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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年5月26日土曜日

2012年5月26日土曜日14:42
new-Tです。

震災から1年以上経ち、それが区切りというように様々なことが段落を迎えています。
文章で言う段落は意味の上での大きな切れ目ということです。
もちろん震災後の時間は現在ですから段落を付けられるわけではありませんが、人間というものは明日に向かって生きるために、なにごとかの区切りを付けたくなるようです。

未来から今この時点のことを見たとき、やはり震災後のひと区切りということになるんでしょう。
1年経っても何も変わらないこともあれば、大きく復旧に向かっている地域やシステムもあります。
しかし、遅々たる歩みを続けるしかないのが現状かも知れません。

わたしは昨年5月に宮城県と岩手県の被災地6カ所の子どもたちへ向けて、7月から11月はわたし達の劇団で県内10カ所の上演活動を行いました。
震災後、ほぼすぐの被災地への巡演はわたし自身が立ち直る企画でもありました。
子ども達は真剣に見てくれましたし、付き添いで一緒のお母さん達にも楽しんでいただけたようです。
ただ、仮設住宅のそばで上演したにもかかわらず避難している方々はほとんど足を運んでくれませんでした。
そんな時期でした。

トラックの荷台を舞台にして上演されたのは宮澤賢治の「セロ弾きのゴーシュ」上演場所は名取市館腰。



7月から開始した県内内陸部巡演は震災から4カ月。
まだまだ人心は落ち着かない時期でした。

10月から始めた石巻日和山公園、東松島図書館、山元町中央公民館、七ヶ浜国際村野外ステージ、あすと長町仮設住宅集会所と被災地と避難する方々へのまさしく出前芝居でした。
石巻のランドマークである高台の日和山公園から見えるのは津波に襲われた街の跡。
山元町中央公民館から遠く見える海沿いの町はほとんどが流されてしまいました。

TheatreGroup”OCT/PASS”「人や銀河や修羅や海胆は」石巻公演  



わざわざ足を運んでいただいたお客さんが、その上演場所で地元の方々と久々の出会いをしている風景が至る所で見られたのです。
これが劇場というものではないかと思いました。
劇場はあるものではなく、そこに出来上がるものなのです。
中心にいるのは人です。

人のいるところへ出かける演劇。
あすと長町仮設住宅集会所での上演も、そんな試みでした。

TheatreGroup”OCT/PASS”あすと長町仮設住宅集会所での上演 


やや落ち着きを見せ始めたこの時期、演劇は待たれているようにも思いました。
上演が始まりすぐに涙を流しながら見続けてくれた若いお母さん。
終演後のカーテンコールで「頑張ってよ」と、わたし達にエールを送ってくれた初老の女性。
ずっと上演地から離れようとしない方々。
大笑いしてくれたご老人。
「良かったよ」と握手をしてくれた女性。
劇場内をはしゃぎ回る子ども達。

演劇には力があると認識する貴重な経験をさせてもらった震災後激動の8カ月でした。
わたしに、今後東北のために芝居をやっていこうと決意させた8カ月でもありました。

人間は芸術を何故求めるのか?
それは心の問題です。
荒廃した心に慈雨の如く降り注ぐのが音楽、美術、演劇、映画、文学です。
演劇だけのことを言えば、演劇の歴史が3000年というだけで肯けていただけるのではないでしょうか?
天災、戦争、苦難の歴史を演劇は語り、記述してきたのです。

しかし、芸術は震災直後即効力を発揮するものではありません。
瓦礫の中で人は生きるだけで精一杯です。

今現在、やっと人々は芸術を求めるようになってきたと思えます。
それは復興の槌音と共に微かにではありますが、徐々に力強くなってきているようです。
芸術の灯りは被災したわたしたちの心の奥に確かに灯り、わたしたちに寄り添うために準備を完了しています。

「ココロプレス」でわたしは強く静かに歩み始めた人たちを今後も追いかけます。
そして舞台芸術の話題も満載でお送りしますよ。

わたしの自宅から東へ約7キロ、閖上です。
閖上はあっという間に瓦礫が取り除かれ更地になってしまいました。
1年前まで人の営みがあった場所とは思えないほどの広大な空間。
まるで記憶の強制終了のようです。
























この場所だけが震災の記憶をはっきりと留め残しています。
わたしはあなた達を忘れません。
あなた達の未来を夢想します。






(平成24年5月26日)