header

宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

ヘッダー写真説明文

写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年3月4日日曜日

2012年3月4日日曜日3:00
こんにちは。龍庵です。

先日、「カフェ・デ・モンク」で取材させていただいた築館の通大寺でイベントが開催されるというので、またまたお伺いしました。「東日本大震災 追悼と復興への集い」〜灯火に祈りをこめて〜。震災で亡くなられた方々のための追悼法要と復興への祈りをこめたコンサート。栗原市と大崎市の曹洞宗三十寺が協同開催ということですから、大がかりですね。

受付に行くと、沢山のお坊さんたち。ちょうど金田諦應(たいおう)住職とお会いして、ごあいさつ。やはり法衣を着るとミュージシャンではなく、見るからに立派な和尚さんですね。

受付でいただいた袋を見ると、詩画集のような小冊子「大切な人をなくしたあなたへ」、防災ハンドブック、ロウソク、「一香一会」のお香とお香立てのセットなどなど、入場無料の上にプレゼントまでいただきました。案内文にはこう書かれています。

平成23311日、東日本を襲った大震災とその後の大津波、そして原発の事故は多くの命と財産、そして未来への望みを奪ってしまいました。あれから1年が経ちます。震災地ではいまだ困難な状況が続いております。本日の法要では三つの事に祈りを込めたいと存じます。
  一つ 亡くなった方の命について
  一つ 亡くなった方の想いについて
  一つ 私たちの暮らしの有り様について
亡くなった方々の「命と想い」を受け継ぐ事が復興への大切な道筋であると思います。また、私たちの豊かな暮らしは遙か昔、先祖が小さな炎を発見したことから始まりました。そして今、私たちは自らの手で制御できない原子の炎に悩まされております。小さな灯火を通して私たちの暮らしの有り様に想いを巡らして頂きたいと思います。
小さな蝋燭を差し上げます。311日の夜には部屋の照明を消し、蝋燭に火を灯し、ご家族でこの三つの事を祈ってほしいと存じます。

本堂にはどんどん来場者が増えてきて、ほぼ満員御礼。用意されたロウソクに一人ひとりが火をつけていきました。この種火は3月1日に諦應和尚をはじめとするお坊さんと牧師さんの10人で南三陸町にまた追悼行脚してきた時に灯し続けたもの。途中、おばあちゃんたちが道端に並び合掌して深々と頭を下げていたとのこと。後で聞いた話しでは、娘さんやお孫さんを津波で亡くされたそうです。そして、海からは風に乗って「磯の香り」。南三陸の海は確実に豊かな恵みの準備をしているように感じられたようです。

ロウソクに、祈りをこめて。
諦應和尚が司会進行役で、まずは代表の和尚さんが開会のごあいさつをされました。そして、14時46分に全員で黙祷。サイレンスの瞑想の中で、みなさんがお祈りを捧げました。亡くなられた方々の魂が迷うことなく、一人もこぼれることなく光の故郷へと還られますように・・・

やなせななさんは、奈良の浄土真宗のお寺のご住職。現役の尼僧さんで髪を伸ばしている方をはじめて見ました。それもアリなんですね。それにしても、曹洞宗が主催で浄土真宗のご住職が登場、というのもいいですね。宗派なんかにとらわれている時代ではないもの。この企画を、道元禅師も親鸞上人も喜んだことと思います。

いよいよ、コンサートが始まりました。美しく澄んだ歌声が本堂に響き渡った。小柄な体から発せられる透明な声とその歌の世界にどんどん引き込まれていきました。一曲目が終わり、話しはじめると、なんと言いましょうか、やっぱり現役のご住職なんだな、という感じが伝わってくるんですよね。美しい繊細な風貌なので、線が細いのかなと思ったら、さにあらず。声には芯が通った、明るい強さが宿っているようで。プロのミュージシャンでありながら、それだけではない、独特のユニークな語り。ソフトな法話を聴いているような感じです。お若いのに。30歳で子宮ガンを克服した経験からの深みでしょうか。

 

