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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年2月17日金曜日

2012年2月17日金曜日23:26
「東日本大震災は、将来必ず歴史的大事件の1つと数えられることになるでしょう。それがこの特別展と重なったことに、何か因縁のようなものを感じます」
仙台文学館の学芸室長、赤間亜生さんが感慨深げに語り始めました。


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ココロデスクです。

今、仙台文学館では「特別展 文学と格差社会 ~樋口一葉から中上健次まで」が開催されています。

この展覧会は、明治から現代までの作家約40人を取り上げ、その業績を「格差社会」という視点から見つめ直そうという企画です。

会場には作家たちの肉筆原稿や愛用の文具、初版本の実物が展示され、作家の生涯や文学的位置付けなどが分かりやすく解説されています。


展示は4つのテーマで構成されています。

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「文学作品なら、本を買ったり図書館から借りたりして読めばよい」
今から10年以上も前に初めて仙台文学館を訪れるまでは、ココロデスクはそう思っていました。
赤茶けた原稿用紙や古本の表紙、使い古しの万年筆をショーケース越しに眺めて、何の意味があるのだろうかと。

でも実際に、とある企画展に足を運んで展示を見て回ったら、気が付きました。
ああ、これは「考える時間」なんだ。作品ではなく作家と向き合う時間、作家を鏡として自分と向き合う時間なんだ。それを体験する場所なんだ、と。

この「文学と格差社会」でも、ココロデスクはいろいろなことを考えさせられました。


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実はこの特別展、本来なら昨年の春に開催される予定でした。

勤めている会社がこのポスターの制作の仕事をいただき、ココロデスクが担当しました。同僚のデザイナーと一緒に20世紀初頭のデザインのイメージを研究して、 「なかなかそれっぽい出来栄えに仕上がったね」と自負していました。

そして、いよいよ明日が校了という日。
それが3月11日でした。

仙台文学館も大きなダメージを被り、展覧会はもちろん延期。
「このままこのポスターもお蔵入りするのかな」と諦めていたのですが、秋も深まってから「開催が決まりました」という、嬉しい知らせが。
それから大急ぎで日付などを修正して印刷し、このたびようやく日の目を見たのです。




ココロデスクにとって忘れられないポスターになるでしょう。




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「樋口一葉、石川啄木、幸徳秋水。日本の社会を鋭く見つめた文学者たちの資料が一堂に会する機会は、仙台では滅多にないこと。もちろん文学者たちの肉体はすでにこの世にはありませんが、原稿や文具などの遺品が“生き証人”として語ってくれます」
と、赤間さんはおっしゃいます。

「樋口一葉の草稿は、連綿と続く正当な崩し字でありながら、原稿用紙のマス目にぴったりと収まっています。清書原稿にはまた違った味わいがあり、それを見比べるのも面白いですよ」
「啄木は、筆文字は豪放磊落なのに、ペン字はとても繊細」

一葉や啄木の肉声を聞くことはできないが、肉筆や、文具、机を目の当たりにすることで、その生涯を窺い知ることができる。その上あらためて作品を読めば、また新しい発見があるはず、とお考えなのです。


「ことばの歴史のなかに 未来を生きる“よすが ”  があります。」
歌人で仙台文学館館長の小池光さんと、学芸室長の赤間亜生さん。


ココロデスクはこの展示を観て、「格差」をもたらすきっかけや原因は、時代時代の状況によってさまざまであると感じました。
明治維新によって武家が没落したような、身分社会の変化。
近代化と資本主義の進行による経済的な「搾取」。
そして今回は、震災。



「階級格差に限らず、社会は常に何らかの不条理、不合理を抱えています。それを文学は見つめ、向き合って、描いてきました。震災では、社会が潜在的に抱えていた問題があらためて浮き彫りになりました。それらは今回の展示に取り上げた作家たちが、考えたり見つめてきたことと重なっているのです」

「震災のために開催を延期しなければならなかったことは、大きなマイナスでした。でも、そのおかげで新たな気付きもありました。分かっていたことでも、深く問い直すきっかけになりました。これはとても大切な経験です。何かを問い直すことが、文学に触れることの意義の一つなのですから」

仙台文学館の井上ひさし初代館長は 、こんな風におっしゃっていました。
“われわれは、死者によって生かされている。我々は死者の歴史を記憶し、後世に伝えていく義務がある” と。
過去と向き合うこと、死者と向き合うことによって、苦い過去も乗り越えて未来に進んでいくことができる。その機会を提供することが私たち文学館の 役割の一つなのだ と、今回の展示を手掛けて再認識しました」


仙台文学館名物!? 杜の小径の特別展メニュー。
今回は「蟹工船」にちなんで「小林多喜二・希望の光 膳」。

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津波が来たところと、来なかったところ。
津波が来たところに偶然いた人、いなかった人。
地球の大きさで考えれば、
あるいは千年単位の時間で眺めれば、
ほんのわずかの違いに過ぎなかった差が、大きな境遇の差をもたらしています。

「格差」を巡って1年前に考えていたこととは質の異なる思いと共に、文学館を後にしました。


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「特別展 文学と格差社会 ~樋口一葉から中上健次まで」
平成24年1月21日(土)~平成24年3月20日(火・祝)
午前9時~午後5時(入場は午後4時30分まで)
休館日 月曜日

観覧料  一般700円/高校生400円/小・中学生200円

仙台文学館
〒981-0902 仙台市青葉区北根2-7-1
TEL. 022-271-3020
FAX 022-271-3044
http://www.sendai-lit.jp

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●仙台文学館・震災関連の催し


「短歌の集い  震災詠を考える ~被災圏からの発信」
平成24年4月1日(日) 午後1時~午後3時半
・要申し込み (定員100名、参加費無料)
・問い合わせ 仙台文学館





(平成24年2月17日)