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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年8月23日木曜日

2012年8月23日木曜日11:22

new-Tです。

閖上港の近くに印象的な建築物があります。
津波被害をそのままに、屋上には「佐々直」の赤い看板。

8月14日付『ココロプレス』で紹介した「元気キャラバン閖上」で
佐々直さんの本店跡に飾られた元気のぼり

創業1916年(大正5年)、閖上の老舗笹かま屋さん・株式会社佐々直さんは元気に営業中です。

仙台市太白区にある中田バイパス直売店

「社内でも議論になったんですよ。取り壊したら? って意見もありました。市にやってもらえば経費もかからないし。でも結局あそこは自分のモノなんだから自分で壊すという結論を出しました」
三代目社長の佐々木直哉さん(66歳)が語ります。
「やっぱりあの看板が残りましたからね、すぐには壊せないですよ」

津波では従業員5名の方が犠牲になりました。
地震後の津波警報で従業員全員を帰宅させた佐々木社長ですが、犠牲になった方々は子どもの帰りを待ったお母さん、足の悪いお年寄りを避難させようとして時間がかかり逃げ遅れた女性などでした。
会社に残ったのは佐々木社長1人。

「生きた心地もしないとかじゃなくて、ただただ驚きの方が大きかったですね。閖上の街自体がすっかり呑み込まれて破壊されていく様子をこの目で見てしまったわけですから」

佐々木社長が本店の2階から携帯電話のカメラで撮影した津波
上にぽっかり見えるのが日和山
なんと、日和山の上に家が流れ着いて来ています

閖上地区にあった本店と笹かま工場2カ所、粕漬け工場1カ所は全て流出または全壊。
しかし、佐々木社長は製造再開を決めます。
仙台市太白区にある中田バイパス店に併設していた休止中の工場を活用することにしたのです。

ところが練り機や焼き炉の不足、製造ラインの組み直しや原料の仕入れなど、さまざまな問題が山積していました。
「佐々直」本来の味を出すための工夫を繰り返し、昨年4月製造が再開されました。

そして今年5月には名取市増田に工場が完成、操業を開始しました。



震災直後にはいち早く失業保険をもらえるようにするため、全従業員105名を一斉解雇しましたが、現在では元の従業員60名が戻り、新規に20名を雇用しています。

「歴史的な街を残したいですが、実際住むとなったらどうだろう、女の人が住むのを反対しているからね」
「閖上に戻る人が少しずつ増えていけば、じゃあ私らも戻るか、ってことになるんじゃないのかな。そうやって歴史は繰り返してきたし」
「でもこの震災のことを後世に伝える努力を怠っては駄目ですね」

閖上地区の街づくり協議会の委員も務める佐々木社長です。


大上段に振りかざすわけではなく、声高にならない、さりげないそのお人柄に触れていると、まるで佐々直さんが「何気なく」復活したように思ってしまいますが、その何気なさの裏には大変なご苦労があったようです。

取材を終わって、佐々直さんの笹かまを買ってきました。
佐々木社長の笑顔のようなほっとする味です。

佐々直
本店(中田バイパス店)
〒981-1103 仙台市太白区中田町字清水15-1
022-241-2324

直売店/エスパル店、セルバ店
販売店/仙台三越店、仙台駅2階売店、さくら野仙台店、仙台空港売店、ヨークベニマル(一部店舗)

(取材日 平成24年8月21日)