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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年2月2日木曜日

2012年2月2日木曜日22:32
福島の警戒区域に置き去りにされている犬猫たちの姿を、一体私はテレビで何度見たことだろう。        一時帰宅で、白い防護服に身を包んだ飼い主が自宅へ戻り、痩せこけた身体で尻尾を降る飼い犬を見て、「逢いたかったよ」と涙ながらに餌を与えている。

「こんなに痩せこけて・・・ツライだろ。ごめんな、一緒に連れて帰れなくて、本当にごめんな」

なぜだ。なぜ、大切な家族の一員であるはずのペットが、どうしてこんな場所に置き去りにされなければいけないのだ。置き去りにしなくてはいけない飼い主の気持ち。それがどれほどのものであるか、手にとるように判るその心痛な想いに、胸が張り裂けそうになる。
ペットと共に暮らしていたことがある人間に共通している気持ち。
それは、ペットは家族に特別な生活の彩をもたらす、かけがえのない存在、命であるということ。


震災から一ケ月が過ぎようとした頃、気仙沼沖合に漂流する瓦礫の屋根の上にいた犬が、3週間ぶりに海上保安庁の手で救助されたというニュースが流れました。その時、仙台市青葉区に被災した犬猫たちを保護しているという施設が紹介され、 ヨカッタ・・・仙台にはこういう所があるのだと、あの混乱の中で思わず小さくガッツポーズをしてしまった私。
キャバリア犬を14年飼っていたmomoは、震災後被災した犬猫たちの救済活動にあたっていたその場所を訪ねました。



                    海上保安庁による救助犬のニュースと共に紹介されたドックウッド
                                     (2011年4月4日NHK放送)




陸前落合駅から車で5分ほどの山間にある、ドックラン、動物病院、ペットホテル、ドックカフェを併設した「ドックウッド」。Mシュナ ・Mワイアーダックス ・Tプードルなどの 専門ブリーダーである、オーナーの我妻真紀さんは、犬が大好きな人たちが、ゆっくりと犬と遊べて話ができる場所を作りたいと、10年前にこの地にカフェスタイルのお店をオープンしました。

3年前には、犬たちが思いきり遊ぶことができる芝に覆われたドックフィールドも増設。
震災当日は、お店は大きな被害を免れ、スタッフや犬たちも全員無事でした。
「ここには、被災した犬猫たちを収容できる敷地がある。私たちで出来ることをしよう」
ドックウッドは、岩手から福島一帯の避難所を回り、犬猫を連れている人に声をかけ、被災した犬猫たちの救済、保護活動へと乗り出しました。

「被災し、苦境に立たされている飼い主さんたちの心労と不安を、少しでも軽減したい」
苦渋の決断を強いられる飼い主の悲しみを、お預かりと保護という形で受け止め、ネットや紙媒体で、被災した犬猫たちの無償お預かり、ペット用品の物資支援を呼びかけました。


              復興支援団体のCMを自主的に作って流して応援する動画サイト「チャリTV」
                                                (2011年6月制作)


2012年2月、ドックウッドがお預り・保護している犬猫総数は440頭(犬310頭、猫130頭)。
その内帰宅できたのは175頭(犬145頭、猫30頭)。まだ全体の約4割しか、家族の元へ戻れていません。
現在も、全国からのボランティアが、家族の迎えを待ち続けるその命たちを支えています。

「お預かりする時は、家に入った段階で、全頭に混合ワクチン、狂犬病、ノミ・マダニの予防薬と、夏の時期であればフィラリアの予防薬を飲ませます。これは、すべて支援金で対応させていただいていて、被災の影響で現在やむを得ず飼う事がきすにいる飼い主さんたちからは、一切いただいていません」

店内で告知している保護犬の情報(2012年1月撮影)

現在ボランティアの数は1200名以上。アメリカ、インド、パリからも3か月という長期でボランティアがはいります。お預かりしている犬の飼い主の中には、ボランティアとして活動している方もいて、スタッフと共に、毎日の散歩、体調管理、十分な食事等のケアと協力にあたります。

「そのコの本来の元の生活に戻してあげたいというのが一番の願いです。ここには食べるものがあるし、人にこんなにかまってもらえる方が幸せなのかもしれないけれど、大好きな飼い主さんの側にいるのが、彼等の一番の幸せなのです」

それを聞いた時、私は病気で衰弱しきっていたキャバリア犬を入院させようと訪れた、郊外にある動物病院の院長先生の言葉を思い出しました。

「ペットというものは、どんな環境であるにしろ、自分の飼い主さんの側にいることが一番の幸せなのです。このまま、ここに入院させておくよりも、ご家族の側にいることが、今のこのコの一番の願いでしょう」
そう言われ、私達家族の元へ帰ってきたその2日後に、そのコは私の腕の中で静かに息をひきとりました。

