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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年6月12日火曜日

2012年6月12日火曜日13:38

new-Tです。

やっと仙台でも演劇公演やコンサート、美術展などが堰を切ったように公開されるようになってきました。
これも劇場環境が復旧してきたこと、そして人々が演劇や音楽などの芸術鑑賞を求めている証なのだと思います。

仙台は楽都であり、劇都です。
そんな劇都の代表事業に「仙台劇のまち戯曲賞」という全国公募の戯曲賞がありました。

その第1回大賞受賞者(2001年)であるキタモトマサヤさん(56歳)率いる劇団「遊劇体」が6年ぶりの仙台公演を行います。

先週、そのキタモトさんが上演劇場の下見とマスコミへの情宣のため来仙しました。

『あやかし ~三題』。
キタモトさんの盟友である劇作家、深津篤史さん(44歳)の書き下ろし戯曲は東日本大震災鎮魂奉納公演です。


昨年の3月11日、キタモトさんは大阪府南部の自宅でちょっとした地震の揺れを感じました。
その後テレビで東北の惨状を知ることとなります。
キタモトさんは被災地のさまざまをテレビでみるたび大泣きしたそうです。

2001年以降、なにがしか親近感を持って接してきた仙台の知人は一体どうなってしまったのか?
かくいうわたしもその知人の一人になるわけですが、いわんや名取市在住ですからね。
わたし自身、後日テレビで知ることになる名取市閖上に接近する津波映像にはショックを受けたものです。

「神という存在があるとしたら、その神が同じ時代に生きている者にわたしたちに何かしなさいと言っているように感じました。そして何かしなければならないと決意したんです」

この思いは「遊劇体」の劇団員も同じでした。

深津さんに新作を書いてもらおうと提案したり、仙台で公演をやろうと提案したのは劇団メンバーだったのです。
キタモトさんは早速、深津さんに戯曲を依頼しました。
深津さんとはもう20年以上の付き合い。
深津作品演出は5本目になります。

そして深津さんは阪神淡路大震災の時、実家が全壊し避難所暮らしをしました。
その時の体験を通じて震災に関する作品を作り続けていると、ご自身でも書いています。

キタモトさんと深津さんの思いはクロスしました。

「災害を嘆いたり、被災された方がたを勇気づけたり、原発を糾弾したり、原子力そのものを否定するという演劇も必要だと思います。が、私たちのアプローチは最も根源的というか、<生と死>というものを凝視することから、震災や震災後より顕在化してきた社会の歪み、政治の矛盾、科学の進歩による弊害、それらのことを考えてみたいと思うのです。さらにそこからニンゲンを、世界を、より深く見据えたい。そして、演劇というものの源流が、神に捧げる儀式としてあったものならば、私たちは私たちの演劇を神というなんだかよくわからないものに捧げようと思ったのです。率直に書きますが犠牲者の方がたの魂に祈りたいと。大切なひとたちを失った悲しみに寄り添いたいと。われわれ生き残ったニンゲンは死をもっと身近に感じるべきだ。そんなことを思ったわけです。」(『あやかし』公演企画書 「演出という立場で思うこと」より抜粋)

昨年10月に開館した能舞台型文化交流拠点施設「能ーBOX」が、仙台公演会場となります。
まさしく鎮魂奉納の場としては最適の空間での上演です。

仙台市に完成した本格的能舞台 能ーBOXです。
能舞台で気持ちよさそうに吠える?キタモトさん。

さて上演される『あやかし』はどんな作品なのでしょう?

「過去と現在が錯綜する深津ワールド、ファンタジーではなく怪談です。あやかしっていうのは妖怪の名前で津波の隠喩になっています」
現代版夢幻能と題された『あやかし』は第一話ある漁師の話 第二話リッケルト通りへ 第三話ぶらんこの短篇三話のオムニバス。

本格的能舞台での現代演劇の上演は非常に珍しく先験的な舞台になりそうです。

「あやかし」のイメージ写真

なお、7月1日(日)14:00の回終演後、わたしnew-Tとキタモトマサヤさんのアフタートークがあります。

遊劇体や、わたしのやっている小劇団は採算の採れないカツカツの劇団運営をしています。
しかし、それはわたしたちの活動の阻害にはなりません。
何故かと言えば、経済効果より精神性の問題だと思うからです。
儲けよりも大事なことがあるはず。
ずっと言われ続けているこの事をやっているのはマイナーなアーティストだけなのです。
赤字覚悟で遠く京都からやってきてくれる遊劇体の皆さんを、わたしたち仙台や東北の人間は大事にもてなさなくてはなりません。


「最高の芝居を持ってきます!!」

『あやかし ~三題』 仙台公演
6月30日(土)~7月2日(月)
能ーBOX(せんだい演劇工房10-BOX別館) 仙台市若林区卸町 
前売り 2800円(当日3000円)
遊劇体ホームページから予約できます。
お問い合せ詳細は   遊劇体制作直通電話   090-1907-6804
せんだい演劇工房10-BOX 022-782-7510

深津篤史さん
桃園会主宰・劇作家・演出家。’92年「桃園会」を旗揚げ。以降本公演全ての作・演出を手がける。
’98年「うちやまつり」で第42回岸田戯曲賞受賞ほか受賞歴多数。

キタモトマサヤさん
遊劇体主宰・演出家・劇作家。’83年遊劇体結成。京大西部講堂を拠点に、劇場公演と並行して野外劇を数多く上演。
第1回仙台劇のまち戯曲賞大賞受賞ほか受賞歴多数。劇団員個人も受賞歴多数。



(取材日 平成24年6月7日)