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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年6月14日木曜日

2012年6月14日木曜日15:34

ひとつの出会いをきっかけに、人生半ばにして華麗なる転身を遂げた画家がいます。
仙台市泉区在住の画家、前田優光さん。
1971年、元郵政省に入省、1993年に安野光雅さんの絵に影響され、45歳で画家の道へ転身しました。
プラハ城(チェコ)

「偶然安野さんの絵をテレビで見て、衝撃的な印象を受けました。画家への転身を決めたのは、東京千疋屋で安野さんの作品展があり、受付が安野さんと引き合わせてくれたことがきっかけです。前年に受賞した郵政省新人賞の絵のコピー写真をご本人に見せたら、写真の裏に『とても好きな絵です』って褒めてくれたんです。『絵に基本はない、絵が好きだったらやってみれば』と言われ、翌年辞表を出しました(笑)
え、僕できません・・・なんていったら、憧れの安野さんに言われたのに、無駄な人生を送ってしまうことになると直観的に思ったんですよね」


センテンドレ中央広場(ハンガリー)


前田さんは、震災直後から精力的に復興支援を県外共に展開してきました。著書である絵本「愉しくなくちゃ 絵ではない」を100冊以上メディアテークに寄付し、東京で画廊のオープンに合わせて、募金活動も行ってきました。
7月には、「テレジン収容所の幼い画家たち」の著者であり、アウシュビッツで生き残った子どもたちの絵を、全国展示活動している野村路子さんと共に、津波被害の大きかった石巻市立荻浜小学校を訪問。
18人の全校生徒の前で、 子どもたち が今描きたいと思う絵を、自由に描いてもらいました。

石巻市立荻浜小学校全校生徒  
(写真左端 前田優光さん 左から3番目 野村路子さん)

「はじめは、明るい絵や元気な絵を描かせようと思ったのですが、それは違うなって。津波のことを描いてもいい、悲しい絵を描いてもいい、なんだよ津波のやつ!って怒ってもいい。絵は心の声だから、子どもたちに今の気持ちを自由に表現してもらったんです」
その日描いた子どもたちの絵はディスクに収められ、日本国際宇宙フォーラムで、今年の7月に国際宇宙ステーションへ打ち上げられるといいます。
校長先生も子供たちとお絵描き

前田さんと野村先生の出会いのきっかけとなったのは、震災前に読んだ「テレジンの小さな画家たち」。
ナチス時代、フリードルという一人の女性画家が、テレジンに送られた子どもたちのために、その恐怖と不安を少しでも絵を描かせることで忘れさせたいと、ドイツ兵の監視の目を盗みながら子どもたちに絵を描かせました。

テレジンに送られた子どもたち15000人の中で、生き残れた子どもはたった100人。
しかし、終戦後、奇跡的にテレジン収容所の中から子どもたちが描いた4000枚が見つかりました。
「射殺されるのを覚悟で、絵を描かせることで夢を与えた先生がいた。人間が窮地に立った時、絵がどれほどの力を与えられるのかを知りたかった。震災時、一番嬉しかったのは、自分の家に電気がついた瞬間。絵というのはそれに似ている。絵は希望なんですよ」

唐桑


震災後、前田さんの描きたい絵に、変化はあったのでしょうか。
「これからは、東北や日本全体のことを描いていきたいですね。売れるとか売れないではなく、人の気持ちを和ませるサプリメント的な絵を描いていきたいと思っています。
震災後、大変な状況であるはずなのに、沿岸部からわざわざ来てくれたお客様がいました。
『こんな時だからこそ、前田さんの絵を見たかった』と言ってくださるお客様の声を聞くと、自分の今の表現は間違いではなかったんだ、アートは自己満足な表現をしていてはだめなんだと、改めて実感しています」



白石城

前田さんの絵には、幼少時代に見た夢の原風景が重なって見えることがあります。
ひたすら未来だけを信じていれば良かった当時の希望の明るさが、今の自分を照らすことがあるのです。

「子ども時代の成長の糧に必要なものは、お絵かきと砂遊びと水遊び。これは、人間になるための必要不可欠な学習なんです。絵は子どもにとって自分を打ち破る力。大人にとっての長寿の源なんですよ(笑)」



 (取材日 平成24年5月28日)




【MEMO】       
還暦を過ぎているなんて到底思えない
ワイルドな前田さん
前田優光(まえだ・ゆうこう)       
1949年山形県新庄市生まれ

画家・安野光雅氏の絵に多大な影響を受け、元郵政省を退職。平成12年から「絵っせすと(造語)」として主にヨーロッパを取材し、毎年百貨店などで「前田優光メルヘンの世界展(水彩画)」を開催。
趣味=執筆、カメラ、バイク(愛車=CB1100)。

http:// yukou.cocolog-nifty.com/



◆著書
「愉しくなくちゃ 絵ではない」
(河北新報出版センター)
「水彩で描く美しい日本 ふるさと東北」
(日貿出版)
◆山形新聞に「やまがた スケッチ旅」絵とエッセイ連載中。


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