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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年1月17日火曜日

2012年1月17日火曜日13:55
絵本専門のブックカフェでアルバイトしていた学生時代。
邂逅というものは人だけにあらず、momoは本や物や動物(特に犬♪)に、人以上にインスパイアされることが度々あります。そんな本たちと、時空を超えた邂逅をもたらしてくれる場所が、仙台市本町に存在します。

今や市内の本好きでは、知らない人はいないほど定着した人気を誇るブックカフェ「火星の庭」。



「震災直後に娘と二人で関西へ避難しました。避難しているときは、何故、こんな目に遭わなければいけないのかと、その時の気持ちは今思い出しても苦しいです。こんな気持ちを抱えたまま、東北から関西に来た人がたくさんいるのではないかと、支援してくださった方々にも相談して、神戸で集会を開かせてもらいました。呼びかけると、100人ほどの人が集まりました。追跡取材をしていたNHK京都をはじめとした関西のメディアも殺到しました。話し合いを聞いて、避難する人の気持ちというものは、これほどまでに辛いものかと痛感した出来事でした」


福島県郡山市出身の前野さん。ご実家は兼業農家で、先祖代々続く田畑を宅地開発にも屈せずに、ご両親は命懸けで守ってきたといいます。

「生まれ育った郷里が、汚染地扱いされていることは未だに受け入れられません。先祖代々受け継いできた土地が、原発事故を機に一瞬にして奪い取られたのです。いつもの年ならお正月には餅をついていたのに、今年はパック餅を買って食べた、と父が言っていました。これまでに聞いたこともないような、弱弱しく切ない声で・・。その無念さ。買って食べればいいということではないんですよね」

前野さんのお子さんが描いたポスター
2011/3/28 旧グッゲンハイム邸(神戸)で行われたイベント
「また会えたね」~震災・原発、仙台からここへ~


「放射能の問題を考えない日はありません。かと言って、そのことばかりに過敏になり過ぎて、親がイライラしたり暗い顔をして家庭内がぎくしゃくしていては、さらに子供に悪い影響を与えるかもしれない。人の健康や幸せは、汚染されていない食べ物だけで作られるものではありません。食べ物を守れても、心は守れるのか。福島が隣にあって、仙台だけが良ければいいのか、もし逆の立場だったらどうするのか、といった答えの出ない葛藤の中にいます。問題が大き過ぎて、一人では抱えきれない葛藤です」


これくらいのことで、不満を言ってはいけない。
もっと大変な目にあった人がいるのだ、これくらいのことではへこたれてはいけない。
そういった葛藤が、大きな被災をしなかった人間の気持ちを、不自然な方向へと蝕んでいく。
そういったメンタル面での問題が、現在この宮城に蔓延しています。


   
前野さんは、現在、book cafe 火星の庭も続けつつ、友人たちと「せんだいコミュニティカフェ」を発足させて、仙台にもコミュニティカフェを作ろうとされています。
「震災後の不安が長引く宮城においては、なにもかも自分で抱え込まないことが大切」と、コミュニティカフェの重要性を語ります。

「被害がひどかった人と比べるあまり、自分の本音を封印してしまう空気を感じます。
思いやるのは大切なこと。でも誰もが傷つき、その傷はそれぞれ違って、比較するものではありません。ずっと本音が言えないことが続いたらつぶれてしまう。”こんな不安がある”、”あそこにはこういう情報があった”、”私はこう思う・こうしている”と情報交換したり、アイデアを実践する場が必要になってくるでしょう。仙台にもコミュニティカフェを作ろうと、今は物件を探しているところです」


震災直後に関西へ避難した時、阪神大震災後に作られた関西のコミュニティカフェにも行き、同類のカフェが仙台にできて然るべきと話します。


「大阪にあるコミュニティカフェは、店長が日替わりで運営されていました。一人のオーナーが場をすべて仕切るのではなく、コミットしている人たちによって運営する公民館的な場です。震災で一番感じたことは、おいしいご飯を食べることの大切さ。私たちがつくるコミュニティカフェは、遊んで学べる場、暮らしと食を中心にした場にしたいなと思っています。
今は市民力が試されている時です。行政は個々人の面倒を100%みてくれる機関ではないのですから、必要なものは自分たちで作り、動ける人は動いて、この街を震災前よりいい街にするんだという意識を一人一人が持てば、単に復興というよりも、新たな宮城が生まれるのではないでしょうか。
コミュニティカフェの一歩として、2月19日(日)一番町のライブハウスRensaで「おとのわ」という音楽イベントを開催します」(末尾に詳細情報あり)



ご主人の前野健一さん。この笑顔のファンは数知れず(私もその一人)


福島に18年間住んでいた前野さんにとって、仙台という街は?そして宮城の魅力とは?

