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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年3月9日金曜日

2012年3月9日金曜日17:00
こんにちは。やっと三寒四温のような塩梅になってきましたね。梅の花までもうちょっと・・・龍庵です。

古川の「醸室(かむろ)」という蔵の施設をご存知ですか?

江戸時代後期に建てられた橋平酒造店の酒蔵をもとに改修された商業施設。美しい蔵を利用したお店が集まっていたのですが、地震の影響でかなりの被害を受けてしまいました。瓦屋根や土壁など、重さがあるので・・・新建材のようにすぐに張り替えれば済むものではないので、修復に時間がかかるようです。現在は各店舗の半数ぐらいが営業。早く元の素晴らしい日本家屋に戻って、客足も戻って活気に満ちたエリアになるといいですね。
奥の二つの蔵は改修中。
白壁に亀裂が。
美しい蔵が、痛々しいことに。
この蔵の屋根は完全に抜け落ちてしまった。
こちらは営業中のイタリアンレストラン。

さて、この醸室に新しくオープンした「珈琲家豆(やまめ)」を取材させていただきました。そう、前回の「エブリーおおさき」鉄本由美さんの取材場所となったカフェです。オーナーの大津博さんは、実家の南三陸町で被災された方。どういった物語だったのか、さっそく3月11日のことからお聞きしました。

レンガつくりの渋い風情、「珈琲家豆(やまめ)」。

「当日、大津波警報6メートルと聞いて、ここはリアス式なので10メートルを超えるな、と思いました。今までにない地震の強さ、長さだったので、今までにないことが起きると。父に『津波が来るから逃げよう!』と言うと、『ここまで来るわけない 』と。『来ないなら来ないで済むけど、逃げないで来たら、そこで終わるから逃げよう!』と説得しても動かない。どうしようもなく、先に逃げた。隣りの奥さん、おばあちゃんと一緒に裏山へ。
数年前に亡くなった母の言葉を思い出した。“津波は最初に川を上ってくるんだ”。見ていたら、川の水面が岸まで上ってきた。下流では土埃が舞い上がっていた。父に無我夢中で叫び続けた。父の姿が見えて、Uターンして家の陰にまわり、見えなくなってしまった。その直後に津波が来た!(・・・あぁ、死んでしまった)と思った。下の隣りの家は流され、奥さんは『あああぁー!!』と1分以上叫んでいました。
とりあえず上の集落の家に身を寄せていると、暗闇の中から懐中電灯の光に照らされて『誰かいますか?』。地元の消防団の方が来てくれた。『よくここがわかりましたね』と言うと『 大津さんから教えてもらった』と。『あぁ、生きていたんだ!』、父は間一髪のところを軽トラックで逃げたということで」


オーナーの大津博さん。
ホントに不幸中の幸いでしたね。お二人ともご無事でなによりでした。

その後、大津さんはお父様と一緒に地元の避難所から山形の弟さんの家、お母様のご実家、そして仙台のみなし仮設住宅と転々とした後に、大崎市へ。釣り仲間が古川でコーヒー豆の焙煎と喫茶店をやっているご縁で、そこから豆を仕入れて喫茶店を始めることに。人生、一寸先はコーヒー豆ですね。

オープン当初はどんな感じだったのでしょうか?


「飲食店の営業許可を取ってオープンしたのが今年の2月上旬。ここは以前は串揚げ屋さんだったので、居抜きでイス・テーブルはそのまま。コーヒーカップがなかったので、ツイッターの知り合いに頼んだら、秋田や千葉、東京から眠っているカップを贈っていただきました。前の同僚からはデジタルフォトフレームを贈っていただいたり、急いで必要だった物以外は、ほとんどもらい物です」

多くの人たちに助けていただきながら、オープンに至ったわけですね。

お店でくつろぐお客様。

照明と合わせたタペストリー。








ストレートの豆を独自に配合して、「家豆」のオリジナルブレンドの味をつくり、ネーミングも決めているという。上質のコーヒー豆を、良心的な価格で提供しています。
大津さんは以前はエンジニアだったので、180度の転職。最初から大々的に宣伝をすると応対でパニックになる、とアドバイスを受けたので、少しずつリピーターが増えていくことを望んでいるという。ネットのオンラインショップでもさまざまな味を楽しんでいただけるように100gの小売りから。ブレンド6種、ストレート9種を販売。

高級なコーヒー豆を丁寧に手でドリップ。
こだわりのオリジナルブレンドが並ぶ。

清流にはイワナやヤマメが棲んでいるが、「家豆(やまめ)」では豊かな自然と、郷土と、薫り高いコーヒーをこよなく愛する人々が集い、ゆったりとした時間を楽しんでいる。真っ黒だった濁流も、やがては清流になるように、時が癒してくれることもあるでしょうし。そんなスペースの新しいお店に、今度の休日でも出かけてみませんか。


龍庵拝
989-6153 宮城県大崎市古川七日町3-10 醸室

 宮城県大崎市古川七日町3-10        
TEL       0229-21-1020   FAX 0229-25-7331

(平成24年3月9日)