで商店街の活性化につなげていこうというもの。
お店から「ぜひ取り上げてほしい」という申請を受付けたのちに審査を行い、51店舗が選定されました。
飲食店をはじめ、美容室や洋服店、自動車整備工場など幅広いジャンルのお店が登録されています。




注目したいのは、アピールする要素をなぜ「ひと」、「こと」、「もの」に分類したのか、ということ。
亘理山元商工会の日野正勝事務局長と、羽賀晶子さんにお聞きしました。

「昔から亘理町や山元町には多くの資源があり、高い技術、技能を持った“人”がたくさんいます。
復興支援として町の活性化につなげるためにも、商品だけではなく、町独自で持っている光り輝くものをブランド化することが大事だと考えたんです」(日野事務局長)


「そのお店が目玉としている商品がある場合はアピールしやすいけれども、独自のサービスを行っているお店や、お店の方自身に特徴がある場合などはなかなかPRの仕方が難しかったんです。ジャンルを分けることで、さまざまな視点からPRをすることができると考えました」(羽賀さん)


登録するための審査には、採点表というようなものはありません。
 「日本一になっている商品もたくさんあり、採点するまででもなく“誰が見てもいい”と言えるものに着目しました。そういうものが亘理・山元にはたくさんありますから」
と日野事務局長。
“いいものはいい”という自信がこの運動を支えています。

被災地商店街の活性化を支える、日野事務局長、羽賀さんにもコメントをいただきました。


光り輝くわたり町を目指してガンバロウ!!
  
今後は、新しく特産品を作ろうという動きもあるとか。
町の活性化のために一店逸品運動で紹介されたものが、いつか世界に通用するブランドとなる日が近いかもしれません。
確かに考えてみると、亘理町の特産品として知られる「はらこめし」、「ほっきめし」、「イチゴ」などは世界に発信できる商品になりそうです。
次はどんな商品が「亘理ブランド」として発信されるのか、楽しみです。
  
東日本大震災をきっかけに、町それぞれが持っている素晴らしさにあらためて気付かされることがたびたびあります。
亘理町と山元町は、水産業も農業も盛んな土地。
そんな町から生まれた“人柄”や“気質”、“技術”にも着目したこの運動を通じて、新しい町の魅力が発見できるのではないでしょうか。



さて、ではどんなお店・人がこの運動に登録されているのか気になりませんか?
運動に参加している51店舗の中から、亘理の仮設商店街にある「菊一商店」と、山元町の「マルタの果汁工場 田所(林)商店」にお伺いしました。

まずは「菊一商店」。
亘理町の仮設商店街にある、手作りコロッケが評判のお店です。
コロッケ以外にも海産物のフライやお惣菜などたくさんの種類があり、選ぶのに迷ってしまいそうでした。

ただ今、はらこめしのキャンペーンも開催中。

お話を伺ったのは菊地なみ子さん。
震災前は、被災した亘理町内にある海辺の温泉「鳥の海」で揚げ物を販売していました。
揚げ物はいつも大好評で、すぐに売り切れになってしまうこともあり、日に何度も補充することが多かったとか。
でも、その「鳥の海」も被災、今は休業中です。

現在の仮設商店街でオープンしたのは今年の2月。
これまでも大型スーパーの出店などでお店を畳まなければいけなかった経験などもあり、これが4度目の復活。
寒い季節の温かい揚げたてのコロッケに、皆さん喜んだそうです。


「震災直後は、体調も崩してしまったこともあって、復帰は無理かなと思っていたんです。
でも、仮設住宅にいるばかりでも暗い気持ちになってしまうし、みんなで集まってわいわい頑張って何かをしたいという思いや、仮設住宅の台所で揚げ物をするには場所が狭いという声があって、またやってみようかと思ったの」
と、にこやかに話をしてくださいました。

取材中にもお客さんがたくさん訪れていました。


いただいたコロッケは甘味があり、素朴で優しい味。 昔から、おやつに食べる方も多いのだとか。
子どもからお年寄りまで愛されている、亘理のソウルフードと言ってもいいかもしれません。
店舗の復帰を待っていた方も多かったのではないでしょうか。

お話を伺っている際に、何度も
「私はみんなに助けられてここまできたからね」
とおっしゃっていた菊地さん。
ホワイトボードには周りの方を気遣う温かいメッセージを書いてくださいました。


病気がちだった私も皆さんに支えられてここまで元気に商売をやってこれました事を感謝致し、
これからもやっていきたいと思います。皆さんも早く復帰できることを願っております。


次は、山元町にある「マルタの果汁工場 田所(林)商店」。
「マルタのきぶどう」という商品名の、天然無添加100%のジュースを生産されています。
昔から栄養補給のために飲まれていたといいます。

山元町はぶどうの産地として多くの生産者の方がいらっしゃったそうです。
ワインの生産会社もよく視察に訪れていたとか。
しかし震災後は田所さんのお店のみが営業を続けています。

田所(林)商店のある場所は、海から500m離れた所にあり、津波の被害を受けたど真ん中とも言える場所。

周りを見渡すと、歯抜けになった松林、いまだ取り壊されることなく残ったままのひしゃげた建物、ダンプカーがひっきりなしに出入りするがれき置き場、草の生い茂った野原の景色が目に飛び込んできます。
そんな環境の中、津波に流されずに残ったぶどうの原液から再建を始めたお店です。
店主の田所林一さんに地震発生時の状況などをお聞きしました。

がれきでいっぱいだったという事務所の天井には津波の爪痕が。

事務所と工場の横にある大きな蔵。
震災当時この蔵の中にはビンや缶に詰められたぶどうジュースの原料が保管されていましたが、原料そのものには大きな被害がなかったそうです。
田所さん曰く、土壁は崩れたものの狭い間隔で立てられた柱はしっかりと残り、“ざる”のように水だけが流れていったために、中にあった原液には被害がなかったのだとか。

「機械は壊れてしまったけれど家族も無事だったし、原料も奇跡的に残った。
これは、ご先祖様が守ってくれた、もう一度やりなさいというメッセージだったのかな、と前向きにとらえて(今年の)7月から再開したんです」


一度は、ホワイトボードに「再生」と書こうとしていた田所さん。
「いや、違うな」
と一度書いた字を消して、「る」という意味で、「再甦」と書いてくださいました。

「一度死んだようなもんだからね。初心に戻って甦った気持ちでがんばらないと」

田所さんの熱い思いに触れて胸がいっぱいになりました。


田所さんの後ろに写るのが原料を守った蔵

現在工場がある場所は新築が禁止されている地域で、今後は新しい場所で工場が再開される予定。
長い間多くの人に愛されてきた味は、途絶えることなく今後も味わうことができそうです。

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震災を乗り越えて再開し、前向きに頑張る51店舗のお店。
それぞれ51通りの再開までのストーリーがあり、どこのお店も再開までに至るまでの思いや前向きな姿勢が感じられます。
被災地で頑張る商店のおいしいもの、優しい人柄、素晴らしい技術などにふれることができる一店逸品運動。
9月29日から10月8日まで、「オータムチャンスキャンペーン」が開催されます
登録されたお店で500円分購入するごとに温泉旅行などが当たる応募券を配布しています。
こののぼり、ステッカーがあるお店が登録店の目印です。








この機会にぜひ亘理町・山元町に足を運んで、皆さんそれぞれのお気に入りの商品、お店を見つけてみてはいかがでしょうか。


(取材日 平成24年9月25日)