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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年7月13日金曜日

2012年7月13日金曜日14:16

new-Tです。

『ココロプレス』6月12日で紹介した京都の劇団「遊劇体」の仙台公演は7月2日(月)無事千秋楽でした。
6月30日(土)からの5ステージ、観客動員数150名。

わたしは7月1日(日)のマチネ(昼)公演を観させていただきました。

写真提供 せんだい演劇工房10−BOX
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遊劇体#52
「あやかし 〜三題」
深津篤史作 キタモトマサヤ演出

私とその飼い猫(?)が全三話を通じて登場する。
私と猫の心象風景の世界。

「一話 ある漁師の話」
震災の停電の夜。私の家に死んだはずの叔母と私と猫がいる。

「二話 リッケルト通りへ」
海辺の町。
私は神様と出会う。一人に一人ずつの神様がついているらしい。神様を一人と数えていいのかわからないが。
私はヤマダという男とその恋人と出会う。
だからヤマダの神様とヤマダの恋人の神様も登場する。
巨大なタンカーを幻視する私。このタンカーは今回の震災で打ち上げられた海辺の町の光景だろうか。

「三話 ぶらんこ」
1995年の阪神・淡路大震災と2011年の東日本大震災とがぶらんこに揺れるように往復する。
魔術的めまいの時間。
この往復は生者と死者との間、人間と神、人間と猫、現実と幻想の間の行ったり来たり。
そして私はこの震災の風景を物語にすることを思い、実際の舞台から客席を抜け劇場を出る。

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このように粗筋を読んだだけでは意味不明でしょう。そしてこれは粗筋とも言えません。
「あやかし」はいわゆる起承転結という構造をもたない、というか意図的にその構造を取っていません。
非常に抽象的でシンプルな構造なので、観客は想像力を駆使して今舞台上で何が起こっているのか、何が生まれようとしているのかを凝視し続けなければなりません。
思考の遊びを繰り広げるのです。

これは夢の時間と似ています。
父の靴、妻の編み物、日曜日の傘などが登場し、私と話をするのです。

演劇は古来から死者を呼び出し、舞台に降ろして語らせる、対話するということをやってきました。
演劇の特権は死者との対話とも言えます。
だから演劇はこの3000年、耐えることなく続けられてきました。

「あやかし」はまさしくその演劇の原初的テーマを忠実に再現したともいえるでしょう。
演劇3000年の歴史があの能舞台に凝縮されていました。

アフタートーク

キタモトマサヤさんに仙台公演を終えた感想を伺いました。
eメールでの回答です。

『帰ってきてから思ったこと、です。
 今回、初めて空の旅で仙台への往復をしたのですが、あまりの近さに驚きました。航空運賃の激安化のおかげです。
 心に留めておかなければと強く思ったことはふたつあります。

ひとつは、これで終わりでは決して無いのだ、ということ。
公演終了後というのはどっと疲れが出て、まるで、仙台で公演をするというひとつの目標が達成されたというような気持ちに陥りそうですが、そこをグッと堪えて、そうじゃないのだ、達成なんて有り得ない、私たちは大きな災害や原発の危険や、亡くなった人たちと共にこの世界に在るのだ、というそのことを想い、今回の1年3ヶ月ぶりの劇団としての公演終了後の今から、新たな道程が始まったのだ(遅かったけど)、と再確認すべきである、ということ。
だから、仙台での公演を持続してゆかなければと考えます。

もうひとつは、受け入れてくださった仙台の演劇関係者のみなさんへの感謝の気持ちを決して忘れないようにしよう、ということ。この、われわれに与えてくださった暖かさ、親和の情を、きっちりと大切にこころに持ち続けて、それをまた次の誰かにお返しできるようにしなければ、繋いでゆかなければ、という気持ち。

さらに課題というか、次回があるなら、もっともっとたくさんのお客さんに観ていただけるような工夫が、あるいは努力が必要だろうなという、大いなる反省点があります。

いずれにしても、これで完結ではない、また次に続いてゆくのだわれわれの表現は、ということを、こころ新たにする次第です。』

遊劇体の皆さま、お疲れさまでした。
そしてこの時期、仙台でこの芝居を上演していただいたことを感謝します。
またお会いしましょう。


劇団「遊劇体」
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Stage/9774/index.htm


(取材日 平成24年7月12日)