「仙台は、潜在力がある街だと思います。だから、これからが勝負でしょう。自分もできることで関わっていきたいです。一旦離れたことも良かった。仙台での暮らしが、かけがえのないものだと気が付きました。子供への放射能の影響など気になることはありますが、親としてできる限りのことをやって、場と仲間がいるこの街で乗り越えていきたいです。

東北は、この未曾有の体験をしたことで、ある意味で現代日本の最前線を行っていると思います。震災後は崖っぷちに立たされてはいるけれど、東北で起きていることは、これから絶対役に立つ。だから、支援をいただくこともありがたいのですが、それ以上に他地域の人たちにお願いしたいことは、東北にずっと関心を持ってほしいということ。東北のことを私たちと一緒に考えてほしいですね。そして、外からの目で、こうしたらどうか、ここは変ではないか、と率直に意見していただくのがいいと思います。
他人事ではなく、いつ誰に起こるかわからない、起きてからでは遅いという”学ぶ現場”が、今の宮城にはあると思います」


私が取材させていただいている人たちすべてに共通するキーワード。
それは、「宮城は未来のモデルに成り得る」ということ。
転んでもただでは起きないという精神が、せいせいするほど気持ちがいい。

「50年、100年経ったとき今がどう見えるか、未来の人たちが見ている気がしますね。
未曾有の大惨事に直面した時、人はどう行動するのか。その見本となれるのかどうかを、東北の人たちは突き付けられていると思います。震災、津波、原発事故・・・、生きている限り、どの地にいても起きる可能性があるわけで、先んじて私たちは体験させられている。
その時、この土地の人はどうしたか、私たちはすごいメッセージ性の強い時代を生きているのだと思います」



オーナーの前野久美子さん


前野さんは、取材の最後をこの言葉で力強く締めてくれました。

「被災者というと、悲惨な可愛そうな人たちと思われるかもしれないけれど、命に関わるくらいのことを皆経験しているんですから、実はパワーが各自の中でとんでもなく増強していると思います。そのことを生き残った人たちが自覚できるといいですね。
宮澤賢治のような、とんでもない宇宙観を持った若者が出てくることを期待します(笑)」


非常にキュートでありながら、アクティブでかっこいい前野さん。
これからの宮城の女性をなめたらアカンぜよ!
と、鬼龍院花子の気分になって、お店を後にしたmomoなのでした。

(平成24年1月17日)




「おとのわ」のポスターもなっている、巨匠スズキコージさんの絵
今は亡き高山書店の壁画、涙ものでしたね~
(写真提供 火星の庭)
◆book cafe  火星の庭
〒980-0014
宮城県仙台市青葉区本町1-14-30 ラポール錦町1F
TEL:022-716-5335
FAX 022-716-5336
メールアドレス:kasei@cafe.email.ne.jp
ホームページURL:http://www.kaseinoniwa.com/








◆せんだいコミュニティカフェ準備室
http://sendaicommucafe.blogspot.com/

 ◆イベント告知
2月19日(日)「おとのわ」
13:00~19:30 会場 Rensa
前売/3500円 当日/3900円(ドリンク代別500円)
全席自由 *中学生まで無料
http://otonowa.blogspot.com/ 
電話:090-2954-7719

《おとのわ》は、東北から子ども達の安全な未来と新しい暮らし方を自分たちの手で育み、
発信していけるよう音楽をエネルギーに、歌い、踊り、つながり合う場。

*ライブ出演:友部正人、曽我部恵一、タテタカコ、東京ローカル・ホンク、小野一穂、
yombo、Tenniscoats、Rachael Dadd & ICHI、おとのわこども楽団
*会場にはカフェや雑貨、手作り品のショップやブースのほか、原発・放射能相談コーナーを設置する。