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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年2月9日木曜日

2012年2月9日木曜日15:00
こんにちは、石巻よりアオキです。
本日は石巻市吉野町の『湊水産株式会社』さんをご紹介したいと思います。
“愛情たらこのみなと”で、石巻市の皆さんにとってはお馴染みの、美味しいたらこ屋さんです。


“愛情たらこのみなと”

笑顔で迎えてくださったのは、店長の木村朱見さん。
明るく、笑顔のとっても素敵な方でした。


“苦しいときこそ笑っていたい!”と、木村朱見さん。

「海から1キロ以上も離れている所でしたし、まさか津波が来るなんて思いもしませんでした」
と、震災当時を振り返ります。
震災当時、地震から間もなく、お店周辺の地域には、約2メートルもの津波が轟音と共に押し寄せ、あっという間に海水に浸かりました。

通常の建物の3階の高さにある、冷凍冷蔵庫の2階に従業員の皆さんと着のみ着のまま駆け上がりました。また近くの牧山を目指して逃げてきたものの、大渋滞のうちに津波に巻き込まれた見ず知らずの方数名も誘導し、全員で38名の方が避難しました。
それから数日、水が引いた後も瓦礫で寸断され、行き場を失った方々を受け入れ、急遽『避難所』として最大80名の方々が避難されていました。

30年間積み上げてきたお客様情報を管理していたパソコン16台、電話機14台すべてが水没し、通信手段は絶たれてしまいました。
営業車4台に、お店のガラスやショーケース、冷凍オープンケース、工場の生産ラインすべてが海水に浸かりました。
なかなか水が引かず、瓦礫と横倒しの車で道は寸断され、身動きも取れない状況でした。
電気・水道・電話などすべてのライフラインが絶たれ、自分の家族の安否、石巻で起きていること、何の情報を得ることもできず、孤立した不安な日々が続いたのでした。

「とにかく、大事な従業員と、生きて逃げきって来てくださった方々を、無事にご家族の元に帰すまでは、何とか生き繋げなければと思いました」
と、木村さん。避難された方々の中に、妊婦さんもいらっしゃいました。皆、一緒に生き抜くのだと、気持ちを奮い立たせました。

避難所となった『湊水産株式会社』。余震が続く中、備蓄してあった燃料と水、あるだけすべての食料をかき集めて食事を作り、みんなで少しづつ分け合いました。
そして男性の方々は山の湧水を求め水汲みに、牧山の山道を率先して通いました。
奇跡的に津波から逃れた真空パックの焼きたらこをリュックに詰め込み、社長自ら近隣避難所に配り歩きました。その際、湊水産株式会社に避難している方々の名簿をカレンダーの裏に書いて立ち寄る避難所に貼り、避難者の安否情報の発信にも努めたそうです。
避難所となっていることを知った楽天市場の仲間が、必要な物資を揃え、車をチャーターし駆けつけてくれたこともありました。
こうして、震災当日から2011年5月5日までの約2カ月間、避難所として宿泊場所を提供しました。

4月に入る頃からは、営業再開を目指し本格的な復旧作業が始まりました。毎日、来る日も来る日も社員一丸となって瓦礫撤去と清掃作業が行われ、全国各地から来たボランティアの方々も力を貸してくださいました。
そして2011年5月6日、新しい原材料でたらこの漬け込み開始、5月16日からは商品の出荷が始まりました。たくさんの方々の応援の下『湊水産株式会社』本来の仕事を少しずつ始めることができました。しばらくの間は事務所内で直接商品を販売しておりましたが、7月末には直売店も復活しました。

「本当にたくさんの方々からの励ましのメールやお手紙が届きました。 営業再開したとたん、今度はお礼状が届くようになり、泣きながら電話をくれる方もいらっしゃいました。 待ってくれていた方々のたくさんのメッセージに感動し、あきらめなくて本当に良かったと思えました」
励ましてくれた仲間たちや、お客様との関わりの深さに、心からありがたいと感謝の気持ちでいっぱいでした。



きれいな直売店になりました!!

自慢のたらこが並びます。

全国各地から、励ましのメッセージが届きました。
震災当時のことを木村さんはこう話してくださいました。
「気付くと、皆下を向いていたのです。 でもその時、社長が言ったんです。 “ 電気と水道が来たら、また始めるぞ!”と。 社長はあきらめていない、本気だと思いました。 そして“ついていくしかない!”と。 だから『 苦しいときこそ笑っていよう 』と決めました。 正直、あの状況の中、何度も心が折れそうになることばかりでしたが、従業員が一丸となって取り組んでいるにあきらめるわけにはいかないと、心を強く持ち続けるのに必死でした…」

木村さん自身も、これからどうなってしまうのかわからない不安だらけの状況下でした。
しかし、決して不安な表情を表に出さず、諦めない木村さんの姿勢は、きちんと皆さんに届いていたのです。
そんな木村さんの姿を見て、頼もしい協力者の方々が自然と集まり、力を貸してくださったのです。
こうして、石巻の水産加工会社としては異例の、早期に営業再開をすることができたのです。


営業再開に皆さんの素敵な笑顔がこぼれます。

「まだまだ石巻はこれからです。 完全復興を目指し、長期的な支援が必要です。 私たちは、私たちを育ててくれた、この石巻で生きていくためにも、震災前よりも美味しいたらこを作って頑張って行きたいと思っております。 リピートしていただけるような美味しいたらこを目指します」
全国各地からいただいた、たくさんの支援への感謝の気持ちを届けに、県外での催事や物産展にも積極的に参加されています。

日々前進中の石巻ですが、復興とはまだまだ言える状況ではないのも事実です。
全国からの温かい支援や応援に支えていただいている状況に、感謝の気持ち以外の何物でもありません。
だからこそ、甘んじることなく自分たちの力で立ち上がる努力、姿勢が大切なのだとお話してくださいました。

木村さんのお話を聞いていたら、『苦しいときこそ笑顔』の意味が、少しだけ解ったような気がしました。
いつかこんな話を聞いたことがあります。   
“マイナスな発言はマイナスなことを呼んでしまう、プラスの発言にはプラスなことが巡ってくる”
やさしい気持ちはやさしい人の周りに、明るい笑顔は明るい人の周りに、自然と集まってくるものなのだということなのかもしれません。

“応援ありがとうございます”


湊水産株式会社
http://www.rakuten.ne.jp/gold/minato-s/

(平成24年2月9日)