洗い清められるような、やなせななさんの歌声。













  
やなせななさんは神戸の大震災のときにはまだ学生で、怖くてテレビを消して、その情報には触れないで約10 年の月日が流れた。ある日、NHKで神戸の震災のドキュメンタリーを見た。もっとも被害が大きかった長田町でパン屋さんを営んでいたご夫婦。ダンナさんが つぶれた店舗の下敷きになって出られない。奥さんは助けようにもどうしようもない。「俺はいいから、子供たちのためにもお前は生き延びろ」。やがて火の手 がまわり、ダンナさんは亡くなった・・・ななさんはこの事実を知り、涙が止まらなかったという。そして生まれた曲が「風花」。



東日本の震災前から宮城や岩手とのご縁が生まれて、何度もコンサートを開いてきたななさん。3・11のときには、足が震え、本堂に籠もって手を合わせて祈り続けたという。

山形の和尚さんが作詞をした「まけないタオル」は、左右の長さが短いために、首にも頭にも巻けない、というダジャレから生まれた東日本大震災復興支援歌。おおらかでユーモラスな元気になる響き・・・


どの曲にも現役の尼僧という視点から、命について、死について、幸せについての静かなメッセージが込められています。途中で唱歌メドレーもあり、参加者全員で合唱。あらためて日本の唱歌には素晴らしいものが多いと感じ、小学校の頃を思い出しました。

新曲の「春の雪」は南三陸町の悲話をもとにしてつくられた曲。深く琴線に触れました・・・まだYouTubeにアップされていないのでご紹介できないのが残念です。やなせななさん、素晴らしい歌の数々をありがとうございました。


 
コンサート終了後、思わず前に出てお2人のご縁のエピソードを披露する諦應和尚。こういうフランクでオープンなところが魅力なんですよね、ガンジー金田さんの(諦應和尚の愛称)。


それから、尾角光美さんという方がご紹介されました。お母様を自殺で亡くされて、喪失感の苦しみを経て、「Live on」という団体を立ち上げ、大切な人を亡くした方のサポート活動をしているということです。配られた小冊子「大切な人をなくしたあなたへ」も尾角さんが出版。その最後のページには,こんな詩が載っています。

悲しみも 怒りも 不安も そして安心も
すべて 感じるままに 抱きしめるように 大切にしてみる
わるい感情 いい感情 なんてない
感じたままの 感情が ただある
ままに感情を感じ 言葉にしてみる 動きにしてみる 音にしてみる 
カタチにしてみる それぞれに 物語にしてみる 
喪失から 生まれてくるもの 
亡くなった人との つながりを 紡ぎなおす物語
物語を紡ぎはじめると なにかが 見えてくるかもしれない


休憩を挟んで、第二部の「萬燈会」という追悼法要が行われました。電気が消され、ロウソクの灯だけに。厳粛な雰囲気の中、20人以上の和尚さんたちが登場し、般若心経を唱えはじめました。さらに、あまり聴き慣れない読経。重低音の太鼓と、金属の鐘を鳴らし、ゆったりとした歌のようなお経が何度も繰り返されました。その間に和尚さんたちは法華経を木の札に写経。ゆったりとたゆたう響きに身を任せ、どれぐらいの時間が経ったのだろう・・・和尚さんたちは立ち上がり、「三界萬霊」と書かれた灯籠のまわりをぐるぐると回り始めました。最後に写経された札をその灯籠へ入れて、法要は終了しました。

おごそかな光の中での「萬燈会」。

読経が音楽的に響き渡る。

 解散の後に、写経のお炊き上げ。密教系では「護摩供養」とも言いますね。          

夕暮れの中、フィナーレへ。
祈りは炎へと変わり、天へ。
見上げると、上弦のおぼろ月夜。眺めつつ、眺められつつ、微笑んでいる月光かな・・・
心に沁み入る追悼式をありがとうございました。
 
  合掌
龍庵拝

曹洞宗 通大寺
〒987-2252 宮城県栗原市築館薬師3-6-8
TEL  0228-22-2656   FAX  0226-22-6855

(平成2434日)