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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

ヘッダー写真説明文

写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年9月17日月曜日

2012年9月17日月曜日12:08

new-Tです。

自費出版の震災記録集が話題になっています。
「3.11を忘れないで」~東日本大震災の痕跡~
多賀城市のアマチュア写真家、宮城武雄さん(70歳)がこの7月に発行しました。




写真だけでなく、被災者の声、地震・津波に関する伝承、支援メッセージなどなど、
至れり尽くせりの内容になっています。


初版1000部は40日間で完売。
取材当日に増刷分が届き、早速わたしも購入してきました。

非常に丁寧な編集です。
宮城さんが東日本大震災の記録を後世に残したいという思いが満載です。
ご自身で撮られた3000枚を越す写真の中から選ばれた120枚には、多賀城市と七ヶ浜町だけでなく仙台市、名取市、東松島市、南三陸町、山元町なども含まれています。

あの日のことがフィードバックされます。
津波で渦を巻く貞山堀、炎をあげる石油コンビナート、屋根に押し上げられた漁船や自動車、避難所の様子などなど。
あらためて未曾有の大惨事だったことがわかります。

宮城さんが写真を始めたのは約12年前のこと。
当時勤めていた会社に写真部を作ったのがきっかけでした。
出歩くときは必ずコンパクトカメラを持参するという宮城さんは震災当日もそのカメラを持っていましたが、撮影したのはほんの9~10枚だったとか。
とにかく我が身のこと、家族のこと、他の人々の避難のことを考えることしかできなかったそうです。

宮城さんのご自宅は多賀城市と七ヶ浜町の境に位置していて、すぐ近くに貞山堀があります。
津波で、経営するコインランドリー店は浸水、2階の住まいは無事でしたが、近所の小学校に避難。
地区の民生委員をやっている宮城さんは避難所のとりまとめに大車輪の状態になります。
食事のとりまとめ、毎食約500食を1カ月。

その間に町内の被害状況を調べ始めました。
空き家を狙う泥棒も出没していたため、パトロールの役割も兼ねていました。
そして、丹念に写真を撮り始めました。

「プロのカメラマンならばんばん撮るんだろうけど、被災した人たちを撮りたくなかったのね。地元の人たちだし、顔見知りもいるしね」
「だから、この記録集の中には被災した人の顔がはっきりわかるような写真はありません。写真を撮る時間も、人のいない朝の5時から6時くらいにしたんです」

宮城さんにはもう一つの顔がありました。
ボランティアで多賀城市の歴史ガイドをやっています。
多賀城市の歴史に詳しい宮城さんは、古地図を元に津波の痕跡状況を調べ始めます。
なんという洞察力でしょうか?

奥さんの運転する小さな車と徒歩で、至るところをめぐり、2カ月半かけて約200地点を観測してできたのが
「多賀城市と七ヶ浜町の浸水域と津波痕跡高 概況図」です。
車や船、ガスボンベなどの漂着物まで表示された詳しい図面、これも貞観地震時と対比できるよう記録集に掲載されています。

※貞観地震=平安時代前期貞観11年(869年)、三陸沖で起こった巨大地震

普通なら行政や学者がやらなければならないことを、一市民歴史愛好家の宮城さんはやってのけたのです。
快哉ですね。

宮城さんは自分の足で調査するうちに重要なことに気付きました。
潮の満潮時の高さから津波の高さを推量し、防潮堤や川の堤防の高さがどの位あれば安全なのか対策が取れるというものです。
「このことは誰も言ってないんですよ」

そして今、自分が住んでいるところ、職場、学校などの土地がどういう場所なのかを知ることが災害時の大きな助けになるとも。
ヒントは地名(特に過去の地名)に隠されているようです。
それを知った上で災害時の避難コースの確認や集合場所などを家族で確認しあっておくことが大事ということです。




民生委員と歴史愛好家とカメラマンというご自身の三つのパーソナリティを縦横無尽に活用して生まれた東日本大震災の記録集は、老若男女問わず、多くの人に見ていただきたい出版物です。

「3.11を忘れないで」~東日本大震災の痕跡~
A4判 85ページ フルカラー 一部1500円
問い合わせ、お求めは
宮城武雄さん 022-365-7671

(取材日 平成24年9月14日)