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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年2月15日水曜日

2012年2月15日水曜日10:31
new-Tです。

大崎市集中取材の3本目は、吉野作造記念館副館長の大川真さん(37歳)です。

まず吉野作造の紹介が必要ですね。

大正デモクラシーのリーダー的存在だった吉野は1878年(明治11年)、古川で生まれました。
地元の偉人です。
関東大震災の混乱した状況の中で、朝鮮人虐殺の非を厳しく糾弾し、被災者の支援にも尽力しました。
その吉野作造の偉業と全体像をとらえるには、この記念館は絶好の施設です。







大川さんは震災後の2011年6月に着任しました。

群馬県出身の大川さんは東北大学文学部に入学し、その後ずっと学者として研究の第一線で活動してきました。

しかし、今回の震災を受けて大川さんの人生は大きな転換を迎えたのでした。

生き方に転換をもたらしたいくつかのエピソードがあります。

避難所で水がもらえず、1日コップ一杯の水を奥さんと2歳の長男、0歳の長女とで分け合って過ごした3日目の夜、奥さんの母乳が出なくなり始めました。もっと水をほしがる長男の口から、泣きながらコップを取り上げたこと。
マンションから逃げる途中、同じ棟に住む男子高校生が大川さん一家の食べ物を心配してくれたこと。
仙台港の石油コンビナートが爆発して燃えさかる真っ赤な夜の中で、大川さんは自分の存在の根幹を揺さぶられたのです。


大川さんは自らが持っている「知」を、大学という限られた場ではなく、宮城、東北に還元していく道を選択し、吉野作造記念館に着任しました。
学者がいわば野に下るというのはあまり前例がないらしく、研究の世界から忘れられてしまうことを大学の先生たちは心配したそうですが、大学と民間の距離を縮めたいという大川さんの思いが勝ったのです。

「第一、吉野作造が大学人から民間に入った人ですから」と大川さん。
歴史が転回したんですね。

着任して1週間で吉野記念館が震災復興のために何ができるかを考え、8月から11月まで「吉野作造と震災・復興」という企画展を開催しました。
今から89年前に起きた関東大震災とそこからの復興にあらためて光りを当てることによって、今を生きるわたしたちに元気とヒントを与えることができれば、というのが開催趣旨です。





わたしもこの企画展に行ったのですが、吉野はじめ、後藤新平、布施辰治、鈴木文治など東北人が復興の大きな力になっていることを知りました。

東北人偉い!!

東北地方は人材を輩出したばかりではなく、昔から首都圏、関東、あるいは全国への食料供給基地でもありました。
これは日本政府の方針でもあったわけですが、そんな尽力のダークサイドが今回の福島第二原発事故なわけです。

吉野記念館での企画展開催や、建築・文化の再生を考察するシンポジウム、沿岸部の高校での講演など、大川さんは精力的に活動を展開しています。

そんな大川さんの新しい企画、“「宝」=「人」(たからびと)プロジェクト”が始動されました。

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「宝」=「人」プロジェクトとは?

大崎市の未来を担う人材の育成事業に取り組みます。
地域間・世代間交流を促進し、人的ネットワークの形成を実現します。

そのためにどうするのか?
未来を担う人間力の基礎養成のために、「大崎未来塾」を開講、以下3つの機軸によって基礎力・総合力を養成します。
A オピニオン部門
青少年による公論の場を創る。
B アーティスト部門
自己表現力を養うワークショップ。
C エコロジスト部門
大学・NPOなど市民団体・行政が連携し、若者、女性たちに企画段階から参加してもらい、食・農・環を一体化したまちづくりを提案していく。
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なんだか選挙のマニフェストみたいな書き方になってしまいましたが、これが概要です。


大川さんはこのプロジェクトで第二の吉野作造を育てたいと夢を語ります。

「宮城県北部は昔から国際的視野を持った人が多いんです。だから吉野のようなコスモポリタン的発想の人が出てきたのかもしれません」

「私もこの記念館に着任した当時はよそ者扱いされました。外部から来る人間を容易に受け容れない風土が東北にはあります」

「定住者と移住者との距離を詰めるためには、地域リーダーが必要です。そういう人がいないせいで被災地とそうでない地域とのネットワークは希薄です」


しかし、こんな高校1年生もいたそうです。

「速やかな復興実現のためには、民意をしっかりと理解して行動することのできる指導者が必要不可欠だといえるのではないでしょうか」
講演を行った志津川高等学校の生徒です。
「こういう若者がいることは期待が持てますね」


東北に独立した文化を創る。それが大川さんの大きな夢です。
そしてそれは現実化してきているともいえるのではないでしょうか。




実は「宝」=「人」プロジェクトにはnew-Tも企画参入します。

Bのアーティスト部門で6月からコミュニケーション・ワークショップを担当することになっています。
大崎地区の若い人たちと一緒に東北を再認識するようなワークショップを展開したいと考えています。




吉野作造記念館
大崎市古川福沼1-2-3
TEL 0229-23-7100
URL http://www.yoshinosakuzou.jp/

(平成24年2月15日)