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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年1月23日月曜日

2012年1月23日月曜日13:53
new-Tです。


1月21日(土)に青森県立美術館で行われた復興支援事業「東北からの声 東北の現在」というイベントでドラマリーディングに出演し、シンポジウムのパネリストとしても出席してきました。



甚大な被害をもたらした東日本大震災。震災の前と後では、何が違うのか。被災地で活動する演劇人や、復興支援を行っている小説家が、文化・芸術の視点から「東北からの声」「東北の現在」「これからの東北」を伝え、語りあう。

大雪の中の青森県立美術館


そうした趣旨の元に集ったのは、中沢けいさん(小説家/埼玉県)、佐伯一麦さん(小説家/仙台市)、なかじょうのぶさん(劇作家/宮城県栗原市)、大信ペリカンさん(劇作家/福島市)、石川裕人(劇作家/名取市)の5名。ナビゲーターは青森県立美術館舞台芸術監督で劇作家の長谷川孝治さん。


第1部「東北からの声」は東北をテーマにした戯曲や自作の小説を読むドラマリーディング。
まず一番手のわたしたちは岩手県の劇作家で故人の秋浜悟史さんが1965年に発表した『冬眠まんざい』を上演。出演はなかじょうのぶ、絵永けい、演出・ト書き読み 石川裕人。
降りすさぶ雪と雪の、切り立つ山と山の底に、一点こびりつく百姓家の中で、日々自殺ごっこを繰り返す女と、帰らぬ女を永遠に待つ男の悲喜劇は東北の現在の鏡である。東北は長い間この国の歴史の片隅にひっそりと置かれている。その位置観がまったく変化してしまったのが福島原発の事故。わたしたち東北人は永遠に除染を待つだけなのだろうか?
そんな思いで「冬眠まんざい」を選びました。

秋浜悟史作『冬眠まんざい』 左から、石川裕人、なかじょうのぶ、絵永けい
(青森県立美術館提供)

ドラマリーディング二番手は大信ペリカンさん代表の劇団「満塁鳥王一座」による大信さん自作の『キル兄にゃとU子さん』。
福島原発事故後の福島の現実を描いた作品として評価が高い戯曲のリーディング版。スライド映像とアブストラクトな音楽を使った若手らしい野心的なリーディングでした。


第1部最後はお2人の小説家による「作家の声 自作を読む」。
中沢さんと佐伯さんが交互に自作を読んで、語り合うというステージ。
語りたいことがいっぱいあるお2人はかなり時間を押して終演。まあ、ご愛敬ですね。


休憩をはさんで第2部、三村青森県知事の挨拶の後、青森県民参加のドラマリーディングクラブ約50名によるドラマリーディング『あおもり犬のおはなし~ビートルズの引用による~』。
青森県立美術館には奈良美智さん製作による「あおもり犬」という巨大オブジェがありますが、そのあおもり犬が何を見つめ、何を想い、何を抱いているのか、その想いを現在の東北へのメッセージにしています。
作・演出は長谷川孝治さん。
ビートルズの曲が流れてきてちょっとウルっときてしまいました。
ドラマリーディングクラブは中学生から高齢者まで幅広い年代の方々の集まりです。


そしてパネルディスカッション開始。
震災時にどうしていたか?震災がもたらした創作への影響、東北の舞台芸術の状況、創作における地域の優位性とは?被災地への活動はどのようなものが考えられるのか?
などなど、真面目に討議が行われました。

(敬称略、左から)中沢けい、佐伯一麦、なかじょうのぶ、大信ペリカン、石川裕人
(青森県立美術館提供)


しかし、やっぱり思うのはまだまだわたしたちは被災の渦中にあるのだな、ということ。
小説家のお2人をはじめ、誰もが震災後揺れ動きながら創作をしているということがわかりました。
さすがに、文体が変わってしまったという人まではいませんでしたが、
かくいうわたしは震災後、東北のために芝居を書きやり続けていくことを強く思った人間です。
その要因は震災後2カ月くらい経って岩手県と宮城県の沿岸被災地の子どもたち向けに芝居を持って巡演した時の経験でした。
その風景の不条理な壊れ方、人々の悟りきったような諦念、無念などに触れこのような精神的崩壊に演劇が立ち向かえるのか?ということを考えたのでした。

昨年の7月から11月にかけて宮城県内各地を巡演したのはその問いの答えを見いだしたかったのですが、その問いはいまだ解決されていないし、問いはますます難しさを増しているようです。

解決できないかもしれない、わからないことをわかりたくてわたしたち創作家は歩んでいるのでしょう。
そんな小説家と劇作家たちのディスカッションでした。


仙台市在住で「鉄塔家族」などを著している佐伯一麦さんとは、とある賞を2人でもらって以来15年ぶりでお会いしたのですが、「つい昨日飲み屋で会ったのに」的な再会でした。
自作の通りの静かな思索の人ですが、お酒好きのフランクな人です。
現在某新聞で小説家・古井由吉さんと震災についての往復書簡を連載中です。
これがいい連載です。


ますは、濃密で楽しい2泊3日の青森への旅でした。
そしてこのイベントを皮切りに再来年、復興支援事業・日中韓共同制作演劇公演へと向かいます。


(平成24年1月23日)