そうだ。これでよかったのだ。これが、このコが最期に望んでいた一番の幸せだったのだ。



我妻さんは、震災後に被災した犬猫と、その家族に起きたドラマを数多く見てきました。

避難所での犬との共同生活を拒否され、断腸の想いで置いてきた山の奥から、どこをどう走ってきたのか、翌日には避難所にいる家族のもとへ戻ってきた犬。

「お父さんも、家も流されたけど、このコだけは助かったの」と、早く一緒に住みたい気持ちから生活環境の整備を急ぐ飼い主。

そばにいたい。大好きな家族と、最後まで一緒に生きたい。

「何度、その悲しみに心が折れそうになったかわかりません。その気持ちが痛いほどわかるからこそ、この場所で、少しでもその気持ちを軽減することができればと思い、そのお手伝いをここでさせてもらっています」

絆という言葉は、人間同志だけに使われるものではありません。動物と人間、飼い主とペット、それぞれが違った結びつき方で、違った重さで、しっかりと双方の心をつなぎとめています。
ペットと共に暮らせる時間は、とても短い。でも、その短い時間の中に作りだされる思い出の数々は、別れの辛さに勝るほどの輝きを放つものです。


 写真集「被災した犬・猫たちのために 東日本大震災」より  発行/ドックウッド


今後、同じような緊急時に、少しでも安心、安全に避難するにはどうすればいいのか。混乱の中で、離れてしまった時に、犬たちと再会するためには何が必要なのでしょう。

●迷子札、観札、マイクロチップなど、飼い主(身元)がわかるものを身につけさせておく
●伝染病予防等や、ノミ・ダニの駆除(予防)を確実に行っていく
●ケージ(グレート、バリケネル、ハウス等)を用意し、日頃から離れさせておく
●最低限のしつけを行っておく
●日頃から、人や他に犬とも接し、家族以外の人や犬への苦手意識をなくしておく
            (東日本大震災「被災した犬・猫たちのために」から抜粋  発行/ドックウッド)

この2冊をもとに、角川書店でドックウッドの本を出版(末尾参照)

ドックウッドでは、震災後3か月の記録を集めた写真集(上写真右)と、ノンフィクションストーリーをマンガ化した冊子(上写真左)をオンラインで販売しており、収益金はすべて「ドックウッドわんにゃん災害支援金」に充当されています。
この2冊を、偶然仙台市内の書店で目にした角川書店の人が、同社より出版を希望。両書は共に、2月に角川書店より出版されます。

「あのとき、被災した犬猫たちに何が起きていたのか、それを沢山の人にわかってもらいたい。
一頭でも多く、一日でも早く、彼等たちが大好きな飼い主さんの元へ帰れることが、私たちの願いです」



「最後の一頭まで 飼い主さまの元へ 帰れる日まで」
左 我妻敬司さん  右 我妻真紀さん




どんなことがあろうと、どんな場所にいようと、ペットたちは一緒にいた家族のことを忘れない。
それは、この地上においても、天上においても、変わることのない真理です。
ドックウッドは、ペットたちが大好きな家族の元に帰れるその日のために、震災から1年目を目前にした今も、その命たちを支え続けています。


(取材日 平成24年1月20日)


≪MEMO≫                           
◆dogwood(ドックウッド)
〒989-3212 宮城県仙台市青葉区芋沢字綱木坂22-3

TEL+FAX@022-391-3150  
営業時間*10:00~20:00 (10月~3月)
      *10:00~22:00 ( 4月~9月)
定休日*毎週火曜日(火曜祝日の場合営業)
hotelのみ年中無休で営業
http://www.dogwood-jp.com/


≪角川書店より出版のドックウッドの本≫

「待っている犬」―東日本大震災で被災した犬猫たち(文芸書)
飼い主の死亡も知らず全壊した自宅を守る犬。ペットとともに入所を拒否され、壊れかけた家で一緒に暮らす犬。被災地から保護され、飼い主たちの迎えを待っているたくさんの犬や猫たちの記録写真集。         2月24日発売予定 本体価格1260円
  
            「ロックとマック 東日本大震災で迷子になった犬」(児童書)
原案/ドックウッド 著/なりゆきわかこ
宮城県で迷子になった犬が、出会った人に助けてもらいながら飼い主とあうことができた、また福島県の動物病院であったノンフィクションドラマ
2月15日発売 定価609円

「みんな読んでワン!」
お店に来ていたSプードルのソフィちゃん